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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
243/302

第233話 ルザーナ圧勝

 ご主人様の新しい靴を作るため、素材を求めエルフ国へ向かった私達ルザーナたち。しかし平和な道中は一変、エルフ国の領土内に真っ黒オーラを纏った狼が現れたのだ。


 「アオオオーーーーーーン!!!」


 「蒼輝アズールセイクリッド!!行きますよ皆んな!!」

 「はい!地竜ハイドラ人型形態レベル1!!!」

 『やってやるの!!』


 私達は破邪の力を纏い狼鳴き声の前に立ちはだかる。


 ガサガサッ


 「グルルルッ!!!」

 「ガウッ!!!」

 「結構数がいますね....。」

 『私が向こうをなんとかするの。』

 「クロマはこちらを。」

 「では私はボス狼を...倒します!!!」


 ボス狼は赤い目を鋭く光らせ私を睨む。

 真っ黒オーラを増大させ攻撃体勢に入る。

 毛を逆立て私を見て警戒をしている、私の地竜の力に反応しているのだろうか?


 まぁそんな事はどうでもいい。

 重要なのはこの狼の能力が何であるかです。

 真っ黒オーラの個体は何かを失い何かを得ている、そうご主人様から聞きました。ならやるべきはまず相手を見極める事だ、下手に攻めると痛い目を見る。


 「子分狼の足止め、頼みました!!!」


 私は蒼輝アズールセイクリッドの力を左脚に集める、確か破邪と呪力は似た力...もしかすれば!

 すると呪力脚の装甲の形が変わる、蒼い竜と黒い蛇が描かれた装甲となった。私は頭の中から浮かんできた言葉を発して妖炎を纏う。


 「はあっ!!!」

 「グルゥッ!?」


 なんとか利き足に呪力と破邪の両方を纏う事が出来ました、新たなスキルという形で。不思議と力も湧いてきた。

 これならいける気がします。

 これなら...勝てる。


 「ええ!?なんですかその力!!」

 『ルザーナ、だんだん主に似てきたの。また妙なスキルを使ってるの。』

 「せいやああ!!!」

 「ギャウッ!?」

 

 蒼と黒の恐ろしい炎が狼を焼く。

 ルザーナは攻める、

 ボス狼は抵抗出来ない。

 燃える肉からは灰すら残っていない。


 「これが...破邪と呪力の両立!!」

 「....!?」


 戦いが始まってすぐ、ルザーナは狼の頭を焼き尽くした。ボス狼は消える最後まで破邪で浄化される一方で、呪力で酷く苦しむ様子を見せていた。


 「...ふぅ、終わったので手伝います!」


 そこからのルザーナの行動は[速かった]。

 凄まじい速度で狼達を蹴りあげては飛ばし、焼き尽くす。


 私は狼を蹴り飛ばして燃やすを繰り返す。

 時々呻き声が聞こえましたが気にしない、今はただ目の前の障害を排除するのみです!


 「...ルザーナ?」

 『見た事ないの、あんなルザーナ。急に豹変したの。』


 ....!

 クロマ達が危ない、狼を倒さなきゃ。


 「ア゛ォォ.......!?」

 「キャゥ゛!?」

 「何この炎!?妖炎とは違う...もっと恐ろしい力を感じます。」

 『!?、近くにあった枝が灰すら残さず消えたの。こんなの触れたら火傷どころじゃ済まないの。』

 

 そうして、真っ黒オーラを纏った狼の群れは何かが起きたルザーナの手...ではなく脚により一層されたのだった。


ーーーーーーーーーー


 「皆さーん!!」

 「おや、あれは。」


 エルフ国方面からエルフナイトの軍勢。

 戦闘にいるのはエルフナイトのトップ、フィースィさん。彼とは闘王闘技であった時以来だ。


 「お久しぶりです、フィースィさん!」

 「お久しぶり皆さん。...狼の群れはなんとかなっちゃったみたいですね。」

 「はい、ルザーナに9割持ってかれました。」

 「えぇ!?」

 「あれ、私そんなに倒してました?」

 『無自覚なの....。』(呆)


 驚いた、無我夢中で二人の助けに入ったけどそんなに倒してたなんて....大きな力って怖いですね。


 「私...怖。」

 「『...怖いよ。』」(呆)

 「まぁ、討伐してくれた事には感謝します。しかし、この森にも結晶があるとわかった以上油断は出来ません。現在他の隊も森の中を探索しております。その間は我らの国に...。」

 「いえ、我々も戦力として加担させていただきます!」

 「ええっ!?これは我々の...、」

 「放ってはおけません。邪獣の前兆で困っているのは皆さんだけではありません。」

 『だから手伝わせて欲しいの。知っている人が困ってるのはあまりいい気分じゃないの。』

 「...お願いです。」


 (((その借りで素材を拝借させていただきたいので。)))


 「...わかりました、ですが無理はしないでください。あなた方は今はあくまで我が国のご来客ですから。」

 

 (((よっし!!!)))


 キジコの知らない間にちょっと汚い心を覚えた3人であった。



ーーーーーーーーーー


 一方キジコの家、屋根の上。


 「...んん、ふわぁぁ....あ、おはよぅハルカぁ。」

 「おはよ、お母さん。」


 猫らしくしばらく寝てた私。

 起きてもハルカがいた。

 半分無表情じみた笑顔がすごく可愛い。


 「ねぇ、お母さん。」

 「ん?」

 「...私達、明日で前世34歳だね。」

 「ブフゥッ!?」


 耳に痛い言葉が聞こえた。

 一気に目覚めた。


 「正確に言えばお母さんがそれ、私ゃあくまでお母さんの娘というか人工的な分身だから。」

 「...母親に容赦ないね?」

 「娘だから。」


 可愛い顔でそれは言わないで。


 「...まぁ言うほど気にする事でもないかぁ。今の私はもはや長寿確定の体になっちゃったし。」

 「神獣の血を引いた桃花様でもあと数百年生きるらしいし、純血霊獣のお母さんもそれくらい、もしくはそれ以上生きるだろうね。」

 「はは....ちょっと怖い。」

 「長く生きすぎるのも怖いのは普通だからね、でも大丈夫。その場合は私がいるから、私がお母さん支える、うざったいかもしれないけど私自身でもある貴方だからこそわかるの。寂しい生き方はさせない。」

 「娘よ゛おおおおーーーーーー!!!!」

 「ぐるじい。」


 勢い余って獣人モードで抱きつく。

 今の言われて嬉しくないはずがない。

 

 「ほれほれ、くすぐってやるー!」

 「に゛ゃ゛ーーーーーーーー!!?」


 ルザーナ達がキジコのために奔走している中、呑気に遊ぶ二人であった。

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