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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
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第196話 協力者(竜)

 ワイバーンが討伐され館に戻って来たキジコとケイ。しかし町は念話の通信障害が各所で起きており、館は事件の調査でドタバタしていた。そんな中戻って来た私達はこの件を報告する為に緊急会議に参加する事に。

 

 だが事件の情報を整理してゆく内に、私を襲撃したワイバーンは囮である事に気づく。この事件の犯人の真の狙いは私ではなく、現在も眠ったままのニコであったのだ。


 襲撃者は小型の竜。ニコを食う事で神獣の力を取り込もうとしたのだ。しかし間一髪部屋に到着した私達に見つかり、手を出す前に窓から逃走。


 ニコにそんな事しようとして逃すつもりは一切無い私達は、クロマとスアにニコを守らせ、私とルザーナは小型竜を追いかける。その後空を飛んでいた所を撃墜、地面に落としたが見た目の割にはしぶとく生きており、私達はその怒りを込めて戦う事にした。


 「見るがいい...ラッゴ様の魔法をなあ!!」


 空間に違和感を感じた。

 クロマが使う時間遅行とは違う、なんか変な感じに。

 ...もしや。


 「物体転移。」


 ラッゴに向けて近くニコあった石を落とした...はずだったのだが、石はラッゴの右横数メートル先に落ちた。


 「オイオイ、どこ狙ってんだ?」

 「...空間魔法の妨害系のスキルか。」

 「さぁ?なんの事かなあ?」


 試しに桃花様宛に念話通信をするも届かない。おそらくこのスキルが念話通信障害やさっきのクロマの転移先のズレの原因だろう。


 ラッゴという小型竜は手に炎を纏う。その手を前に出すと、炎が渦巻き、大きな炎の渦を生み出したのだ。


 「燃え尽きろ、爆炎之渦バーントルネード!!」

 「ルザーナ!」

 「はい。」


 ルザーナは炎の渦にキック、あっさり消えた。


 「なあ!?」


 ラッゴは驚いている。いや確かにすごい炎の渦だったよ?でもルザーナからすればあんなのなんの脅威でも無い程度の威力だから、打ち消すくらいは楽勝なのよ。

 さて、ルザーナやっておしまい。


 「覚悟はいいですね?」

 「っ、隠密!」


 っと、気配を消し素早く隠れやがった。

 館の時もそうだったけど、コイツ気配を隠すのがかなり上手い。

 こんな時は、アレを使いましょう。


 「レーザーネット・センサー。」


 あら不思議、網目模様の竜が浮かび上がって来たぞ。


 「そこです!」

 「ぐえぇっ!?」


 ルザーナが蹴飛ばした。

 ラッゴはそのまま広場の木に叩きつけられた。


 ラッゴは迫る私達に炎の魔力弾を撃ち続けるも私の魔力弾で消される。ルザーナと私はどんどん近づいてゆく。


 「思ってた以上にあっさり終わりそうだ。ルザーナが言ってたけど、覚悟はいいな?私の大切な友達に手を出そうとした時点で罪は重いぞ。」

 「や...やめて!ごめっ、ごめんなさい!いや、嫌だ!!」


 今ここで処刑するわけでは無い。


ーーーーーーーーーー

 

 「んぁ?」

 「どうしたの、教授。」


 ミッドエデル付近の森。

 そこにいるのは研究所の教授と謎の少女。

 教授はルーペを使い、少女が回収したワイバーンの鱗を観察していた。すると教授がある事に気づく。


 「妙だな、この偏食ワイバーン...生きてる年数の割にはやたら強い奴食ったのか、鱗の年輪に対して強度がかなり高い。」

 「...?それがどうかしたの。」

 「おかしい、あんな荒々しい奴がそんなすんなり強い奴なんて食えるか?いやあり得ない、荒くれな戦い方でそこまで上手くいくとは考えられない、だとしたら別の戦い方があった?いやそんなわけがない、眠ってる所や弱ってるのばかり狙ったか?それも考えづらい。なら一番あり得るのは...協力者だな。」


 教授と呼ばれる男もこの事態にすぐ気がついた。

 その後も日の光に当てて光の反射具合を見たり叩いて詳しい強度を調べたりしている。


 「...失態。」

 「あ?」

 「失態。お母さんが危ない。」

 「やめとけ、今行くと余計騒ぎになる。おそらく相手は気配を隠す事に関しては一流以上だ。」

 「...?」

 「投入したお前ですら気づかなかったのだろ?それであり得るのはよほど隠れるのが上手い奴がいるとまず考えられる。下手な行動をすると流石に危ない。」


 教授は悩む。


 「...変な気持ちだ。お前はお母さんの敵だというのに。」

 「あー敵だよ敵、ある意味お前にとって敵。でも末端研究所の奴らと違って物は大切にするタイプなんだよ。んでもって俺には俺の研究があるんだよ。」

 「だから部屋が...。」

 「はいはい汚いんだろ。」

 「うん。」

 「...、話を戻そう。」


 ワイバーンに協力者がいるのであれば、何もそのワイバーンだけが強くなってるとは限らない。一方的に従えてるわけでも無い、もしそうだったらどっかで気配を消して逃げられている。だとすれば従えてるとかではなく協力者としての関係の可能性が浮かび上がる。


 ならそこからあり得るのは、その協力者もワイバーンと強者を喰らって来たという事。お互いに出来る事出来ない事をカバーして行動していたならばある程度より強い奴の相手もどうにか出来ただろう。


 そして協力者は気配を隠すのが上手い、力を隠している可能性も高い。なら下手に行動はしない方がいい。


 「...ってところだ。」

 「なるほどー...ん?」

 「どうした?」


 少女はワイバーンの鱗の山から小さな何かを拾う。


 「これ。」

 「んぁ...?...まさか。」


 教授はルーペでそれを観察する。


 「...当たったな。」

 「当たり?腹痛いの?」

 「食あたりじゃねぇよ。」


 教授は少女にそれを見せる。


 「これはその協力者とやらの鱗だ。」

 「...鱗?」

 「協力者も竜かトカゲの可能性出たな、それに加え魔力も帯びていやがる。手練の魔法使いだぞコイツは、それなりの年数を生きている上に予想通り強い奴を喰って来たのか鱗の強度も高い。」

 「...!」


 教授は眉間にシワを浮かべながらその小さな鱗を見ていた。悪い予感がすると思いながら...。


ーーーーー


 「大人しく捕まるか...死ぬか、どっちにする?」


 ラッゴに迫るルザーナ。

 コイツを許すつもりはないが、もし何か聞き出すべき情報があるかもしれない以上、念のため生かす可能性も残す。


 「捕まる、捕まります!!だから殺さないでくれええ!!」

 

 だがなんだ、やけにあっさり過ぎる。

 なんだ...この違和感は。

 コイツはワイバーンの協力者...待てよ、だとしたら本来コイツもワイバーンと同様に強い奴を食べていると考えても...おかしくない!!


 「待て、ルザーナ!!」


 だが遅かった。

 ルザーナは...その場で倒れた。


 「...!!!」

 「ドラゴン・ソウルイーター...俺様の勝ちだ。」

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