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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
239/302

第229話 来訪者(ハズレ)

 翌日、私達はミッドエデルに訪れた。

 それは桃花様にまとめた情報を送り伝え、各国に広げる為だ。今大陸内外の国々は邪獣の復活が近づいた事を知り大慌て、だから...


 ・桃花様にまとめた情報を渡す。

  ↓

 ・桃花様経由でこの前の会議に参加した各国王様に

  情報殿達。

  ↓

 ・その王様達を使い、より広範囲に情報を渡す。


 ...とする予定だ。

 何で他所の国にまでこんな事をと思うだろうけど、邪獣ウィルスや呪いは広がるので下手に人のいる所に温床を残す訳にはいかないのだ。もしそれを甘く見てナメた事をすれば国が一気に滅ぶだろうなぁ。まぁそれをわかってるから大慌てなんだろうと...信じたい。


 こんな状況になって馬鹿やらかす様な国が現れなんて無いよなぁ?


 「お待たせキジコちゃん!色々話したい事あるだろうけど他の国を待たす訳にはいかないわ。」

 「朱斗と蒼鈴がまとめた書類です、どうぞ。」

 「忙しい中ありがとうね、早く伝えなきゃね...。」

 「...桃花様、なんかやたら急いでる雰囲気だけど?」

 「ん?ああ、実は今日大陸街の聖人族国家の使者がウチに来るの。向こうは私ら程戦力が無いから貸せる戦力やその他の話をするんよ。」

 「へぇ、そういえば大陸外の人を見た事無いな...。」

 「あんまいつもの聖人族と変わらんよ。」

 「いつものって...。」

 「そうだね...使者が馬鹿じゃないといいのだけどねぇ...。あんまり馬鹿だとまた壁壊しそうだし。」

 「壁!?また壊す!?」


 以前馬鹿やらかしたのがいるんですね、はい。


 「桃花様!」

 「?、どうしたの。」

 「リ...リヒト王国の使者が!」

 「はぁっ!?」

 

 ...そしてまた馬鹿やらかしそうな事態が起きました。


ーーーーーーーーーー


 「お初にお目にかかります桃花様、私はリヒト王国の使者として参りました[セシノ]と申します。」

 「中立国家エデル大統領、桃花です。リヒト王国から御足労いただいた事を労うべきでしょうけど...そういう場合ではございませんね。」

 「はい、我らの国も邪獣で忙しいものですので。」


 私は今部屋の外で待機しているが...やってきた使者はえらくにこやかな青年だった。何というか...お面のような。


 「...予定よりも随分早いご到着ですね。」

 「すみません、海上が悪天候になり始めまして。嵐に巻き込まれる前に予定よりも早くこの大陸に到着しました。」

 「....そうでしたか、ご苦労様です。」


 桃花様...なんかツンとした雰囲気だ。


 「本題に入りましょう。国王様がお送りました親書に書かれていた通り、我々の国は他国と比べ戦力が劣っています。今邪獣の被害に遭えば我々の国は多くの命が消えてしまいます...。ですから、戦力に信頼をおけるここエデルから少しでも戦力を貸して欲しいのです。」

 「...戦力は貸します、人々の魂を邪獣のエネルギーにされれば溜まったものではありません。」


 そんな力もあるのか?

 化け物じゃないか...って、そういえば死体操ってる時点でほぼソレじゃん。適当に死体が増えれば増えるほどあの真っ黒オーラ軍団の仲間入りだからな。


 「では...!」

 「お待ち、戦力である兵士らは命を持って生きてる。...それ相応の対価や覚悟が無いと貸せないわ。」


 ...その言葉には重さがあった。

 そうだよな、兵士さん達だって生きているんだ。

 ただホイっと貸して命失ったんじゃ酷いなんてものじゃ無い。だから貸し預けても大丈夫な体制や保証があるのかどうかを知らなければならない。


 ...返ってきた言葉は。


 「...これを。」

 

 この気配...何かの書類だな。

 

 「我が国の財に関する書類です。流石に原本ではございませんが偽りはございません。それに加え貸していただく兵士達が暮らすに十分な環境や兵站らを揃えております。我々に出来る事は尽くしました。」

 「ふむ.......うん。私らが貸せる戦力を維持するには十分なのはわかりました。」


 ふむ、金額は問題無いみたいだ。

 でもなんだ、桃花様は何かに気になっているようだが...?


 「では...!」

 「この話は無かった事にします。」

 「...へ?」


 え!?


 「な...何故ですか!?桃花様にお伝えした事は全て事実で....。」

 「ええ事実ねぇ、でも全てじゃないでしょ?」

 「...!!!」


 あー、そういうパターンね。

 全部言ってないけど言ったことは真実、嘘発見器に探知されないタチの悪い話法。

 

 「私も使者をぶっ飛ばす訳にはいかないの、だから下手にそうならないようあらかじめウチの諜報員をそっちの王国に送り込んでるの。」

 「なっ!?」

 「確かにいい設備はあった、ええあったわ。でもそれは実力のある者達の分だけ。一般兵らの設備は普通以下で金ケチってるのが目に見えて耳で聞いてわかる、加えもし財力が圧迫すれば兵士を拉致して奴隷売買に売り財を確保する準備も整えてる...そうだろ?」

 「...!!!?、なんのことだ?」

 「なんのことも何も、転移が使える諜報員を送って私も行けばいい話よ。」

 「なぁっ!?」

 「キジコちゃん、この際言っておくわ。部下に転移役が何人もいるのはこの大陸くらいよ。他の国々は転移を持つ人間は貴重よ。」

 

 ガチャッ


 「失礼します、そうなのか?」

 「なぁっ!?れ、霊獣キジコ!!」

 「あ?」

 「....様。」

 「クロマちゃんみたいな人間となると大国が動く程の人材よ。それだけこの国はとんでもないの。」


 ...私は恵まれた環境で生きているんだな。


 「さて、くだらん話を私は聞きたいわけでも無いし、しょうもない案に付き合いたいわけじゃないの。」


 桃花様は鋭い目を開く。


 「...サッサと帰って来れるかしら?」

 「...信号シグナル。」

 「あ?」

 「...もういい、無理とわかった以上...別の行動に移すだけだ!!」

 「何をした?町中にブサイクな魔法陣貼られてるのは何で?」

 「爆破魔法陣だ、金と兵を今すぐに用意しろ。でなければどうなるかわかるな?」

 「...小物が。」

 「黙れ!!!貴様ら獣人風情が我ら聖人族に口を聞けることすらありがたいと思え!!!」


 ようやく本性を見せたか。

 性格はもっとブサイクのゲスだったな。

 殺してもいいかなと思う。ダメだけど。


 「はぁ...要求は?」

 「...そこの霊獣や仲間を差し出せ。利用するに価値がある。」

 「そう...指ぱっちん。」


 外の魔法陣が消えた。

 

 「...へ?」

 「面白いね、盾にしてたのはあの魔法陣だけみたいやね。じゃあキジコちゃん。」

 「私の押印持ってけ、断るって意味合いのな!猫....、」

 「待て...金だ!何だってくれてや....、」

 「パンチ!!!!」


 顔面一撃食らった男は窓を突き破り町に吹っ飛んだ。

 

 「ナイスパンチ!」

 「二度と来んな!」


 この後男は一目散に逃げ、自国に泣き戻ったという。

 同時にしょうもないトラブルが起きるのだが、それはあっさり終わるであろう。

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