第232話 エルフ国への旅
「今日もいい天気だなー。」
「ああ、狩りの依頼仕事は毎日こう言う日であってほしいな。」
「街道警備人の実力者不足問題、なんとかならねぇかな。」
エルフ国に繋がる街道。
白いレンガで作られたその道はどれだけ時が経っても汚れる事のない、通称ブランロードと呼ばれる。
「...そういや知ってるか、近頃昔話で有名な邪獣が復活するって話。」
「知ってるぜ、なんでも破邪の力が有効らしいな。嫌な事に俺らはそんな力持ってない、こんな時に襲われたら死ねる自信あるなぁ。」
「街道の警備が弱くなってるのはそう言う事だな。」
ドドドド....
「お、依頼の魔物...スピア・ホーン・ラビットの群れのご登場だ。」
「増え過ぎて畑のが広がってる、ここでとっちめてや.....あ?」
「アオオオオーーーーーーーーンッッ!!!」
「「!?!?!?!?」」
兎を追いかけ現れた大きな狼の魔物。
ギルドの依頼を受けたとある二人は腰が抜ける。
「ひえええええ!?」
「い、イビル・バイト・ウルフぅ!?」
「なんでこんな所にぃぃーーーー!?」
腰を抜かした男達を睨む狼。
その目は獲物を狙う目。
腹を空かした目。
「アオオオーーーーーーーンッ!!!!」
「「うわあああああああ!?」」
ダッダッダッダ....
「そりゃあああああ!!!」
「キャンッッ!?」
その瞬間、青い影が狼を蹴飛ばす。
「...へ?」
「大丈夫ですか!?」
「「さ...サラマンダーが喋った!?」」
「...待て!?もしかして...蒼脚の女王ルザーナ!?」
「はぁ!?って事は....金眼の四王!!??」
「無事な様ですね、私達はこれで!」
サラマンダーはエルフ国方面に走って行った。
狼も慌てて逃げて行った。
「....兎の群れ、ショック死してる。」
「俺達何しに来たんだろ。」
ーーーーーーーーーー
ルザーナです。
現在私達はご主人様の新しい靴を作るために、ご主人様に内緒で素材があると思われるエルフ国に向かっています。
「すごいですねこの魔法!スア、いつの間に覚えたのですか?」
『つい最近なの。館にも使われてる周囲の気温を調整出来る魔法なの。ただし温めは30℃までなの。』
「十分...です!!」
「『ちょっ、スピードぉーーーっ!!』」
スアのおかげで全然寒くありません!
この体だと変温なのですごく助かりますー!
それに加えクロマが空間魔法で空気抵抗を減らしてくれてます!
よーし頑張ってエルフ国に行っちゃいまーす!!
「るざ...ルザーナ速いいい.....お?ねぇ、あの森!」
『あの森は通称エルフの森。あの森の先にエルフの国があるの。今走ってる白いレンガの道を道なりに進めば都市があるの。』
「了解でっす!!」
「『だからスピードぉーーーーっ!!!』」
〜エルフ国近隣の森〜
タッタッタッタ...
「すごーい、大きな木ですね。」
「この木は冬でも葉はしっかり残る種類ですから、自然の香りで体が癒されます。」
冬でも深緑に染まる森の中、白いレンガの道を走る。
地竜の足でも時間が掛かっちゃいましたけどようやくエルフ国領土内に入りました。待っててくださいご主人様、私は貴方のために頑張ります!
必要なのはソフト・スケイル・ドラゴンの鱗。
ご主人様の靴を作る上で最も重要何がこの素材です。
以前ご主人様の靴を履かせていただいた時ですが...
「ご主人様、ご主人様の靴を履いてみてもよろしいでしょうか?」
「?、いいけどサイズ合わないよ。」
「そこは魔力変形で!」
「ほら、履いてみな。」
「.....おおお、おおお!?」
「思った以上にはしゃぐな。」
「なんですかこれ!?すごい履き心地です!靴底が柔らかい、走りやすい!!!」
...素晴らしい体験でした。
もしかしたら今私達が欲しがっている素材からでも作れるんじゃないか、そう思いながら進んでいます。
「...おや、あれは。」
「うぉ、サラマンダー!?ってか誰か乗ってる!」
「すみませーん、ここからエルフ国まであとどれくらいでしょうかー?」
「へ?あ、もしかして紹介状の?」
「はい!手形も預かってまーす!」
「ならあと2kmだ!」
「ありがとうございまーす!」
やっとだ、結構走りましたけどやっと着くようです....、
「アオオオオオーーーーーーン!!!!!」
「!?」
「ぉわっ!?なんだ!?」
背筋がゾッとした。
ついこの前にも感じたこの気配。
後ろから凄まじい殺意が迫ってきている。
...まさか、もうこんなに広がっていた!?
「ガルルルル......!!!!!」
「また狼....けどただの狼じゃない気がします。」
「いやどう見てもあれはやばいのだよ。」
『このままだとこの先にある国が危ないの。』
真っ黒なオーラ....ああなんて事だ。
この森のどこかに結晶がある様です。
今ここにハルカさんもご主人様もいない。
頼れるのは己のみ。
大丈夫、ワイバーンだって退けたんだ。
私達なら出来る、きっと出来る!!
「お、俺がいると足で纏いだ。だが俺はこれでも巡回警兵だ、エルフナイトに救援要請を出す!」
「お願いします!私達は破邪の力を持ってますので森の調査を含め迅速な行動をお願いします!!」
「了解した!」
警兵さんは転移術式板で国へ転移。
「蒼輝!!行きますよ皆んな!!」
「はい!地竜、人型形態!!!」
『やってやるの!!』
ご主人様、いつの時も旅は一筋縄にはいきませんね。




