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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
230/302

第220話 どうなってるのこれ

 邪獣の調査のためレギスの森にやって来た私、しかし森は異変が起きていた。精霊水の川は黒く濁り周囲の植物が枯れ、周囲に住む精霊達は何か呪いのような力で苦しんでいた。


 それだけではない、森に住む魔物達は真っ黒なオーラを纏い凶暴になっており、手加減したとはいえ魔砲弾マジックキャノンを命中させても死骸が残った。明らかに耐久力が跳ね上がっているのがわかる。


 神力結界内にはテュー兄が精霊達を保護していた。ヴァルケオとマウ姉は異変を調査、私も川の上流を目指し走るも...邪魔が入った。なんと川の中から去年倒したはずの邪精霊...ソウルイーターの邪精霊が現れたのだ。


 

 『なーンで生き返れたカハ知らなイ。なんで力が溢レテるのかもわからナイ。』

 「そしてなんで川が汚れてるのかもわからないんだけど....お前の仕業じゃ無さそうだな。むしろ巻き込まれに近い。」

 『まぁソんな事はドウでも良い。...テメェハ死ネ!!!』

 「っ!!!」


 邪精霊は川の水を操りレーザーのように飛ばして来た。


 てか速いなんだ今の水鉄砲!?高圧とかそういうのか河原の地面削れたぞ!?やばい、今川の水は毒なんてもんじゃない、絶対避けるの前提勝負。


 「お返しだ魔砲貫通光線マジックペネトレーザ!!!」

 『ぐおおおっ!?』

 「...え?」


 あれ、効いた?

 あんな高圧水鉄砲撃てるくらいだから相当な強さだと思うのだが....どういう事だ?


 『き...キサマああ!!』

 「うおお!?」


 さらに大量の水を操り始めた。

 ...これは接近戦厳禁だな、お得意魔法スキルで攻めるしかない。


 『アクアボム!!』

 「魔砲弾マジックキャノン!!」

 『ぐぅっ!?...その程度か?』

 

 ...なんだ?今ただ相殺に終わった気がしたけど向こうは妙にダメージを受けたような…?


 『攻めて来なイならコッチから行かせてもらウ!!』

 

 水の渦をいくつも発生させる。

 ひぃこらたまらん、魔力壁アンド空間衝撃波ルームバースト!!!


 『っぁ!!?』


 ...やっぱりだ、こいつ火力は高いけど耐久力が低い。

 というか脆い、まるで崩れる寸前のジェンガだ。核を少しでも壊せばおそらく...。


 「悪いが遊んでる暇はない、じゃあな!」

 『...!!!』


 ペネトレーザで核を傷つけた瞬間、邪精霊は核ごと粉々に砕け散った...。


 ...どういう事だ?耐久性の高い魔物と耐久性のない火力邪精霊...、どちらも異変に乗じて現れた。

 なんの理由があって現れる?

 どうしてあーなった?

 邪獣の力と関連しているのか?

 

 ...今は進もう。上流ならきっと何かがわかるはずだ。出来れば同じく結界内を調査してるマウ姉と合流したい、向こうの方が今起きている事態に気付いてる事が多いだろう。


 向かっても見渡す先全てが黒く濁っている、さっきよりも枯れた植物の範囲が広がっている。...間違いなくこの先に何かがある。


 もうすぐだ......ぁ...!?



 「...逃げて、キジコ...ちゃん。」

 「マウ姉....!!!!!」


 ...黒いオーラに纏わりつかれたマウリの姿。

 さっきまでの黒オーラとは...何か違う。洗浄魔法や高治療ハイヒールでどうにかなるもんじゃない...どうすればいい!?

  

 考えろ...洗浄魔法のように汚れを...邪気を払う力を。

 ハルカのあの力を思い出せ...光を...優しくも邪を跳ね除ける強き力を。


 ...ダメだわからない..。

 コツがあるなら教えてくれ、ハルカ...!!!


 〈わかったお母さん、今から力を送るから手に魔力を込めて!〉

 

 ...え?


 〈早く!〉


 ...わかった!!


 私が手のひらに魔力を込めると...あの時の、ハルカが使ったであろう破邪の光が溢れて来た。


 〈今!〉


 あいよ!マウ姉、今助ける!!

 これに加えて高治療の力を混ぜる...!


 「名付けてリンクスキル、今助けるぞマウ姉!!!」


 光をマウ姉に当てると黒いオーラが消えてゆき、傷が癒えマウ姉の呼吸が安定して来た。


 [個体、キジコとハルカの特殊なスキルを確認。]

 [キジコの言葉を元に両者に新たなスキルを確立、習得しました。]

 [個体、キジコとハルカは連結リンクスキルの使用が可能となりました。]

 [ 連結リンクスキルはキジコとハルカの意識が繋がった時のみ使用可能。]

 [ 連結リンクスキル、破邪の癒光を習得しました。]

 [効果:対象の傷を癒し、呪いやその他状態異常を治します。]


 ...どうやらスズネさん達から良いもんが送られて来たようだ。

 〈そうだね、ありがとうって言わなくちゃね...。マウ姉は無事?〉

 ああ。


 「う..うーん...?キジコちゃん?」

 「マウ姉!大丈夫、意識は?吐き気は?この指何本に見える?というか声聞こえる?どこか痛くない?」

 「疑問文攻めで耳が痛いわ...。でも、何があったのって顔だわね。」

 「ああ....この先に何かあるんだね。この精霊水だった川の水が溢れる場所、この奥、岩山の先に。」

 「ええ...邪獣よ。」

 「....!?、復活はまだ先のはずなのになんで!」

 「前兆...ってやつだわ。そこから発せられる高濃度の邪気にが今この奥にあるさらに強力な結界の中に満たされている。この精霊水の川はそれに汚染されたもの、でも奇跡的に精霊水の浄化作用で漏れ出した邪気の効力は弱くなっている。それでもその邪気は魔物達に悪影響を与えた。何かしらの力上げて他の力が弱くなった...とかね。」

 「それだよ、さっきは耐久力だった。私の魔砲弾に当たっても死骸が残った。...それにさっきあの時の...以前ヴァルケオと倒した邪精霊が生き返ってた!」

 「...やはり、キジコちゃんも見たのね..!」

 「見たって...!?」


 「ガルルル....!!!!」

 「!?」

 「追いついて来たか...!」

 「マウ姉...あれ何!?」

 「キジコちゃんのいうカラミアってのと似たパターン。突然変異でとんでもない魔力を有した熊よ。でも昔私達が倒したの...でもこうやって今目の前にいる。死骸は残らず灰にしたのにね。」

 「...死んだ奴が復活しているのか!?」

 「かもしれないわ...キジコちゃん。話は後よ、力を貸して!」

 「当然!」


 こんな状況で悪いけど成長した私を間近で見るといい、マウ姉!

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