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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
244/302

第234話 エルフ国・森林調査

 エルフ国領土内の大森林、

 現在私ルザーナ達は森の中にあるとわかった結晶を探すため、フィースィさん率いるエルフナイトと共に森の奥深くに行く事にしました。


 だって手伝えば貸し借りの借りで素材が楽に手に入れられそうなので!

  

 館で色々学びました、こういう手法は国家レベルで役に立つと桃花様に教えてもらいました。しかしやるならば堂々と自然に恩を売れと。


 (朱斗蒼鈴:なんて事教えやがった...。)


 しかし...結晶はどこにあるのでしょう?

 さっきの狼集団の真っ黒オーラのせいか、上手く結晶とやらの気配が掴めません。多分近づけばより強い気配で掴めるでしょうけどこれでは....。


 エルフナイトの皆さんは全員が破邪の力を持ってるわけではないようで、何人かが複数人に破邪の力を纏わせているようです。フィースィさんは破邪を身に付けてるようですので最低限問題はありません。


 「グルォアアアーーーー!!!」

 『ヴェルツェールランス!!』

 

 でも結局の所、森の中では最強のスアがいますので活躍の場があまりないです。森の中では流石の私もスアに勝てる自信はありません。多分ご主人様といい勝負すると思います、スアは私が思ってる以上に強い子ですので!


 『...楽しそうね、ルザーナ。』

 「そうですか?私はただスアが活躍しているのが嬉しいだけです。」

 『小っ恥ずかしい事言わないの。』

 「皆さん本当に仲が良いようで羨ましいです。緊張がいい感じにほぐれます。」

 「羨ましい...?」

 「....30年程前に、災害で家族全員を失いまして。当時は行き場のない怒りと悲しみで私は荒れていました。特に弟とはルザーナさん達みたいに冗談言って笑い合える仲で、私みたいな剣士になりたいと言っていました。...失って廃人寸前となっていた私に女王様は気をかけてくれまして、その後私はエルフナイトとして生きる者となりました。...今の仲間が嫌いなわけではないのです、それでも...失った悲しみは今もこの心の仲で渦巻いています。だからルザーナさん達を見てつい...。」

 「...そうでしたの、悲しい事を聞いてごめんなさい。」

 「いえいえ、言ったのは私の勝手ですから。」


 フィースィさんは笑顔でいるけど、悲しい雰囲気が強く見える。


 『...ぁ。』

 「どうしたのスア?」

 「何かわかりました?」

 『...見つけた、方位は北西。』

 「距離は?」

 『...400m先なの。』

 「ぁ!?」

 「おい、その方向には今第3番隊が近くに!!」

 『まずいの、魔力の流れを見るに魔力補給中なの!今襲われでもしたら...!!!』

 「急ぐぞ!!!」

 

ーーーーー


 「...ふぅ、なかなか見つからないな。」

 「ああ、呪力気配が強いからここらなんだろうけど...強すぎてどこにあるか、気配のムラが無くて上手く掴めない。最悪方向を見失いそうだ。」


 エルフナイト第3番隊、

 現在休憩中であり、破邪の魔法役の魔力回復を待っている。

 彼らもなんとか真っ黒オーラの魔物を退けているようだが、ルザーナ達程の実力なんてないので1体仕留めるのに隊レベルでダメージを負っているようだ。


 彼らの近くに元凶の結晶があるのだが、周辺に漂う邪気...気配が強く感知系が麻痺している。スアの言った通り今襲われればまずい。

 そしてそのまずい状況は...すぐ訪れた。


 「グルル....グルルルル.....!!!!」

 「ぁっ!?魔物だ、武器を構えろ!!!」

 「うおおおお!!!」


 エルフナイト達は攻撃にでる、しかし...、


 「アオオオーーーーーンッ!!!」

 「な、火の魔法!?ギャアアア!!!」

 「距離を取れ、取れー!!!」

 「グルル...!!!」

 「まずい、囲まれてる...!!!」

 

 真っ黒オーラを纏った狼は群れだった。

 疲弊した第3番隊を狙い囲み襲うつもりのようだ。

 

 「うわああ、来るなぁ!!」 

 「...ここまでか!」

 「サンダースピア!!!」

 「ギャウ!?」

 「!」


 狼が突然、雷の槍に貫かれる。

 あっさり狼が全滅した。


 「ご無事ですかー!!!」

 「皆、無事か!!」

 「フィースィ様!!!」



 『精霊魔法・治癒の花園。』

 「おお、傷が、疲労感が消えていく!」

 『特別サービスなの。』

 「ありがとうございます、スアさん。」

 

 第3番隊の傷を治すスア。

 特別サービスとか言っておきながら進んで回復させている、根がいい子です。


 「...この先に結晶がある、お前達はここで3番隊と周辺の守護を任せたい。」

 「了解です!」

 「ほぅ、状況がわかるじゃないですか。」

 「はい、私は破邪が使えますしこれでも闘王闘技の第二予選までは行った実力ですので。」

 「色々言いたい事もあるでしょうけど、いい判断だと思います。立場上エルフナイト無しで行くのもアレですから。ルザーナとスアもそれでいいですね?」

 「はい。」

 『うむ。』

 「では...こちらを。蒼輝アズールセイクリッド!」

 「...!!!破邪の力が...増した!?」

 「フィースィさんなら今貸した力をちゃんと使えるでしょう、ただし使い誤る事だけは許しません。破邪と言っても肉体能力も強化されますので。」

 「了解しました。」


 まぁ、この人なら大丈夫でしょう。

 どこぞの死んだ愚か者エルフとは違って。




ーーーーーーーーーー


 エルフナイト・第2番隊....


 「フィースィ様から連絡が入った、第3番隊は無事だそうだ。」

 「おお、間に合ったか!!」

 「向こうは金眼の四王の3人がいるからな、心配はいらねぇ。ああそれとだ、結晶なんだが向こうにあるらしい。ここからじゃ遠いから加勢は出来ないな。」


 ルザーナ達とは離れた場所、エルフナイトの第2番隊。

 3番隊の無事を知り安心している。


 「....あのさ。」

 「ん?」

 「思ったんだけどよ...、黒いオーラの魔物...全然いなくないか?」

 「そりゃあ、結晶から離れてるからじゃねぇのか?」

 「いやそれは考えづらい、確かに少な過ぎる。」

 「...だとしたら妙だ、こんな級に減るのか?」



 ザッザッザ....バッ、


 「グルルォアアア!!!!」

 「!!!!熊だ!!!!」


 ズバッ....


 「...え?」


 一瞬の出来事だった。

 現れた黒いオーラの熊が一瞬で首が落ちて消えた。


 「オイ、あれ!!」


 そこに佇むのは...黒い、真っ黒な鎧を着たエルフ。


 「同族...?だがあんな奴は...見た事がない!」

 「そこのお前、何者だ!!」


 「主...危険。私....が...お守り....せねば....。」

 

 呻くような声を出す黒い鎧のエルフ、そのまま一瞬にしてどこかに消えた。


 「....転移か、今のは?」

 「今の禍々しい気配は....嫌な予感だ。フィースィ様に今の事を連絡だ!!」

 「ハッ!!」

 

 (...邪獣の前兆はかつて死した者を悪意に染め上げ複製させる力。あえて言わなかったが、あのエルフの顔を俺は知っている。...フィースィ様、貴方は今日すぐに辛い覚悟をしなくてはいけないでしょう。どうかご武運を。)

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