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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
229/302

第219話 森の異変

 12月24日...前世ならクリスマスイブ。


 「今日はイブ...か。サンタさんプレゼントは吉報がいいです。」

 

 つい小声で言ってしまった。

 町は現在邪獣復活に備え年末迫る中守備が強化されていた。

 普通こういう展開ってさ、研究所側と何回か戦った末その真意に辿り着き命懸け熱い展開で世界を救うってのがセオリーだと思ったけどそうでも無かった。

 

 いやまぁ現実的ニコみれば早期対策が一番だよね。ハルカの言った事は真実だってのもわかったしこれはこれで...


 「味気ないなぁ....。」

 

 私もジッとしてるわけにはいかない...いや違う、ジッとするのが苦手です。私が出来る事をするとしよう。

 走って行くのもアレだし...そうだ、神獣形態でジャンプしどこまで飛べるか試しながら向かってみよう。

 燈朧ひおぼろ...よし、レギスの森に向かうとしよう、庭に出て全力ジャーンプ!

 



 と、行動したのが一分前。

 現在レギスの森に向かっての方向........上空。

 あばばばば...こんなに飛ぶとは思わなかった、普通こんなに飛べるからなぁ!?


 っと現在位置は....ふぁ、森までの距離を今のジャンプで8分の1は進んだぞ!!??

 レギスの森はこの大陸内で南寄の方にあるのだが結構距離がある。ガソリン車でも多分一度給油する必要があるくらいの距離じゃないかなと思う、知らんけど。


 猫時代のゼオ達の旅で森近辺から帝国まで約3泊4日だった、エデル領域から森まではさらに距離がある。多分5日...はかかると思う、歩きなら。


 飛行スキルとか持ってないんだけど案外パワーだけでどうにかなるんだな、筋肉こそ正義とは正にこれだな!


 しかし今のジャンプでこれなら出力や力加減でもっと飛べる気がする。次のジャンプは何かしら意識しながら飛んでみると新しいスキル入手に繋がるかもしれない。


 それにしても...空から見る景色って良いもんだな。



ーーーーーーーーーー


 [補助スキル:飛翔を習得。]

 [効果:ジャンプした際の肉体負荷、目的位置の把握、力加減などの最適解化。]


 [補助スキル:落下負荷軽減を習得。]

 [効果:着地時の負荷を軽減、落下時の重力負荷を軽減。]


 予想通り新たなスキルを習得した。

 これでより楽にジャンプ移動が出来るだろう。

 ...まぁルザーナがいる時は極力ルザーナを頼る。じゃなきゃあの子拗ねる。


 お、森が見えてきた。

 初めてだな、自らの足でこの地に帰って来るなんて。

 確か外からは神力結界内の景色は見えないどころか、入る資格がないと神域に入れないのだよね。


 「....ぁ..。」


 その景色を見た瞬間、この世界に来た際の記憶が溢れて来た。その地に降り立ち見回す。ここは...私がこの世界に来て最初に目覚めたあの場所。


 「...ただいま。」


 確かこの先にあの精霊水の川があるはずだ。

 魔力回復効果のある貴重な水だし、空間収納庫にあるカラの水筒に数本詰めとこ。



 ...見えて来た..........は?


 しかしそこにあったのは黒く濁った川。

 よく見れば付近の植物が萎び枯れており、河原の石も謎の汚れにまみれている。

 何が起こっている...!?そうだ、確か川の上流にヴァルケオ達や水の自然精霊エレメンティアがいるはず!!


 

 ...!!!

 ダメだ、上流側も汚染されている!

 自然精霊エレメンティアはどこだ!?

 ヴァルケオ、マウ姉、テュー兄は無事か!?


 「ガルルル.....!!!」

 「っ!?、なんだ...この魔物達は!?」


 河原には謎の真っ黒なオーラを纏った鹿やら狼やらの魔物。オーラの中から見える異常に赤い目、レーダーで感じ取る限り殺気以外の感情がまるで何も無い。


 どうなってる...レギスの森は!?

 

 「ガルルァッ!!!」

 「魔砲弾マジックキャノン!!!」

 

 加減をした上で一掃、なんとか出来たか...あ?

 コイツら弱い魔物だよな?

 なのになんで魔砲弾受けて遺体が残ってる?

 明らかに魔法に対し耐性が跳ね上がってる...もっと嫌な予感がして来た!!!


 ...!!

 この気配は...精霊だ!!


 『うう...。』

 「大丈夫か!!!」

 『...もしか...して、前に会った獣人さん?』

 「ああそうだ!!....なんだこの黒いオーラは?っ洗浄魔法、高治療ハイヒール!!!」


 水の自然精霊エレメンティアに纏われていた黒いオーラが消え、少し力が戻った。


 「他の自然精霊エレメンティアは!?」

 『...向こう、神域。私...は、仲間...残ってないか探しに...きた。』

 「他にいる?」

 『ううん....探しに来たのも...ここにいるのも私だけ...。』

 「わかった!」


 私は水の自然精霊エレメンティアが指差した方向に向かい神力結界内...つまり神域に突入した。


 「...あ!テュー兄!!!」

 「キジコ!?どうしてここに!」

 「そんな事はあと!どうなってるの森は!?」

 「...30分程前、突然川に呪いを纏った汚染物質が溢れて水を黒く染めた。そこから溢れる邪気でこの森の生命に異常に異常が起き始めた。」

 「さっき真っ黒なオーラを纏った魔物がいた。」

 「!、キジコも出会ったか。ならわかってると思うけどあの姿になった魔物は異常に強化されている。」

 「ああ、魔砲弾マジックキャノンを命中させたのに遺体が残った。...マウ姉とヴァルケオは?」

 「今ヴァルケオは結界外、マウリは結界内の調査に向かってるよ。それで僕は精霊達を守護している。」

 「...私は川の上流調査に向かうよ。」

 「わかった、もし精霊を見つけたら保護をお願い。」

 「がってん!」


 先程の精霊をテューニに預けて私は上流へ向かう。


ーーーーーーーーーー


 もっと上流に向かおう、

 何かあるはずだ...!



 『見つケタ...ぞ!!!』

 「っ!?」


 川の中から突然魔力の刃が飛んできた。

 それも凄まじい呪力を付与して。


 「誰だ!?」

 『ククく...久しぶリだナァ、クソ猫がァ!』


 この嫌な魔力、イガイガする気配...まさか!?


 汚染された水の中から真っ黒な石飛び出て来た。石は水を纏い人型を形成、赤い一つ目の姿を表す。


 「見た目は随分変わったけど...なんで生きてる?あの時の...ソウルイーターの邪精霊!」


 どうなっている...この森に何が起きているんだ!?

 なんでコイツが生きている...やるしかない!!

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