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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
202/302

第194話 正体不明の激強少女

 「目標補足、ワイバーン。対象の殲滅を開始する。」

 「...!?」


 現れたのは獣人の少女。

 私よりも背が小さい少女。

 身長はおそらく125cmあるか...?


 顔は猫耳付きのフルフェイスヘルメットで覆われておりわからない。


 でも...なぜか知っている。

 私はあの子と会うのは...初めてではない。

 そんな気がする。


 「誰だが知らぬが邪魔をするなら先に食ってくれるわ!!」


 ワイバーンが女の子に襲い掛かる。


 「空間認識完了、魔砲貫通光線マジックペネトレーザ。」

 「え...!?」


 その瞬間、あらゆる方向からペネトレーザが出現。

 ワイバーンの体を貫きまくる。


 「ゴアアアーーーーーッ!!?」

 「...!対象、高レベルの自動治癒スキルを保持しているのを確認。第三警戒体制に移行。」

 「ごちゃごちゃうるせぇ!!!」

 「危ない!!」


 女の子が危ない...!

 その予想は大きく外れた。


 ドゴォッ


 「...!!?」


 なんと女の子は...蹴りの一発でワイバーンを弾き返したのだ。その見た目とはあまりにも合わない火力。その動きに無駄は少なく、文字通り、対象を殲滅せんと行動している。

 その光景に私は力が抜け、呆然とはしている。


 「小娘が...!!」

 「...!」

 「グオッ!?」


 女の子は平然とワイバーンを殴り続ける。


 「ゴアアッ....アアアッ...!!」

 「対象の魔力の低下を確認。」

 「待て...待て!!もうこの町には近づかない、人も食わない!!見逃してくれ!!」

 「殲滅します。」


 女の子は右手に魔力を収束させる。

 すると光る魔力が集まり...大きな鎌を形成する。

 女の子はワイバーンの首を刈り取った。

 

 「すごい...あんなあっさりに。」

 

 いや、全快の私であれば楽勝だったけども。


 女の子はワイバーンの残骸を妖炎で処理する。

 というか妖炎までも使える。


 「対象の殲滅を完了しました。第一警戒体制に移行。」

 「ぁ...。」


 呆然とする事しか出来なかった。

 その見た目に合わぬ身体能力、

 魔法の力、

 妖炎、

 猫の獣人...、


 「キジちゃん!!!」

 「!!、ケイ!」


 すると外から焦った顔でケイが現れた。


 「大丈夫っすか!?無事っすか!?」

 「ああ、あの子が助けてくれて...。」

 「あの子...何を言ってるっす、どこにいるっすか?」

 「え?」


 私が目を離した隙にその女の子は姿を...

 

 消していなかった。

 普通にいる。


 「いやあそこにいるじゃん。」

 「へ?あ!?本当だ、なんで気づかな...あ、ありがとう、キジちゃんを助けてくれて!」


 女の子は首を傾げた。


 「私、任務、遂行しただけ。」

 「え?あ、そう...でも感謝してるっすよ。」

 「...わかった。」


 女の子は立ち去ろうとする、


 「待って、名前は?」

 「....。」


 ...私に名前なんてない。


 「...!!?。」

 

 それは知っている声だった。

 思い出した。

 この声を私は知っている。

 あの夜だ、第一予選を終えた辺りに、

 この声が私の頭の中に入って来た。


 念話なんかじゃない、自然と流れる声。


 「貴方、あの夜の...!?」

 「また...会えるよ、」



 「お母さん。」



 「...は?」

 「え?」


 女の子は姿を消した。


ーーーーーーーーーー


 それから私は桜華の館に戻る。

 館の中はドタバタしていた。


 「なんか...騒がしいね。」

 「念話通信障害が起きていたからっす。」

 「?」

 「さっき救援で来た衛兵から聞いたすけど、この町の各地で念話が使えないという事態が起きていたんすよ。主に、10m以上先の相手に念話通信が出来ないって状態だったすね。それで急な事もあって各所連絡が遅れたりでドタバタと...っす。」


 私がワイバーンの襲撃に遭ってる際にそんな事があったとは...何やら不穏だなぁ。


 「...!あ、キジコ様!!」

 「あ、ジン!!」


 丁度ジンがいた。


 「ご無事ですか!?ワイバーンがキジコ様を狙いに襲撃に来たと!」

 「ああ、その事で伝えなきゃいけない話がある。」

 「話?」

 「現場にいた私からも説明するっすから、今件に関する緊急会議に参加させて欲しいっす。」

 「わかりました、こちらで手を回しておきますので、今はお体を...。」

 「大丈夫、ガイスト様の加護で自動治癒あるから。とりあえず私は部屋にいるよ。」

 

 そう言って私は部屋に戻った。


 「ご主人様ぁーーーーっ!!!」

 「ニ゛ャ゛ーーーーーッ!!?」


 予想通り焦った家族が待っていた。










ーーーーーーーーーー

 ミッドエデルの外...


 「...。」


 1人歩くフルフェイスヘルメットの女の子。


 「独断行動するとは...随分面白い考えを持ったな。」

 「...教授。」


 そこに現れたのは教授と呼ばれる男の姿。

 各国が探し回っている研究所の男が堂々とミッドエデルの近辺にいる。

 そして少女は...研究所の関係者であるようだ。


 「僕はあの偏食ワイバーンの素材を入手するよう頼んだのだけどな...焼き尽くすってのはどう..、」

 「必要な鱗、空間収納庫に、ほら。」


 ドサドサッ


 「あら...取ってたのか。...だが殺して焼き尽くすなんて珍しいな。素材さえ集めれば良かったのだが。」

 「むかついた。」

 「...は?」

 「むかついた。お母さんを、傷つけたから。」


 女の子は拳をギュッと締めている。


 「(...本能的な怒りか?まぁ、有り得なくもないか。)」

 「教授、」

 「...ん?」

 「なんで今回の任務、隠密行動じゃないの。多分バレるよ。」

 「ああ、それに関しては借りを返しただけだ。」

 「借り?」

 「バノスの一件でな...まぁこの話はまた今度だ。」

 「じゃあ疲れた。腹減った。」

 「...はいはい、自由なやつだ。」

 

 (...早くもここまで強い感情を現すとはな、ああ今後が恐ろしい。)

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