第209話 霊神決戦⑤
魔身強化を使っても闘いに埒が開かず、両者はそれぞれだけが持つ力を解放した。
それは凄まじい力を発揮するもニコはなんとキジコの力に気づき言ってしまう。
ニコは望んでいる。
お互い手札を見せ合いっこしたからこその全力の闘い。
純粋な力比べとも言える闘いを。
「キジコ!私は純粋な力をぶつけたい!!奥の手や隠し玉だらけな争いはいつだって出来る、だからこそ私はこの力の全てをキジコにぶつけたい!!!今の私達はもう外の世界で全力で暴れられる事は出来ないんだ!!進みすぎたんだ!!!だから見せてくれ、キジコの全力を、全てを見せてくれ!!!この先あるかもわからない、最強で最高の瞬間に...私と付き合って!!!!」
ニコはその身を焦がすような声と気持ちを叫ぶ。
ニコの言う通り、今の私達は以前のように全力で闘う事はこの場以外では無いだろう。なぜなら強くなり過ぎたから、暴れれば周辺をどれだけ巻きこむかわかったもんじゃない。
だからニコは今この場でなんの駆け引きもない、純粋な力比べを望んでいるのだ。
....ここで答えず親友を名乗る資格なし。
「ああ、付き合ってやるよ!!!魔力が空っぽになっても最後までな!!!!」
私は吹っ切れた。
「「どぅおおおりゃあああああ!!!!!」」
強烈な暴風が私を吹っ飛ばそうとする。
防風壁を使い無理矢理突き進むも足が浮く。どうやら軽減してもニコの風魔法には対抗出来そうにない。解除すれば吹き飛ばされ身動き出来ず斬られる。私もニコも自身を浮遊させる魔法は持ってない。
だから空間衝撃波で暴風を崩しその隙を狙いニコに斬りかかる。
私は妖炎斬りの力を常に発動させたままニコに攻撃を始める。こうすれば攻撃を防いでもダメージを与えられる。
しかしニコは最大限回避に集中している。
避けれない一撃は真成無双剣で防ぎダメージを受ける。
「でやああ!!!」
「っ!!」
「!!」
「押し...勝つ!!!」
「しまっ...!!」
私の攻撃を真正面から防ぎ、それを狙い私を押し返した。
ニコは真成無双剣を魔力で輝かせ猛烈なラッシュ攻撃をする。私も避けるのに精一杯、たまに攻撃を防ぐ際に妖炎でカウンターを与えるも大した効果は無かった。
だがこのままではまずい....!
「妖変化、猫モード!!」
「な!?」
私の特権猫モード....あら?
尻尾は日本になってるけど...なんか体が一回りデカくなった?その上毛の色が妖炎の影響受けてるし...。
まぁいいや。
「瞬速撃、疾風脚!!!」
「!?」
身軽になった事でとんでもない速さでニコに攻撃、見よこれが瞬発力やべー動物猫の力よ!
「ペネトレーザ!!!」
「ぐぅ..!!」
「加えて、ハイソニックパンチ!!」
いい一撃入れたかと思ったが...。
「そう来ると思った!!」
「やべ、人間モード!!!」
間一髪久遠で攻撃を防いだ。
「...本当にニコと闘うと思うように隙が突けない。」
「私もだよ、猫モードの存在知ってるのに想定していなかったなんて情けないよ。」
「ほう、流石私。分析力の優れたニコを困らせるとは!」
「全くだ!!」
1分間でどれだけ斬り合ったか。
「もらったあああ!!!」
「さぁせるかあああ!!!」
2分間で何回殴ったか。
「ニヒッ!」
「アハッ!」
3分間で何度笑ったか。
ニコの言う通りだ。
楽しいよ。
次いつあるかもわからないこの瞬間を味わうのが、
本当に楽しいよ。
「「絶対に勝つ!!!!!」」
全力の魔力を刃に込める。
巨大な妖炎の刃と光と風の刃。
抜刀体勢に入る私、
狙いを済ますニコ。
「この一撃に...!!!!」
「全てを!!!!」
私は抜刀した。
ニコは振り下ろした。
「大妖・夢幻霊火!!!!!」
「真成無双・輝天!!!!!」
巨大な魔力の刃同士が衝突する。
その熱気と輝きはバリア越しでも強く伝わる、だが皆はその光景を一瞬たりとも見放さない。
ほぼ全ての魔力を込めた事で両者は追い込まれた。少しでも押され始めた方が負けを意味する。さっきまでのお互いであればこんな衝撃を前ではすぐに吹き飛んだ。今この瞬間こそが最高で最大で最輝なのだ。
「....ニコ・重化斬撃!!!!」
「ぬああああああ!?」
ニコは斬撃を重くするスキルを発動した。
キジコは押される。
「この時を...ずっと待っていた!!!」
「!!」
「重力比例攻撃、この刃の全魔力を使ってでも打ち消しやがれえええええーーーーーッ!!!!!!」
「あああ!?」
キジコの一撃により両者最大の一撃が打ち消された。
お互い剣が手から離れる。
「....!!!」
「....っ!!」
二人は走る。
「猫....!」
「ニコ....!」
決着をつけるために。
「「パンチ!!!!!!!」」




