第206話 霊神決戦②
「猫パンチ!!」
対象に精密な狙いで繰り出されるパンチ。
「ニコ・キック!!」
豪快剛力のキックが空気を揺るがす。
キジコとニコの闘いがついに始まった。
霊獣vs神獣という未だかつてない決戦が始まったのだ。
会場のバリアは強化したにも関わらず何度も壊れかける。
だが観客は盛り上がる。その次元の違う凄まじい闘いに心が燃えている。
「魔砲起動!!」
「バーニングテンション!!!」
キジコから青い輝き、ニコから燃えるオーラが発する。
キジコが手を前に出すと40発を超えるレーザーがニコに向かって撃たれる。
「こんなもの!!」
ニコは笑顔でレーザーを弾くが2、3発ほど体を掠めたようだ。
ニコは掠った所を見ると高治療らしきスキルで傷を治し体勢を整えた。
「ブラスト・フェスティバル。」
青白いエネルギー弾を雨のように撃つ。
レーザー、砲撃、砲弾、これでもかと言うくらいに地面を削り荒々しく容赦なくニコを攻める。
これにはニコも驚く。
「テンション・バースト!!!」
ニコが砲撃に向かってパンチ。
すると砲撃が砕け散る、そこから一気に連続パンチを放つとキジコの攻撃が押されて始める。
一定まで押し込んだ瞬間ニコは思い切り力を込めた一撃を放つ、砲撃を貫きキジコに命中しバリアに叩きつけた。
「...早くも叩きつけられるとは。」
「!」
キジコの魔砲エネルギーが収束してゆく。
「ブラスト・ペネトレーザ!!」
キジコから放たれたレーザーはさっきまでとは段違いの威力を見せる。それはもはや殺意の籠った破壊光線、6本の光線はランダム方向にニコを攻撃。被弾した地面には赤熱化していた。
「ペネトレーザ!!」
「まだ撃つの!?」
流石にこれを弾くのは危険だと判断したニコ。迫り来る破壊光線から逃げる。
「お返しだ!!」
「っ、その技は!」
ニコの手からも青白いエネルギーが収束してゆく。
「ニコ・魔砲撃!!」
「!!」
キジコはニコの砲撃に破壊光線をぶつけかき消す。
爆発が起きて視界が悪くなる。
そして煙が晴れた次の瞬間...
「真成無双剣!!!」
「久遠!!!」
強靭な刃がぶつかる。
魔力を纏ったお互いの刃はバチバチと火花を散らし、摩擦による金属音が二人の闘いをヒートアップさせる。
「「瞬速撃!!!」」
またもや観客の目から二人の姿が消える。
あるのは金属音と火花、そして衝撃波
「魔砲解除、化猫起動、妖炎・陽炎斬り!!!」
「っ、幻影回避...!?いや違う、これは....、」
「でやああっ!!!」
「ぐああっ!!!」
背後からの一閃、ニコはその一撃を防ぐもあまりの威力で後方へかなり吹っ飛ぶ。その上妖炎による防御貫通でさらに痛い。
「妖炎・飛燕斬波!!」
そこから追撃に妖しい炎の斬撃が襲いくる。
「無双・大車輪!!!」
「おお、掻き消しやがった!?」
だがニコは剣を振りそれを防いだ。
キジコの刀、久遠は刃渡り60cm程と少し短いがその分攻撃が速く片手で扱いやすい。スキルと上手く合わせて攻撃が出来るため手数の多いキジコに向いている。
ニコの大剣、真成無双剣は刃渡り150cm程と、身長に対しかなり大きな刃。だがニコはそれを当たり前のように扱いもはや体の一部。豪快ながらも精密、一斬りが凄まじい威力で下手に当たれば軽傷では済まない。
お互いの魔法具の武器は対照的でもないが持ち主が持ち主であるからこその真価を持つ。
「加えて疾風脚!!!」
キジコは超スピードでニコを攻撃し始める。大太刀と比べ納刀抜刀がしやすく、速さに集中した一撃が何度も放てる。
「無双・明鏡止水。」
「え、その言葉どこで....?」
「そこだ!!」
「しまっ...ぐあっ!?」
ニコが知らないはずの言葉にうっかり驚いたキジコ。
「へへん!キジコが前に寝言で言ってたのをとりあえず言ってみた!」
(ゲッ、ゲームの必殺技を寝言で言ってたのか私!?)
「次はその手に乗らないぞ!」
「へへ、無双・ウインドバースト!!」
暴風が吹き荒れる。
その中に風切る音は混じっている、どうやら鎌鼬が飛んでいるらしい。
「明鏡止水ってのはな、極限の集中による無我の境地、心に曇りが無い状態だ!!」
キジコは刀を構える。
「擬似的再現、明鏡止水....道はそこだ!!」
吹き荒れる暴風の通り道、鎌鼬の位置が全てわかる。でもこれただのレーダー機能使っただけである、あくまで擬似的ね擬似。
「それがその言葉の意味ね...私には難しいな!!」
素直な言葉と同時にさらなる一撃が飛んでくる。
暴風の中を進んでいるためこれは避けられない。
ならばいっそ、
「もう使うか...!」
「...あれは!」
「空間衝撃波!!!」
暴風や追撃が大音量で一気に弾け飛んだ。
ニコはその一瞬怯む。
「猫キック!!!」
その瞬間を狙いキジコの後ろ蹴りが炸裂。
ニコをバリアに叩きつけた。
「ぐああっ!?」
「さっきのお返し、これでおあいこだ!」
かなりの一撃をもらったのか、ニコは一度落ち着き体勢を整える。
深呼吸をして大剣を構える。
「...ちょっと遊び過ぎたかな?」
「そうだね、私も温まってきたしそろそろいいんじゃない?」
「わかった。」
二人は特別観覧席にいる桃花に目を向ける。
桃花はそれに気付き、手をかざす。
「皆、さらなる結界やバリアを張るぞ!私も存分に力を回そう。」
透明だがさらに強固なバリア、結界が張られる。
「これでいいな。」
「ああ!」
お互いは深呼吸して叫ぶ。
「「魔身強化・出力最大!!!」」
二人の力はさらに増す。
「さぁ次はどこまで闘うかな?」
「引き出しはまだあるもんね!」




