第19話 ケイ先生のレーダー教室
現在軍隊から出発して5時間
食事の準備中、ケイに知らされたレーダーの問題点。
それを知らされた私キジコは非常にまずいと思いなんとか出来ないか頼むのだった。
ちなみにルザーナは近くでお昼寝してます。
「周囲感知の弱点について知ってる事があったら教えて欲しいです。」
今気づけてよかった。
めっちゃ強い奴相手して気づけてなかったら絶対まずいヤツ。
「了解っす!周囲感知とは、そもそも相手の気配などを探る事が得意な種族が持ってるスキルで、魔力を用いて感知の領域、フィールドを広げるのが仕組みなんすよ。
それで周囲感知のバレ、スキル:逆探知ができる奴はそういないっすけど、スキルなしで気づく奴は大抵強いのが多いっす。」
なるほど。
おそらく強くなるとそういうのに気づくほど鋭い感覚を持つという事か。
「それともう一つ、似たスキルを持ってる奴の場合また違った反応が出るんす。キジちゃんレーダー発動してみなっす!」
「キジちゃん!?」
「ちょっとミーシャ、仮にも帝王様と会うお方だよ!?」
「大丈夫っすよ!」
「...まぁ、様だと堅苦しいしね..。さて、周囲感知起動。」
一体何をするのやら..
「いくっすよ...周囲感知起動。」
パチッ
「あ!?」
「今のは似た、もしくは同じ感知スキルのぶつかり合いで起きる衝撃っす!これだけでもバレるっすね。」
大きめの静電気のような音が聞こえた。
確かにバレるなこれ。
「さて、今度はスキルではなく個人依存、自身の肉体で感じて欲しいっす!ヒゲとか毛とかで!」
「む?レーダー解除。」
「それじゃ全身で意識集中するっすよ、...周囲感知。」
ゾワッ
...!
「なんだ!?なんというかゾワッて..。」
「そうそれっす!レーダーなどのスキルは空気や気圧、湿温度などスキルにもよるっすけど僅かに揺れる感じがするっす!」
そうきたか、これに気づくと下手な動きは相手に読まれるって事がわかる。
有効対策されればただ魔力消費してるだけ無駄な状況にも陥る。
「これをなんとかする方法って何がある?」
「あるっすけどこれが難点っすね。
1つ目はゆっくり範囲を広げる事。
そうする事で自然と馴染み、レーダーがある事に気づきづらくなるんす。逆に急に広げるほど衝撃や違和感が強くなるんす。」
「そういや急ぎ発動するイメージで使ってた。」
「ゆっくり広げるのも集中が必要っすから隙を取られればおしまいっす。」
確かに難しいな..。今後は考えて使わなきゃ...。
「2つ目はいっそ威圧などのスキルを使って相手を飲み込む事。
強い奴が勝つってイメージという感じっす。」
「飲み込む...?」
「これは主に相手もレーダー持ってた際の対策っすね。威圧などで相手が怯んだ隙を突いて強いレーダーを発動すると相手は強い圧力でレーダーが広げられなくなるみたいっす。」
「そんなゴリ押し染みたのあったのか。」
「まぁこれは威圧なきゃ使えないし相手に威圧耐性あったら意味ないのが弱点っすね。」
ヴァルケオなら使えそうだな..。
「とまぁレーダーを押し通す方法はこのぐらいっすね。無理矢理な物しか私の知る限りはなくてすみませんっす。」
「いえいえ、わかっただけでもすごくいい方だ、ありがとうございます!」
「えへへ、嬉しいっす!」
方法が2つもわかった事はかなりの収穫といえる。ケイには心から感謝しよう。
「キジコ様ー、ケイー、安全な所見つかってるから早く行くわよー!」
「はーい。」
「了解っす!」
「zz...ギュ?ヴル!」
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スーロッタ視点、
椅子代わりの石を探していた頃
あのキジコという魔物は強い。
魔物は修行や戦いを繰り返すと強くなり魔力量が増大する。
その際年齢以外でも肉体の成長が促され、魔物は強く、ある程度の知識を得る。
だが奴自身は道中まだ世情を色々知らない幼い魔物のようにしか感じない言葉が多くあった。
知性ある通常魔物でも長く生きればそれなりに身の回りの知識を覚える。
だが奴は違った。
言動聞く限りスキルに関する知識が浅い。
なのに何かしら感じる高い知性。
そして警戒心が無さすぎる。
妙だ、奴は一体何者なんだ...?
今やつの体長は1歳過ぎた頃の猫の大きさ。
なのに感じる魔力はかなり大きい。
...いや、今は作業に集中するとしよう。
...ふむ、この辺りの岩で十分だな。
スキル:物体移動。
さて、俺が戻る頃にはゼオがいい場所見つけているだろう。あいつはそういう探索が得意実力も確かだ。
ケイも肉体を剥ぎ取り終えてるかな。
アリアもクーの実を見つけられているといいな。
....スッ
..!今のは周囲感知か!?
歩いていたら僅かな謎の空気の波、これは感知スキルを広げた際に発生するものだ。
だがこの波...複数のスキルが混じっている..?
どういうわけか..守護獣の気配まであるが..あ!
キジコか...!?まさかアイツは加護を得ているというのか!?
加護の中でも相当上位にあるあの守護獣の加護を!?
何者だ!?...何者なんだ..!?
あんな力、並々得られる物じゃないのに..!
神獣の資格を持っているからってそう都合良いはずがない...。
...サッ..
...?今度は別の周囲感知...ケイか?
奴も何かに気づいたのか..?
何が起こっている?
...確かめるしかない。
この俺自ら、帝王様と総隊長の命令に反するが確かめてやる...。
彼の名はスーロッタ・ケントネス
寡黙で疑りやすく、仲間がなによりも大切な男。
数分後...
...ん?あれはゼオか。
「スー、安全な場所見つかったから皆んな先に移動させたぞー、案内で俺がいるからすぐに来ーい。」
...考え事し過ぎていたようだ。
「お前遅ぇんだよ、ったくどこ行ってたんだ?」
「...すまない、なかなかいい大きさの石が無くてな...探すのに手間取った。」
「ふーん、ならいいや。もうミーシャが料理始めてるから早く行くぞ。」
「そうだな...早く行かねば...。」
(スーの奴やたら闘気出してるけど何かあったのか?悪い予感がどうにもするが..。)
この後、ゼオの悪い予感は的中してしまった...。
スキル:逆探知
感知、探知といったスキルの使い手の場所を見つけることができたり、何を感知されているのかがわかる。




