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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
213/302

第205話 霊神決戦①

 12月15日...


 「...よし準備運動は終わり!」

 「私もOK、準備万端!」

 「頑張るぞ!」

 「おー!」


 中立国家エデル中央都市ミッドエデル。

 この日ミッドエデルの人々は騒いでいた。

 何かをずっと待ち望んでいたように、この時を待っていたかのように。


 「...私はこの闘王闘技の司会になれた事に誇りを持っています。なぜなら、闘王闘技歴史上最も輝かしく、熱くなる、素晴らしくなるだろう決勝戦に立ち会う事が出来るからです!!一時期は悲しい事もあった、だが帰って来た!英雄達は帰ってきた!!皆で讃えよう、英雄達の凱旋を、この闘いの地へ再び踏み込む姿に歓喜しよう!!時は来た!!!」


 感動し燃える司会の言葉に闘技場の、各国各地の観客達は声をあげる。


 「ヴァルケオ、いよいよだね。」

 「ああ、楽しみだよ。本当いつも誰かを心配させてはまた成長するんだから。」

 「キジコちゃんらしくていいわね。」

 

 「ようやく師匠とニコちゃんの決着が着くね。」

 「ご主人様は勝ちますよ!」

 『当然よ、主人あるじは強いの。』


 「さーてどっちが勝つっすかねぇ?」

 『わからんな、どっちも新たな力で全力で闘うのは今日が初めてだ。前例もな闘いだから気になってしょうがない。』

 『私もだ。こんな瞬間に立ち会えるなんて嬉しい限りだ。』

 

 「さぁ、英雄達のご登場だ!!!」


 私とニコは一緒に闘技場に現れる。毎度毎度耳が痛いなぁ、この歓声。


 「...急に緊張して来たなぁ。」

 「なーに、闘いになればすぐ吹っ飛ぶさ。そういうの。」

 「だな。」


 決勝戦で闘う、それは私とニコの約束。正直叶うかどうか怪しかった。どこでぶつかるかもわからないのにそんな約束していいのかと悩んでいたが、結局は叶った。


 結果オーライとは言え私達はようやくその約束を果たす事が出来る、とにかくその事が楽しみなのだ。


 お互い約束を果たすために色んな努力をした、色んな現実を見た、色んな恐怖を悲しみを苦しさを。


 私達は人生に後ずさり出来ない。出来るのは前に進む事ただ一つ。そして今できる事は...


 後悔の無い闘いをする...ただそれだけさ。


 私達は闘技場の中央でお互い背中をくっつける。


 「...キジコさ、私とキジコが決勝でぶつかるなんてわからないとか言ってたよね。」

 「うん。」

 「...叶ったね。」

 「ああ叶った。ニコの運の勝ちだ。」

 「ふふん!」


 ニコもその事気になっていたか。


 「嬉しい。キジコとこの場に立っているのがすごく嬉しい。...死んだって聞いた時は辛かったんだよ?約束をしたのに、あと少しだったのに。」

 「その節は本当にごめんね、私は誰かに心配させる癖があるみたいだ。でもね、結果的になってしまったけど私はニコにまた会えた。本当に死んでしまっても、どれだけ時間がかかったとしてもこっちに戻ってくるさ。」

 「もしそうなったらちゃんと戻って来てよね、私おばあちゃんになるよ?」

 「そりゃ大変だ。」

 「そこは嘘でも老けないって言ってよね。」

 「はいはい。」


 お互い笑う。


 「さ、そろそろ始めようか。」

 「待ってました!」


 私達はそれぞれ前に25m先にジャンプ。


 「さぁ、それでは、試合を...、」

 「燈朧ひおぼろ。」

 「無双むそう。」


 その瞬間、黄金と白銀の輝きが闘技場に現れる。

 

 「な...あれは...!!!」


 赤と白の和服、雉虎模様の長髪、二本の尻尾。

 霊獣キジコ、


 前見た時と違いオシャレだが美しくもかっこいい、

 白と黒の衣装、白い長髪と尻尾。

 神獣ニコ。


 「似合ってるじゃん、その衣装どこで?」

 「クルジュさんが考案してくれたんだ。キジコがくれた服のかっこいい所を機能性込みで頑張って考えてくれた。それをキジコのように色々あれこれして...今や魔法具となった。名付けて[ 御影みかげ ]だ。」

 「おお...クルジュさん、あんた本当にすごいよ。」


 なんと言うか...フィギュアで欲しい見た目。

 おおっと、そんな事考えてる場合じゃ無いな。


 「簡単に倒れないでよね、ニコ!」

 「あっさり負けないでよね、キジコ!」

 「後悔残る闘いした奴は!!!」

 「ぶっ飛ばす!!!」


 燃え盛る闘志、オーラが観客をさらに盛り上げる。


 「それでは...それでは!!闘王闘技...決勝戦!試合...、」


 お互い息を吸い、拳を構える。


 「開始ーーーーーーーッ!!!!」


 お互い目の前にいた。

 お互い右手で殴る体勢だった。

 お互い拳をぶつけた。

 お互いビリビリと衝撃が走る。


 その瞬間今までに無いほどの、大爆発が起きたかのような凄まじ過ぎる衝撃が会場全体を飲み込む。今大会のために桃花様や大会運営などがバリアを超絶強化していた。それでもなおバリアは揺れ、割れそうになった。


 私達は殴り合いを始める。湧き上がる心、テンションに身を任せてとにかく殴る。その速さはもはや異次元、何度も見えない爆発が起きる。


 試合は始まった。

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