第246話 鹿vs鹿
「ああ...マジか。」
「鹿同士で争いが始まったぞ。」
直接見てる訳ではないが今の状況を説明しよう。
キジコ&ハルカ
・突然変異の進化を遂げた魔物鹿、ディザスター・ホーン・ディアーことディザスアに釣られ気が立った魔物を抑えてます。ディザスアと戦っているシルトさんを助けに行こうにも行けません。
シルト
・魔物鹿を追い込んでいたら群れのボス鹿が進化。強さ激増したにも関わらず自分で対処しようと奮闘するがディザスアの力の方が上だった。もはやこれまで大ピンチ...その時だ！
「ブルルルル.....！！！」
召喚したカラミアことカラミティ・ホーン・ディアーがシルトを守った！！
つまるところ化け物鹿vs化け物鹿が始まったのだ！
「ハルカ...なんか気になるんだけど向こう。」
「確かに、念話を通して何言ってるか聞きながら戦おう。」
「イヤホンながら戦闘は危なくない？」
「いや、念話しながら戦闘なんて何度かしたでしょお母さん。猫時代は念話中心だったじゃん。」
「あ....。」
というわけで、
ディザ「テメェ...アタシ相手にやんのかぁ？？」
カラミ「知るか、呼び出されちゃ仕事をするだけだ。」
ここからは翻訳してお送りします...。
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ディ「突然現れてはうちの部下を怖がらすとは良い度胸してんなぁコルァ..？」
ハルカです。
ディザスアはどうやら雌らしいです。しかしその言葉使いはだいぶ怖いですね、ヤンキーとかあの辺です。
野生だからその辺凶暴なんでしょうかね？
カラ「俺も以前人様に迷惑かけ、今や亡霊だ。今手を引くと言うなら見逃してやる。」
ディ「ほざけボケが！テメェもこの鬱陶しい猿も燃やし尽くしてやる...！！！」
カラ「言ってろ、その程度の炎は風ですぐ消えるわ！」
キジコです。
別種の鹿同士ゆえに火花どころか雷大火事走っとりまーす！！
「(カラ君せめて村の外で争って！これ以上は町の被害がもっとやばくなる！！)」
カラ「...向こうに行こうや。ここじゃ狭すぎるわ。」
ディ「チッ、いいだろう。」
ふぃーなんとか鹿達は村の外へ出ました！
おお見えますアレだなディザスアは！
雌個体なのに立派な角生やしてる！！
「お母さん、この世界の鹿はメスでも大きな角生えてるんだわ。その中でもディザスアは鹿目線でいうボーイッシュだね。」
「そうなの！？あ、そういえば今まで戦ってきた鹿魔物全部角あるじゃん。」
ディ「ケッ、後からやっぱ狭い所で戦おうぜなんて言うなよ？亡霊はさっさと成仏するのがお似合いなんだよボケが！！！」
ディザスアが大量の火炎球を放つ！
すごい、あんなの1発当たるだけでも危険だぞ！！
カラ「ほぅ、魔力は大したものだが....。」
ディ「なっ！？」
おっとここで火炎球の飛ぶ向きが変わったぞ！
そのままディザスアに被弾する！！
ディ「うああ！！」
カラ「扱いが勢い任せだ。」
ディ「んだとゴラ...！これでもこの身で群れ率いて生きてきたんだぞ、そんなアタシの力が勢い任せだと！？ふざけた事ぬかすのもいい加減にしやがれ！！」
ディザスアは炎をカラミアに放ちまくる。
炎は蛇のようにカラミアへ変則的な軌道で動き迫る！
カラ「ふむ、さっきよりは良い。」
しかしカラミア、竜巻を発生させて火の蛇は呆気なく消されたー！！
ディ「ぶっ飛びやがれボケが！！」
カラ「そうきたか。」
ディザスアは角を向けて突進！
あんなのくらえばひとたまりもないぞ！！
カラ「フンッ！！！」
そして正面から耐えた！！
角相撲すげええーーー！！！
ディ「良い力持ってんじゃあないの亡霊さんよお！！」
カラ「怪力は立派じゃないか、流石は群れのボスだ！！」
ディ「伊達に鍛えた...角じゃねえんだよ！！」
おおこれが力と力のぶつかり合い、
筋肉ならぬ角で語るとはこの事かぁ！？
ディ「これくらい強く生きねぇとなぁ、下っ端を引っ張ってられねえんだ！！」
カラ「ふんっ、俺は一人で生きてたからそんな気持ち知らねえな。」
