第18話 出発しました!
帝国へ向かうため、選ばれた兵達と共に旅をする事になった私。
「今のうちに聞いておくが質問あるか?」
「あの..気になってた事があるのですが。」
ゼオという青年が聞く
「なんだ?」
「第6隊長はどうなったのですか?」
(あ。)
(...。)
「...どうやら毒蛇に噛まれていたようで、発見した時には亡くなっていました。」
「...あ。きゅ、休憩中に鎧脱いだ際にやられたっぽいヨネ..。」
「!?...わかりました。」
(((((ッシャアッ!!!)))))
(((((ざまあみろ!!)))))
ふぅ、誤魔化せた。
また誰かの心の声が聞こえたような...気のせいか。
ちなみにジジイに巻き込まれた兵はソウルイーターで死人が出てしまったが半分以上はなんとか生きていたようで、今は設営したキャンプエリアで眠っているそうだが意識はまだ取り戻していないらしい。
早く回復する事を願う。
「王国軍の方はどうなっているのでしょう?」
「諜報隊によると向こうも停止状態らしいがそろそろ動き出すかもしれん。」
「了解。」
「ヴェアートさん、ちょっと..。」
「?」
「...やっぱり、戦争自体を止められないんだね。」
「!....ごめんなさい。」
「いや、ヴェアートさんが悪いわけじゃない。」
「...いくら魔勇者の称号と立場を持っていても出来る事出来ない事がある。そしてこれは出来ない内、悔しい...悔しいよ。」
ヴェアさん...。
「でも...守護獣様の所には絶対近づかせない、それは約束出来る。そして貴方様の帰る場所はアタイとシルトが守って見せる、絶対。」
「...!ありがとう..ございます。」
その目は決して無力な人の目なんかじゃない、
少しでも前へ進もうとする者の覚悟をある瞳だった。
「さて、ゼオさん達は準備終えた?」
「はい!、いつでも出発できます!」
少しでも早く帝国に向かわなきゃね。
「それじゃ頼むぞ、お前達。」
「ハッ!」
「行こうか、ルザーナ。」
「ヴル!」
目指すはサジェス帝国。
さっさと話つけてヴァルケオ達の元へ帰らなきゃ。
ーーーーーーーーーー
一方その頃
「シルト総団長!」
「すまない、安全な経路を確かめていたがどうやら東側が木々が少ないみたいだ。拠点を置くならもう少し木々で隠れられる場所にしておこう。」
「了解であります!総団長自らお確かめになられるとは、自分が行かなかった事後悔であります!流石です!!」
「あ..ああ。」
(キジコ様がヴェアに言ってた作戦を少し真似たら通じたぞ...!?忠誠心ってやつは怖いな...。)
ーーーーーーーーーー
さて、兵達のキャンプ地から離れ帝国に向かい始めた私達。
「帝国への道のりはどうするの?」
「はい、この人数なら道中省略出来るルートがございます。1日くらいは短縮出来るかと思われます。」
「それでも4日はかかっちゃいますっすけど。」
「1日ショートカットできるだけでも十分すごいじゃないか!」
「そう言ってもらえると嬉しいです。」
ふーむ、言い方変えりゃ大軍引き連れば5日かかるルートしかないって事か。
結構距離あるな、1日分だけでもショートカットできるのは大きい。
「ちなみに途中町はあるの?」
「途中、中立の町が2つあります。もう一つは魔人族領内に、計3泊4日分でたどり着く予定となっております。」
ふむ、泊まれる場所がちゃんとあるなんてさらにいいじゃないか。
動物入って大丈夫か知らないけど。
「ヴルル!」
「ああ、ルザーナちゃんごめんね!早く行きましょうか。」
「そういやこの子雌っすか?」
「...ライト・キッカー・サラマンダーの雌はゴツゴツしていない。」
「そういえばそうだったすね。」
するとアリアが、
「なぁ、早速だが足止めが現れたけどどうするの?」
「え?」
ゾロゾロと20頭の鹿の魔物が現れる。
アレはアイアンディアー....にしてはなんかゴツいし、角もより金属感ましている。つかマジで金属じゃね?なんていうか...鋼だ。
「あれは..ハード・アイアン・ディアーだ!」
「はーど?」
「アイアンディアーの上位種です。強さに関しては最低でも5倍以上はあると考えておいてください。」
「...食料としては?」
「...固くて食えない。」
「な...!?」
「スー、アレ食えねぇの!?」
「ゼオ、諦めろ。」
食えないなら用はねぇ!!
パーティバトルスタートです!
