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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
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第207話 霊神決戦③

 「「魔身強化・出力最大!!!」」


 闘いの炎の勢いが増す。

 

 「あの二人まだ力が上がるのか!?」

 「当たり前や、神獣の力があの程度な訳ないじゃん。」

 「あの程度ならまだ俺達が勝てる。」

 

 桃花様や朱斗蒼鈴は神獣の血を引き力を引き出せる者、二人の力がこの程度であるはずがないと気づいている。そのためさらなる魔力の増加に備えてより強固な結界やバリアの構築準備をしている。


 彼らも大変である。


 「妖炎・飛燕斬波!!!」


 火力の増した炎がニコに襲い掛かる。


 「無双・真空斬りっ!!!」

 「!!、炎が消えた...なるほど、名前の通り一瞬ではあるが真空状態を作ったか!」

 「当たり!無双・帆風一閃斬り!!!」

 「幻影回避!」


 ニコの技が風に関するものになっている。

 やはりニコは風の魔法に適正があるようだ。


 まずいな、風の魔法は視認しづらいしレーダー機能を集中させなくてはならない。風魔法は慣れない内は大した威力も無いし長続きしないのだが、ニコはそもそも出会った頃から竜巻起こせるくらいだったし、これはちょっと...やばい。


 「無双・暴風乱流!!!」

 「うお!?」


 早速来たよ広範囲風魔法。

 本で知ったがここまで厄介な風魔法を操るなんて相当な技量がいる。

 今私は吹っ飛ばないよう脚をガッシリ地面に着きバリアでなんとか視界を確保している。


 これが風魔法の厄介な点。

 砂埃やチリで目が傷つきやすい。あのワイバーンがやたら強く感じたのはこういうのがあるからだ。


 空間衝撃波ルームバーストも何度も使う訳にはいかない、おそらく発動のコスパは向こうの方が良いからジリ貧になる。


 ならばどうする、やるなら...ん?待てよ。

 これいけそうだ。


 「今こそ趣味で得たイメージを解放する時...。」

 「くらえええ!!!」

 「!」


 ニコが大剣を振ると暴風がそれに合わせて襲い掛かる。


 (瞬速撃ハイソニック、疾風脚、常時発動スキル身体強化脚部関連出力上昇!!)

 「!」

 「どぅおおおりゃあああーーーー!!!」

 「何...ぐああ!?」


 全力のタックル。

 なんとかいけた、物は通さないのに空気抵抗の影響を殆ど受けない特殊なバリア!

 やけくそ一発じゃ!

 

 [防御スキル:防風璧ウインドキャンセラーを習得。]

 [発動中、風の影響を軽減させます。]


 うお、なんか良いスキルが手に入った!?

 そういや属性関連の魔法に対して耐性を持つスキルとかあったわ。久遠作成時のでっかい蛇だって雷耐性持ってたし。


 「どうしたキジコ!今の一発は効いたけどそれで終わりか!」

 「...ニヒッ。」

 「!!」

 

 ガキィンッ....


 「...!!なんでこの風の中でそんな動きを!」

 

 私はニコに対しフェイントを交えた攻撃を放つ。

 これは大成功、防風壁を魔力変形シャープチェンジを発動させたまま自身に纏わせる。魔力量を結構食うけどこの状況において最も使えるしニコにダメージを与えられる。

 ...しかし、入手したばかりだからレベルが低く、まだ風の影響を多少受ける。使いすぎないよう気をつけよう。


 「...本当、何出すかわからないなキジコは。」

 「それに関してはニコも一緒でしょ!?」

 「そうだよ!!」


 暴風が止み、再び激しい攻防戦を始めた。


ーーーーーーーーーー


 それからしばらく私とニコは斬り合っていた。

 魔力残量はお互い8割は切った。

 正直言ってお互い相手にしては予定よりも消費が早い、でかい技を撃つつもりでいたが少し怪しいな。


 まぁ楽しいから良いんだけど。


 しかし油断ならないのは今のニコだ。

 深呼吸をして落ち着いてるそぶりこそあるがその胸の高鳴りはおさまっていない、かなり意気揚々としている。おそらくさっきのバーニングテンションとか言ったスキルで気分が上がっているのだろう、普通こう言うのは冷静じゃなくなるのが弱点なはずだけど見た感じ落ち着き自体はあるので一度見せた小細工は多分通用しづらい。

 その上自信もついている、マイナスな気持ちがほとんどないから今この勝負に於いては精神面は明らかに向こうが有利。やられた!!


