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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
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第227話 キジコの苦労とハルカのお手伝い

〜キジコ視点〜

 

 はぁ...疲労回復効果上昇無かったらくたばってた。緊急事態ってなんでこう、何度も起きるんだ?悪意だろこんなの、どれだけ私や家族を忙しいスケジュールにする気だよ...。


 呪力オーラ個体のワイバーンがリーツに現れたって聞いた時はゾッとしたけど、ルザーナ達が対処したと知ってさらに驚いた。あの子達見ていない内に凄い成長するなぁ。


 朱斗と蒼鈴は書類仕事で現在館で苦労の中。

 桃花様も翠柳すいりゅうさんもミッドエデルに戻って大忙し。そのためタビさんや私を主体として周辺調査をしている。


 ルザーナ達は休ませている。あの子達も邪獣オーラ個体に有効な技を持ってるのだからなるべく休ませていざと言う時に動ける様にしておきたい。そう思ってたらやる気が出た、親心ってやつかな。


 さて、このあたりから使うとしましょう。

 レーダー機能フル稼働.....。


 ...


 バチッ、


 「!!!」


 あった、西の方からだ。

 疾風脚、急ぎ向かう。


 「うわああああ!!!」

 

 調査隊の声だ、ありゃまずい!!

 向かってみると現れたのは魔物トカゲ、アイツの弱点は....、


 「...!!」

 

 ぬぁ、私に気づいた...いや待て。

 目の前の奴らより私にターゲットを移した?

 この時点で妙じゃないか、なら考えろ。

 私が優先されたのは何故か、調査隊達との違いはなんだ、

 あの魔物トカゲの特徴はなんだ、


 こんな時は...[冒険図鑑]!!

 検索、あの魔物!!


 [種族名:テラー・バイト・リザード]


 ・凄まじい顎力と硬く鋭利な牙を持ったトカゲの魔物。

 ・トカゲの種族としては視力が優れており、熱源感知が使える。

 ・ただし種族的本能なのか、食事はより栄養価の高そうな個体を選ぶ事があり、体温の高く強い生物を襲う傾向がある。弱い人間の子供が襲われたケースが殆ど無い。


 ・この個体は視力を失った代わりに精度の高い熱源感知機能を持っております。


 「!!?」


 冒険図鑑に邪獣オーラ個体の状態が映る様になっている!これは大発見だ、向こうが熱基準なら...。


 「妖炎玉!!」

 

 魔物トカゲは妖炎に包まれ混乱する様子を見せながらそのまま灰となった。


 「キジコ様!」

 「大丈夫ですか!?」

 「はい、我々はなんとか無事です。」


 呪いにはかかってない。


 「無理はするな、近くに別の隊に合流するよう連絡した。一度安全を確保してくれ。」

 「了解です。」


 この人達は向こうの隊に任せておこう。

 私は結晶があると思われる場所に向かう。

 だが道中、結晶に近いているためか嫌な気配が増し、邪獣オーラ個体が何度か出現し討伐した。


 間違い無くこの先に何かある、こうなりゃ一気に...ジャンプ!

 私は高く飛びレーダー機能も使い周囲を広範囲探知。

 ...!!この先開けた土地にかなり濃い気配がある、そして見つけた!!


 だが次の瞬間、見つけたそれから呪力の槍が飛んできたのだ。私は疾風脚でなんとか避けそこへ向かう。


 そこにあったのは多分直径2m以下高さ3mもあろう大きな結晶。


 「はは...ちょっとこれはまずい。」


 流石のこれは私でも破壊するにあたっては大きな危険が伴う。こんな時は...。


 「もしもしハルカ!?」


 娘に連絡。


ーーーーーーーーーー


 連絡をしてから数分後...


 「お母さんお待たせ。」


 ハルカが到着。

 

 「聞いた通りのかなりの大きさだね。私に任せて。」

 「ありがとう、本当にありがとう。」


 娘の力にすがる親の図。


 「破邪ノ光力、目の前の邪を滅ぼせ!」

 「ブルルオオオォ!!!」

 「「!?」」


 どうやらこれで終わるわけにはいかないらしい。結晶から真っ黒なオーラが発せられ収束、オーラの中から闘牛の様な魔物が現れた。


 「いいっ!?なんだあれ!!」

 「あれは南の方にいる牛だよ。かなり凶暴で近づくのは危ないよ。

 「ぅええ...そうだハルカ、さっき冒険図鑑開いたら対象の邪獣オーラの効果がわかったんだ。さっきのトカゲは視力を失い熱源感知力が増していたんだ!」

 「え、本当?冒険図鑑...。」


 [種族名:ラッシュ・ホーン・ブル]


