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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
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第195話 囮

 「はぁ!?お母さん!!??」


 会議室に響く声。

 あまりの急な大声にびっくりして毛が逆立ち耳ペッタンになる私キジコ。報告の最中に驚く皆。

 大きな机と椅子がガタンッと動く。


 「え?どういう事ですか師匠!?」

 「キジコちゃん...いつの間に子供出来たの?」

 「ちげぇよ!!?」


 私も驚いているんだからな!?

 突如現れた女の子にお母さん言われて!

 あれかな、スーパーで混雑してるエリアとかで他所の子に親と間違われるアレ?


 「...妙な情報ばかりだな、念話通信の妨害、風のワイバーンの襲撃、そして謎の少女。神獣の騒動がようやく落ち着いたというのに、一体何が起きているんだ?」


 リモート参加中の王様達。

 

 『キジコ様、質問いいかしら。』

 「はい?」

 『風のワイバーンはどうしてキジコ様を狙ったの?』

 「はい、なんでも...この町にいる人達の中で突然魔力の弱った奴がいるのを感じ取り、その私を食うために襲撃して来たって感じです。」

 「感じ取る...ミッドエデルが監視されていた?」

 『変ですね、魔力を感じ取るならまだしも、そんな的確に狙い誰にも気づかれず襲撃なんて...』

 「あの風のワイバーン、荒々しい所はあるけどかなり知能が高かった。でもそんな隠密のような力を持っているなら最初からずっと使ったまま私を襲撃した方が効率良かった。なのに急に現れわざわざ戦うなんて...。」

 「ただ戦いたい訳でもない、そもそも食いに来たから回りくどい真似をするのはおかしい。」

 「誰にも気づかれないよう気配消して...町中に突如現れる...んでただでさえ弱っている私に姿を見せわざわざ戦う...。」


 行動のおかしさに混乱する私達。


 「...あの!」

 「!、どうしたのルザーナ。」

 「...竜の勘?と言いますか...そのワイバーンというか襲撃者は、一体だけではない?気がするんです。」

 「っ!」

 「聞いてる限りではワイバーンが急に姿を見せ襲撃して来たって事ですが...その気配を消す事や町への襲撃方法、そのワイバーンがするようには思えないのです。」

 「...確かに。あのワイバーン私がさらに弱れば食えたはずなのに私を殺してから食うとか言ってたし、戦い方も賢いけどなんか荒々しい。さっきも言ったけど気配を消したまま襲えばいいのに向こうは大きな風の渦を作り出すとか目立つ行動ばかりだった。」

 「はい、ですから襲撃側と町へ誘い込む別の誰かがいるのではと思いました。」

 

 ルザーナの言った言葉は推測でしかないものの皆が納得する雰囲気を見せた。なにせその推測が現時点で最もあり得やすく不可能ではないからだ。


 どんな生物も一人で出来る事には限界がある、しかし協力する者がいれば可能性が広がる。

 竜は知能が高い、ならばその可能性と推測は十分あり得る話。


 目立つ奴と目立たない奴....ん?


 目立たない奴...隠密行動、


 狙った...弱った魔力、


 強い奴...私と同じで弱ってる奴、


 私は抵抗出来た...でも、


 今抵抗出来ない強い奴....いるじゃん。


 私と同じ日に、


 魔力をガンガン使った奴が....!!!!

 

 コンコンコンッ!!

 「失礼します、報告です!!」

 「どうした!!」

 「念話通信障害が発生していたエリアを特定できました!!」


 やってきた兵が町の地図を広げる。

 そこには闘技場から伸びている線、それを中心に半径300mに赤い線...通信障害の特に強いエリア。

 その線が伸びている先にあったのは...ここ。


 桜華の館。


 「狙いはニコだッ、クロマ!!!!!」

 「捕まってください!!!」


 私とルザーナとスアはクロマを掴みニコの寝る部屋に転移...しかし。


 「っ、部屋の外!?転移座標がズレてる...!!」


 周りには倒れた従業員や兵達。

 扉を開け部屋に入る。


 「ニコッ!!!!!」

 「っ!!?」


 そこにいたのは1.5mほどの小型のトカゲ...竜。

 

 「チィッ!!」

 

 その竜は窓を割って逃げる。

 ようやくわかった、真の狙いは私じゃなくてニコだ。奴は戦闘よりも何かしらの魔法に長けた個体、竜モードのルザーナよりも肉が細いあたり直接の戦闘能力はそこまで高く無いのだと思う。

 だから隙を見て獲物を狙う暗殺に近い戦法。

 ワイバーンを囮に真の狙いを遂行する。


 またニコを危機に晒した。

 失態だ。

 だが幸いニコは無傷、攫われてもいない。

 途端に怒りが湧き上がってくる、アイツを逃すつもりは無い。


 「クロマとスアはニコを守ってて。...行くよルザーナ。」

 「はい。」


ーーーーーーーーーー


 「クッソー!ワイバーンの奴負けやがったな畜生!!」


 気配を消し、町の空を飛ぶ竜。

 

 「あと少しで神獣の力を得られたというのに...畜生畜生!!」

 「畜生はテメェだよ。」

 「あ?」

 

 自身が飛行している先に一本のレーザー。


 「な!?ギャアアアッ!?」


 避けようとするも右翼がレーザーで焼き切れてしまい町の広場に落下。竜モードのルザーナに捕まり全力で追いかけて来た私。


 「みんな逃げろ!!魔物の襲撃だ!!」


 その場にいた住民達は、その翼が切れた竜を見て驚き逃げる。


 「なんで気づいた、この俺様の位置にどうやって気づいた!!」

 「臭いだ、これでも人間より嗅覚優れてるからな。明らかに知らない臭いと空間が歪んでる場所が空にあったらおかしいだろ。」

 「ッ...!」


 冒険図鑑、

 [種族名:ストラノ・マジック・ドラゴン]

 [個体名:ラッゴ]


 「まぁいい、この俺ラッゴ様は魔法が得意なんでな...ここから逃げるなど容易いもんだ。」

 「逃げられると思うなよ...?」

 「逃げてやるさ...逃した獲物の代わりに代わりに貴様を食ってな!!」

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