 「はああ!!」

 「うっぐ!」


 それにそもそも向こうは大剣を軽々操るパワーガール、とっておきの[あの技]を使うのはまだ早い。


 今思い付く限りでもいい、とにかく撃つ!!


 「物体転移!」

 「!、砂粒か!!」


 ニコが怯んだ隙を狙い距離を取る。


 「妖炎玉!!」

 「こんなもの!!」


 妖炎で少しでもダメージを与える。

 傷を回復しても魔力は無限じゃない。


 「くらえ特大妖炎玉あああ!!!」

 「!!!」


 半径2mの妖炎玉だ、これは痛かろう。

 魔力消費量的にも痛いからな。


 「...いける!!」

 「え?」


 ニコは大剣に魔力を纏わせ妖炎玉に突き刺す。


 「うおおおおおおお!!!!」

 「え、嘘、まさか!?」

 「確かこう、妖炎・飛燕斬波!!!」

 「嘘ぉ!?」


 間一髪避けるも妖炎ダメージを受けた、飛燕斬波はそのまま上空の方のバリアに激突して消えた。あれが観客席に当たってたらやばかった、まぁニコはそんな事しないけど。


 いやそれよりも、私の飛燕斬波を真似出来るってどゆこと!?


 「...かなり爽快な技じゃないか、キジコ!」

 「っ...妖炎・燦爛怪火さんらんかいか!!!」


 やばいびびった!!

 妖炎の防御貫通効果特化の攻撃を発動してしまった、まだ使うべきじゃない!


 「熱っ!!...無双・真空斬波!!」


 しまった、バックステップ踏んだ瞬間に妖炎ダメージを顧みずの遠距離攻撃!!ここに来てドジった、畜生!!

 ああああ、こうなるならもっと妖炎やフェイントをもっと使えば結果が変わって....



 ...待てよ?

 

 「っ、妖炎・陽炎斬り!!」

 「また来るか、どこからでも...、」

 「まだ動いてないよ。」

 「え!?...真空斬りを避けただけ...?」


 シュンッ...


 「また姿が、...そこか!!」

 「真っ直ぐだよ。」

 「え...ぐああっ!?」

 「どうよ!」


 ニコがようやく動揺した。

 

 (何かを使ったフェイントか!陽炎斬りを使っているならその技と同時並行が出来るスキルであるに違いない。)

 「...見破って見せる!!」


 私は再び姿を消す、

 ニコは集中する。


 「....でやっ!!...いない。」

 「猫キック!!」

 「うぐぁっ!?」

 

 ニコが距離をとった。


 (待てよこの状況、前にもあった...そう、クロマの時に...あっ。)

 「...もしかして。」

 「お?」

 「...ニコ・空間衝撃波ルームバースト!!!」

 「ゲッ!!?」


 ニコを中心に大きな衝撃波が広がる。


 「...見破った、妖炎の熱気!それを操って気配の探知を狂わせたんだろ?」

 「...もうバレたか。」


 そう、私が使ったのは散った妖炎の熱気を操る事で向こうのレーダーに引っ掛かせるという小ネタだ。その上で陽炎斬りのフェイントを使う事で惑わせるって作戦だ。しかし流石はニコ、立て直しが早すぎる!!


 「なるほど、たしかにキジコほど器用なら今の技が出来て当然...危うく飲み込まれるところだった。」

 「...まぁ、これで終わってしまってはニコらしくないね。と言うかごり押し含めて立て直し早すぎるって!」

 「こっちはこっちでキジコの手数多さに驚いたさ。魔身強化の出力あげたのにこれじゃ埒が開かないね。」

 「それもそうだな!」


 さて、もう使っても良いかな!


 「霊獣妖力、解放!!」

 「神獣輝力、解放!!」


 黄金のオーラは妖炎に染まり、

 白銀のオーラはより美しく輝く。


 「やっと霊獣vs神獣らしくなってきたね。」

 「ああ、またうずうずしてきたよ!!」


 霊獣パワーと神獣パワー、勝つのはどっちかな!

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