 ・重力ある巨体でありながら身軽に動き、凄まじい速さで突進する。

 ・一度怒ると見境無しに暴れるが動きは単調。


 ・この個体は理性を失い生命力が徐々に減っておりますが代わりにパワーと怒りが上がっています。


 「本当だ、そして最悪。ただの特攻暴れん坊じゃん。」

 「ああ、結晶を破壊する前にコレをなんとかしなきゃな。火朧ひおぼろ!!」


 魔物牛は私達を睨む一方で結晶を守っている。

 番犬ならぬ番牛ってか...。


 「...お母さんまさか、背中の和服でマタドールする気?」

 「卓球の別の言い方は?」

 「[ピンポン]...ってスッと言え!!」

 「ブルル....!!!」

 「おっと、気が立ってるなあの牛。そういうわけでハルカ。攻撃は任せたよ。」

 「...オッケー、任せてお母さん!」


 私は深紅の掛け和服をヒラリと靡かせる。

 予想通り魔物牛の視線は私(の和服)に釘付け、ハルカにはその隙に動いてもらう作戦だ。


 「ブオーーーーーッ!!!!」

 

 魔物牛はこちらに真っ直ぐ突進、私は風の如く優雅に舞い避ける。魔物牛は木に激突するも平然としており、パワーが上がってる影響で木が弾け折れた。

 私が結晶を見ると魔物牛は急ぎ結晶まで走り戻り、荒々しい息を立てる。結晶は破邪の力じゃ無いと壊せない。

 

 引きつけを失敗すれば結晶破壊要員のハルカに向かって攻撃するだろう。これはタンク役の私の責任は重大、ドジればハルカの身が危ない。


 「おら来いよ!!」

 「ブオオオ!!!」

 「魔力防壁、魔力変形シャープチェンジ!!!」


 魔力変形シャープチェンジで魔力防壁を変形させ、魔物牛の角を上手く固定させた。


 「ハルカ!!」

 「破邪ノ光力...大鎌!!!」

 「ブオオッ!?」


 ハルカの光の大鎌は魔物牛を大きく斬った。

 ダメージは通ったものの黒いオーラが大鎌を防いだ様だ。


 「なんて頑丈なの、大鎌が思ったより効いてない!」

 「ハルカ、妖炎を使え!!」

 「そうか防御貫通なら!妖炎玉!!!」

 

 6発の妖炎玉は魔物牛に命中、先程の大鎌よりも効いている様子があった。(破邪はあくまで呪力に有利)


 「お母さんこれだ!!ありったけのをぶち当てるよ!!」

 「ガッテン!」


 私達は呼吸を整えて叫ぶ。


 「「奥義・妖炎乱舞!!!」」


 魔物牛が私に向かって突進した瞬間を狙いカウンター、怯んだ隙に重い一撃を叩き込みぶっ飛ばす。そしてハルカの瞬速撃を加えた高速妖炎攻撃が魔物牛に何度も大きなダメージを与える!


 「お母さん今!!」

 「大妖炎玉!!!」


 魔物牛に大きな隙が生まれた瞬間、大妖炎玉で焼き尽くす。魔物牛は妖炎で身動きが取れず苦しむばかり、今なら...。


 「ブォ...ブオオオオ!?」

 「ハルカ、結晶!!」

 「うおおおらああああああああ!!!」


 ガシャンッ


 「ブオオオオオオオオッッ!?」


 結晶を壊した瞬間、魔物牛は断末魔を挙げながら消滅、同時に周囲に漂っていた呪力の気配が消えていった。


ーーーーーーーーーー


 「....はぁ、終わったぁ...。」

 「疲れた。」


 肩から力が抜けて大きな溜息をつく私とハルカ。

 念のため連結リンクスキルを用いて周囲に破邪の光を当てる。呪力が残っていたらまずいからね。


 「それにしても...なんでこんな所に結晶があったのだろう。」

 「わからない。邪獣関連で何か理由があるのは間違いないんだけど現段階じゃなぁ...。」

 

 グゥ...


 「「...。」」


 大きな腹の音×2。

 やるべき事は決まった。


 「帰って何か食べに行こうか。」

 「さんせーい。」

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