ぬぉ！カラミアが前に進み始めた！！
カラ「でもよ、力ってのは目的があるから力なんだよ。どう使うかはそいつ次第だ。お前が誰かのために使って言うなら俺は...！」
ディ「！」
カラ「俺の為に使うまでだ！！」
カラミアがディザスアを押し出した！！！
カラ「....って感じだ。お前に合わせて言うとなぁ。」
ディ「ふざけるな！！」
ディザスアは炎を纏う。
カラ「来いよ。」
カラミアの周りに風が渦巻く。
2頭から凄まじい魔力が溢れている...その技で決着をつける気だ！！
ディ「燃え尽きろ亡霊があああああ！！！」
暑い、熱い！！
ここにいても伝わる程の熱がカラミアを飲み込む！！
カラミアは一切動いていない！
これは勝負ありかぁ！？
カラ「....すげぇな、お前。」
....炎が消えた！？
「お母さん、あの辺り空気が薄くなってる！」
「な...カラ君お前...空気とか操れるの...！？」
炎が瞬く間に消え、ディザスアが踠く。
ディ「...！...！！！」
カラ「じゃあな。」
ディザスアはその空間の中、呼吸をする事許されず...動きを止めた。同時に暴れていた鹿達の気が不思議と収まり森へ帰って行った。
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「幻魔召喚....ディザスア！！！」
「...！！」
野生の掟なのか、カラミアはディザスアを殺した。
カラミアは幻魔召喚で呼び出し構成された肉体なので私が倒した判定となり、ディザスアは冒険図鑑に登録された。
その為幻魔召喚で呼び出せるようになった。
「あーあ、負けたのか...アタシ。」
「あれっ、ナチュラルに念話使ってるよ。」
「呼び出すついでに念話を纏わせた。幻魔召喚のレベルが上がってさ、一部のスキルを一個だけ与えて召喚出来るようになったの。」
「アタシ、負けたのか。」
「....すまない、死なせる気は。」
「何を言う、アタシは野生の戦いで負けた。負けた者になんの権利は無い。ただ...アイツらは。」
「その心配は無い、あの森に恐ろしい怪物はもういない。」
「な...！？それは...ほ、本当か！！」
「その怪物はシルトさんが倒したんだよ。実際強かったでしょ？」
「...！！！」
ディザスアはその場でふせる。
「ありがとう...ありがとう！そしてすまねえ！！そんな恩人を殺そうとしていたなんて...死んで当然だアタシは！！こんな身になった後だがどんな報いも受ける！！！」
「待て待て、そこまでは...うーむ。」
幻魔召喚、カラミア！
「....て訳だ。どうしよ...。」
「フンッ、ならば迷惑かけた分こちらに手を貸せば良いだけだろう。そもそもこの騒動の根本はその怪物だ、怖い思いをして気が立てば暴れるのは当然だ。今回はそれに色々加わっただけ、んでお前は群れの長だから離れた土地に移動するためにも群れの食料確保や安全確保が必要だった。それが今回の騒動だろ？」
「....ああ。」
「なら別に死んでもなお苦しい思いはする必要はない、お前はただ群れのために動いただけだ。悪気なんて無い、ただ誰かのために生きただけだ。むしろ殺してしまった俺が謝罪するべきだ。」
「馬鹿な事言うんじゃねぇよ！！私は人様に迷惑かけた時点で....。」
「それは野生の頃の話だろ、自然様に逆らうなんて無茶だって話だ。野生だったお前は負けた時点でなんの権利も無いってなら処遇を決めるのは我々だ。」
「...。」
「もう一度言う、こちらに手を貸せ。情けないままの亡霊で良いのか？」
「...わかった。」
ディザスアは立ち上がる。
「アタシを連れて行ってくれ！！こんな情けないままは嫌だ！！」
「フンッ、決まりだな。」
「私達もあの怪物を倒す側だが、それでいいな？」
「おうよ、アタシの力をドンとコキ使いやがれ！」
その決まった途端の潔さは凄く真っ直ぐとしていた。
「元気でなお前ら！！おいボンボン、テメェなら群れを正しく導けんだろ、情けない長は旅に出るから任せたぞ！！」
森からは別れの声が念話で聞こえた。
次回....報酬と...？
