第20.5話 ジユウ ナキ イシ
スーロッタ視点
俺は何をしているんだ...?
いや、ただゼオに皆んなのいる所に案内してもらってるだけじゃないか。
さっき行った河原の方だな。
あまりいい大きさの岩がなかったからこっちに来てたけど...。
「おーい、スー見つかったぞー。」
おいゼオ、少し恥ずかしいだろ。
「いいよいいよ、気にしなくても。ミーシャの料理も大方終わってるからあとは待つだけよ。」
ああ、遅れてごめんね..皆んな。
遅れてすみません、キジコ様。
「〜♪〜〜...」
...この歌はミーシャのエルフ族の歌。
いつ聞いても彼女の歌声は綺麗だ。
ケイはいつも通り何を歌っているかわかってなさそうだな。
...なんと、エルフ族の歌、言葉を知っていたのかこの魔物...!
不思議な方だ...。
俺はエルフ語の勉強苦手気味だったからちょっと羨ましいな。
....あれ、岩が飛んでいってしまった。
いや、魔物に当てようとした...?
なぜ、あの魔物...魔物?
いや違う!なぜキジコ様に岩をぶつけようとした?
疑わしいからだ...?
いや違うな、
...ああそうだった、よくわからない方だからつい実力を試したいと思ったんだ。
...!?なぜキジコ様に刃を向けているんだ?
...いや、そうだった。
試したいならそうするもんか。
ああ、ごめんゼオ、どうしても試したくて疼くんだ。変な性だよね。
すまないアリア、急に刃を出せば誰でも戸惑うよね。
驚かせちゃったね、ケイ。なんの約束もなくこんな事したらそうなるよね。
急すぎたねミーシャ、せっかく君が作った料理の前でする事じゃないよね。
すみませんルザーナ、君の主人に対してこんな事すれば怒るよね。
キジコ様、貴方は幼いのに良識と実力がある。
急に刃を向けてすみません。
「おいスー!何やって..ガァッ!?」
...?どうしたゼオ?
...!
なんだこの拳........!?
なぜだ!?何故ゼオを殴ってしまった!?
親友を傷つける理由なんてないのになぜ!?
「落ち着け、スーロッタ!」
...!逃げろ、アリア!!
「が...!?なにこれ..体が..動かない..!?」
!?、そんな...アリアにまで...!
なんで俺はこんなことをしている!?
「...拘束魔法っすか..どこで覚えたんすか?あんたそんな魔法覚えないどころか嫌いだったはずっす!」
拘束魔法...!?そうだ、俺はどこでそんな魔法を覚えた!?
そんな魔法は嫌でずっと覚えたくなかったのに!
なのに何故使える!?
習得なんかしていないはずなのに!?
「おわ!?」
!!!!!!
なぜ!?
一体なんで!?
なぜ俺は守るべき方を本気で斬ろうとした!?
どうして
どうしてこうなっているんだ!?
お願いだ...
逃げろ...
逃げてくれ...皆んな.........
....!
しまった、意識が少し飛んでいた。
キジコ様は...!?
....!!!
怪我を....している....あああ!!
夢であって欲しかった!!!
俺は....どうなっている...!?
どうなっているんだ!!!
「...いい加減にしろよスーロッタ。いや、[寄生虫]が。」
..ケイ!ああ、とうとう怒らせてしまった。
友達を..傷つけてしまうなんて....
でも、何かに気づいてくれたようにも見えるよ...。
「も う 一 度 言 う 。
そ の 体 か ら..........
ダメだ、意識がまた飛ぶ...もう持たない..。
お願い...頼むケイ、
僕を....殺してくれ。




