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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
247/302

第237話 教授-過去編④

訂正

 あれから200年×

    約300年◯

 俺とアイシャ、師匠が旅に出て3年経った。

 当時も邪獣の前兆がその頃から発生、いくつもの国が悪霊となった獣に蹂躙された。


 あえて言うなら...世界の人口1割以上がこの3年で消えた。ちっぽけに見えるようで頭で数えきれない人の死が続いていた。


 俺達は勇者として邪獣が復活するその日まで各地を渡りながら、邪獣の対抗策を広めては前兆を討伐の繰り返し。


 例え微力でも、無力でも、俺達は助けられなかった者に何を言われようが戦っていた。守りたい者を守るために。


 世界を何周分渡り歩いただろうか、転移で大体の所に行けるようになった。船や馬車で旅する方が楽しく感じてしまうくらい、俺達は真っ黒な何かを斬る日常だった。


 俺もアイシャも強くなった。

 元から強い小うるさい師匠もさらに強くなった。

 邪獣は未だ復活していない。

 前兆は各地で現れるばかり。

 人の命が消えてゆく。

 一息つく度どこかで誰かが死んでいるかもしれない。

 情けない。

 俺は情けない。


 でも無力じゃない。

 俺達が世界を周り破邪の力を持つ者が増えた。

 増えた事で人間は前兆に立ち向かえた。

 立ち向かえるようになった。


 だから...俺達を必要とする声も消えていった。

 それでいい。

 きっと邪獣は俺達じゃないと立ち向かえない。

 人間が俺達を必要としなくても、守れる強さがあればそれでいい。

 俺達は無敵じゃないから。

 無敵じゃないから誰かがいる。


 でも皆が皆を守れる訳じゃない。

 俺達は誰かが困っていたら助ける。

 ただのヒーローごっこかもしれないがそれでいい。

 誰だって一度はこう言うの...憧れるからさ。


 「ねぇマース。」

 「?」

 「...平和ってなんだろうね。」

 「知らない。人が笑顔で自分らしく生きるといえば別の誰かが困ってたりする。真の平和は案外違う所にあるんだろうな。」

 『何二人で難しい話をしているのさ。ウチならもっと楽しい話をするぞ!』

 「何だ?」

 『今日の晩御飯は何にする!?』

 「ガクッ...またか。」

 

 ...楽しい日々だった。

 

 アイシャは旅が始まってからもずっと明るい奴だった。

 気づいかいも上手い奴だった。

 自分の心配は後回しにする不器用な人だった。

 

 師匠は小うるさいが俺達を気にかけてくれてた。

 小うるさいからいつもが楽しかった。


 楽しかった。


 


 邪獣が復活するまでは。


ーーーーーーーーーー


 それは突然の知らせ。

 ある大陸に邪獣がついに現れた。

 

 俺達は急いで向かうも、すでに被害は甚大。

 不幸中の幸いと言うべきか、この大陸は強者が多い。

 俺達が転移で到着する頃には人々の守護や避難をしていた。


 その中で指揮官として活躍していたのが、


 「よぉガキっちょ!知らせがちょっと遅れて申し訳ないな!」

 「緋雨ひう様!!」

 

 その名も緋雨様。

 猫の獣人族であり、

 この大陸にある中立都市エデルの大統領であり、

 そして...第三番目の神獣の子孫。

 普段は美しい女性なのだがそれは表、

 中身はかなりヤンキー気質な女性。

 

 「邪獣はどこに!?」

 「上だよ!」

 「は....!?」

 

 「グオぉオオォおおおぉああアアーーーーーーーーッ!!!!!」


 その叫びは恐怖という感情に直接刺激されるような圧倒的な威圧。

 本能的に発動する破邪の力、かなり濃い邪気を放つその獣。

 

 「天撃・紅蓮豪炎拳!!!!」

 「悪鬼滅殺・光剣!!!!」


 その獣は避けた。

 大気を蹴って避けた。

 体は夜よりも黒く、

 目は血よりも赤く、

 纏うオーラはずっと恐ろしい。


 邪...その言葉そのものを体現するかのようなその姿。

 体長は5mほどしかないのに、

 数百メートル級のタワーをも超える圧倒的存在感。


 ああ、こいつが、

 コイツこそが邪獣。


 災厄の獣。



ーーーーーーーーーー


 「...あれから...約300年か。」

 

 己の手を見つめる教授。


 「反れた道を行くのは俺だけでいい、お前は俺無しで死ねたか、アイシャ...?」




 『...私はまだ生きる余裕はありすぎて怖いわ。』


 ドアノックも無しに現れた精霊。


 「...師匠か。」

 『久しぶりじゃのマース。精霊達から聞いたぞ、大昔にウチが露店で見つけた魔法具使って色々やってるらしいな。』

 「ああ、あれか。」

 『[2時間だけ好きな性格になれる]お遊び道具。当時は小遣いで買えるようなしょうもない道具で今の世を引っ掻き回せるとは、骨董品はやっぱ集めて楽しいのぅ。』

 「やめろ、結構使うの恥ずかしいんだぞ。」

 『あんたが硬口野郎だからウチの財布から金出したんぞ!今まで作戦上手く言ってた事感謝しなさいよね!』

 「それ師匠が犯罪の片棒担いでますって自供じゃねぇか。」

 『いいのよ、あんたを止めれなかった時点でウチも同罪。ちなみに前の[視力がやたら良い子]はなんで攫ったの。』

 「炎の魔力適正だ。魔法を操る力が飛び抜けて高くてな、一時的に洗脳術かけて奴らと戦わせた。改造する気は無かったさ、そんな事をすれば真の力を見ることが出来ないし。お陰でハルカの魔力流れが安定化し、そこから数日でアイツは誕生した、最強クラスの魔力適正を持ってな。」

 『そうかいそうかい、本当そう言う分野は上手だね。ウチの可愛い弟子は!』

 「まだいいやがるか....はぁ、久しぶりに見る面はえらい美人になっても内側の小うるさい所は本当、何も変わってないんだな、ガイスト。」

 『弟子を心配するのが師匠の義務だからな。』

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