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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
245/302

第235話 必死逃走

 「わかった、気をつける。」

 「何かあったのですか?」

 「...新手だ、それもとびきり強い奴らしい。」

 

 第3番隊と合流してしばらく、スアの力で今いる場所を安全圏にした。今のうちに休憩です。

 しかしフィースィさんが別の隊と念話、内容はなんと別の場所に凄まじい強さを持ったオーラ個体がいると言う事だった。その個体は突然消えどこかに行ったようで、どこにいるかわからない以上警戒体制レベルがさらに上がった。


 だが...妙だった。


 「大型の熊の首を一切り、それも同じオーラ個体のをな。」

 「オーラ個体同士が戦ってた!?」

 「そうらしい、そして新手は魔物では無かった。」

 「へ?」

 「...エルフ、黒い鎧を着たエルフだったらしい。」

 「黒い鎧のエルフ....?」

 「加えて、呻き声のように何かを小さく呟いてたと。」

 「まるで死霊の騎士様って感じですね。」


 一体何者なのだろう。

 真っ黒オーラを纏ってるって事は邪獣の前兆で現れた存在なのだろうけど、人型なんて初め聞いた。今まで戦ってきた魔物と違い行動パターンが大きく違う、何より同じオーラ個体と戦っている理由が全くわからない。


 時が経つにつれ、前兆にも変化が起きるって事でしょうけど...これは私達だけで対処してもいいのだろうか?しかし放っておけば皆さんが危ないし目的の素材も手に入らない。


 「...それだけ強いのがいるとわかった以上、結晶に行くメンバーを考え直した方が良いと思います。」

 「ああ...小回りの効く人型となると大人数は返って危険だ。...私とルザーナ殿で行こう。」

 『賛成なの。まだ第3番隊員の疲弊が回復しきってない、今のままじゃ不安過ぎるの。』

 「私であればもしもの時は転移が使えます。...そうはいってもエルフ国には行った事が無いですのでせいぜい国から離れた街道です。」

 「十分だ。...ルザーナさん、準備はいいか?」

 「はい。」

 「こちらは任せてくださいルザーナ。」

 『危なくなったらその男乗せてでも逃げるのよ。』


 私はその言葉に頷き、フィースィさんと共に結晶がある方向に向かった。



 結晶近辺...、

 邪気も強くなり植物がだんだん枯れている。

 間違いない、この先にある。


 「フィースィさん、魔力はまだありますか?」

 「はい、魔力回復薬を飲みましたので余裕はあります。」

 「それは良かったです。おそらく今から戦う相手は今まで集めたデータの幾つかが役に立ちません。」

 「ですね、今のうちに戦闘体勢を整えましょう。」


 フィースィさんは全身に光を纏わせる。

 剣が輝き魔力が増えた。

 確かご主人様と戦った時もこんな力を使っていました。


 「地竜ハイドラ:レベル2。」


 地竜ハイドラ...

  レベル1...普段、人型。

  レベル2...竜鱗装甲を纏う。

  レベル3...加えて脚部が魔物形態化。

  レベル4...魔物形態。


 「おお、その姿は以前闘王闘技で。」

 「はい、この姿なら小回りの効いたまま戦えます。」

 「...お互い準備完了ですね。」

 「ええ、...ですから上に飛んで避けてください!」


 私達の下を何かが光った。

 斬撃だ、凄まじい速さの斬撃だ!

 気配で軌道が読めたけど正直危なかった!


 「主...守る.........。」

 「今の声は!?」

 「ルザーナさん走って!!!」


 私達は結晶に向かって走る、ここだと狭過ぎる!結晶周辺は植物の枯れが著しいのでそれなりに広い範囲が形成されるはず。


 バシュッ


 「アクア...レーザー。」

 「....逃げろ!!!」


 探索から一気に逃走に変わった。

 やられた、背後を取られた。

 ここは森の中、狭くて思うようには動けない!!


 「アクア.....ブレード。」

 「水魔法のスキル!」

 「なんて斬れ味だ、一斬りで木が何本倒れた!!?」

 「範囲もそれなりにあるなんて...!!」


 私達は結晶に向かって逃げる。

 とにかく逃げる。

 今挑んだら死ぬ!!!


 「リーツェル・ライトバレット!!」


 フィースィさんは光の魔力弾をとにかく撃ち込む。


 「遅い....遅い...。」

 「...全部防いだ!?」

 「アクア...スピア...レイン。」

 「上です!!!」


 水の槍が空から降り注ぐ。


 「っ、リーツェルソード!!!」

 「!、ありがとうございます!」

 「...お前...敵....倒す。」

 「あの黒いオーラを纏ったよく見えない者が例のエルフですね、どうやら思った以上に手練な様子です...。」

 「少し足止めします、蒼黒炎玉!!!」

 「!!!......。」


 蒼黒炎で道を塞いだ。


 「今です!!」

 「はい!」


 とにかく...逃げなきゃ!!!


ーーーーー


 「はぁっ、はぁっ。」

 「あった...黒い結晶!!!」


 それは大木に纏うように生えていた。

 大木に葉は無く幹は如何にも死んでいる見た目。

 大木のような生命さえも奪い去る脅威そのもの。

 悍ましい光景。

 死の権化。

 ゾッとする背筋。


 「ルザーナさん。」

 「....蒼黒炎玉。」


 大木と結晶は蒼黒い炎に包まれた。

 炎は全てを燃やし尽くした。


 「これで...なんとかなりましたよね?」

 「ええ、仲間から方のが来ました。オーラ個体が消えていると。」

 「...!!」


 終わった.......、





 「敵...倒す....。」

 「え?」


 それは後ろにいた。

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