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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
226/302

第216話 晴夏

 あれ...ここどこ?


 なんだろう...寂しい。


 暗い...夜だから?


 違う、...どこ?


 (あなたは誰!?)


 ...?

 私今何か言った...?

 いや違う、これは私じゃない。

 ...でも誰だっけ、知ってるような...。


 「あなたは誰?」

 (誰だ!?)

 「あなたと私は誰?でも知ってる気がする。」

 (知るか誰だ!!!)...


 そのまま何かの繋がりが消えるのを感じた。



ーーーーーーーーーー

 

 「...!」


 見知らぬ...事もない、知ってる天井の下。

 気がつけばベッドの上にいた。

 ここは...私の部屋だ。


 「(ようやく目覚めたか...。)」

 

 頭に響く念話声、

 プロト10か...。


 「...よくわからないけど誰かと話してた。」

 「(誰か?)」

 「暗い空間で誰かがいたように感じた。話しかけたら誰だって言われた。」

 「(?)」

 「なんと言うか...鏡を見て話してたような...鏡?」

 「(...もしや、キジコとなんらかの繋がり...[パス]が出来たのではないか?)」

 「キジコ...パス...ああ!私お母さんと話してたのか...?」


 あれ...なんだろう、キジコって私のオリジナルなのに今自然と[お母さん]って言った気がする。


 「(...我も[グラザム]に手を貸して長くはなるが貴様のような奴は見た事が無い。)」

 「グラザム...?」

 「(教授の名だ、本名かは知らんがな。お前はここのところ動き過ぎだと聞いた。しばらく休んでいろ。)」

 「...わかった。」


 ...私はハルカ...晴夏はるか

 神獣候補キジコの娘...お母さんの子供...。

 うん、認識が変わっている。

 称号多趣味が消えて、[受け継がれし才能]という称号を得た。効果は...[スキル上限100、成長により上限の増加あり]...だってさ。はいチート。


 うーむ...私がこの体で晴夏という名を持った事で、私という存在がはっきり確立したとかそういうのだろうか?名もない複製体から名と自我を持つ子になった...そういう事だろうか、まぁ考えていても仕方がない。


 私は私、自分の生き方は自分で決めればいいさ。

 さて今日はもう休もう。

 明日からはお母さんと同じように強くなる事としよう。ここから先は強さを得る事が最優先、出なければ出来る事も出来ない。


 

 そんなわけで3日眠る事にした。

 ただでさえ私は普通の人間じゃない...いやお母さんも普通の人間じゃないか。


 「...それで、我をなぜ呼んだ?」

 「修行をつけて欲しい。」

 「...なんだと?」

 「修行をつけて欲しいんだ。」

 「なんで我にだ?少なくともお前の母に喧嘩売った相手に頼むってどういう思考してやがる。」

 「私は私だ。やりたい事をするだけ。そしてそれには強さがいる、。私はお母さんの出来ない事をする、それだけ。」

 「はぁ.....まぁいいだろう。我も肉体の修復を終えた身だ、慣らしになるかどうかは知らんが付き合ってやろう。」



ーーーーーーーーーー

 

 「驚いた...プロト10に鍛えられていたのか。」

 「通りでその歳と体格であの嫌なワイバーンにあっさり勝てたわけか...。」

 「現在進行形で強さが無くてはならない状況なのはお母さん達も一緒だよ。」


 自身の強さの秘密の一部を語った晴夏。

 あのサイボーグドラゴンに鍛えられたとなると確かにあの強さに納得がいく。あのワイバーンを当たり前のように首を刈り取る姿は見事だった。


 しかし思えば...闘王闘技が始まった頃に聞こえたあの声(第126話の)はその時のだったんだな。あの時に彼女は私の娘となった...そんな感じだな。

 私であり娘...不思議な気分だがあえていうなら、この子可愛い。


 「...そういや聞きたいのだけどハルカ。」

 「なに、お母さん?」

  (こう見ると本当にただの親子だな...。)朱蒼桃

 「ワイバーンを倒した時のあの光の邪魔はなんだい?」

 「ああ...これ?」


 ハルカは手の上に光を集める。

 すると光は果物ナイフのような見た目になった。


 「破邪之光力...光属性を用いた武器形成スキル。これすごいんだ、パンが楽に切れる。」

  (※この世界はパンの名前は向こうと同じパン。なんで?)

 「なんと...!?」

 「待て待て親子でボケるな。」

 「んんっ...一応こんなふうに。」


 今度は黒い何か...黒いオーラを纏ったナイフになった。


 「闇属性バージョンである、滅光之影力ってのもある。単純にいうと光属性と闇属性の魔法物理攻撃の一種だよ。」

 「ほえー...その歳でそんな技を使えるなんて流石はキジコちゃんの娘と言うべきね。」

 「私の使う鎖術も魔法物理攻撃の一種ですが使い慣れるには結構時間が要りましたね...。」

 「流石ですハルカちゃん!」

 「...なんか...その、照れます。」


 可愛い(可愛い)。


 「...さて、私についての話は一旦ここまでとしましょう。リモートの準備は良いですか?」

 「バッチリよハルカちゃん!」

 「...急にいうのもアレですが、研究所側でほぼ好き放題してる私を相手にここまで親切にされるとは思っていませんでした。それとも後で酷い目に遭わすのですか?」

 「そんな事しないわよ!」

 「そうですか...では。」


 桃花様は用意された複数の映像結晶を起動。

 いつも通りの各国の王様達。それと...


 「あのー桃花様、知らない方の映像もあるのですが...。」

 「別の大陸にある国の主よ。当然友好関係のある国だけだわ。」

 「...それでは皆様、これから話すのは嘘偽りの無いものです。信じられないのであればこのまま通信を切断しても構いません。始めます、近いうちに起こる邪獣復活を阻止するための会議を。」

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