「魔砲貫通光線!!!」
「ガアアァツ!!」
おお爽快だ。
前は5つ同時しか撃てなかったが今や7つ同時にできる。
そして威力も増してあっさり敵を貫通、9頭くらいに被弾した。
レーダー発動してなきゃ精度カスなのは内緒。
「す...すげぇ !!」
「資格を持った方と聞いていたがまさかこれほどだなんて。」
結構驚かれた。
でも彼らも選ばれた兵である以上戦力を見なければ。
「わ..わたしも魔法具使いとして負けていられません!氷柱弾!!」
おお!ミーシャの魔法か!
ミーシャの氷柱弾は鹿魔物に被弾...したが。
「ガルルァアッ!!」
「ええ!?」
いやー...、効いてない。
「ミーシャ!強斬撃!!
「2連斬!!」
「ガァ!?」
2頭ギリ撃破!残り9頭。
ちょっと不安だなこの3人。
さてさてケイとスーロッタは..
「オラァア!!!」ドゴォッ!バキッ
「ガアッ!?」
「フンッ、」ドカァッ!ズドーン!
「ゴアッ!!」
めっちゃ強い。
ケイって子は素手で衝撃波出るほどのパンチと蹴り。
スーロッタは大剣をただまっすぐ無駄のない動きで振り下ろした。
2人で4頭撃破。つっよ。
「あと5頭!!」
「いえ、俺らでまた2頭倒したのであと3頭です!」
無力ってわけじゃなさそうだな...。
「ヴルルゥーーー......!!」
「ん?....ルザーナ?」
ルザーナの脚が青白く輝き始める。
..って、まさか魔力か!?
ルザーナは高く飛び、3頭目掛けて青い流星が落ちる。
「魔砲流星弾!!!」
ドゴォォォォン.....
えええええええええ!?
ルザーナそんなすごい技使えたの!?
てか一瞬可愛い声でスキル言った!?
ハード・アイアン・ディアーは無残な姿でぶっ飛んでいた。
威力が凄まじすぎる。
「ひぇぇ...ルザーナってこんな強かったのかよ..!流石キジコ様の仲間..。」
「...強すぎる..。」
大丈夫、私も今初めて知って驚いてる。
前世だったら腰抜けてる。
「ヴル♪ヴルル!!」
「よしよし、すごいぞ。...私もマジッククローとか使えたりして。」
「...ごめんなさい!私が足を引っ張ったから..」
「いや、気にしなくてもいいよ。危機は去ったんだし。」
「...はい。」
「ミーシャ、そこまで深く落ち込む必要はないっす!君は生活魔法が得意で達人級なんだからそこで生かせばいいっすよ!」
「生活魔法?」
「生活魔法とは、一般生活やサバイバルなどに置いて強く役に立つ魔法の総称の事っす!」
「おお!そんな魔法があったのか!?だとしたら今回の旅に心強いじゃあないか!」
なるほど、ミーシャの攻撃魔法が弱かったのは苦手だったからか。反面生活魔法とやらが達人級ときた。おそらく補助兵役として出兵されたって所だろう。
そして今回の旅は彼女あるなしで苦楽が大きく違っただろう。ヴェアさんありがとう!
グゥ〜...
「あ、ごめん。」
「おお!ちょうど良かったっす。キジコ様、この際ミーシャの生活魔法を見るため料理を食べてみてはいかがっす?」
「確かに!食べてみたい!!」
「わ、私の料理なんかでいいんですか?」
「いいんだよ!せっかくの機会を逃したくないし。」
「わっわかりました!よーし、」
するとスーロッタ君が、
「...待った、材料はどうする。あの魔物の肉は硬いし通常種より処理が大変だ。」
たしかに、あの硬い筋肉は私でも苦労しそうだ。冷やせる場所もないし。
「おまかせあれ!ゼオ、この辺りで安全そうな場所を見つけてきて!」
「おう!」
「アリア、クーの果実がこの辺群生してるから1つ見つけたら取ってきて!」
「了解!」
「ケイ、ナイフでディアーのモモ肉を3つほど取ってきてもらえるかしら?」
「合点っす!」
「スーロッタは椅子とかになりそうな物あったら持ってきて!」
「あいよ。」
おお...得意ごとになった途端やる気が全然違う。
つーか明るいオーラが見えなくもないあの輝かしい笑顔!お料理好きなのね。
テキパキ指示してるあたりこりゃ頼りになっるな....あれ、そういえば?
「ミーシャさん達って以前から知り合いなの?みんな色んな所の部隊から選ばれたくらいだと思ってたけど。」
「私達5人は元々魔人族領内の村で育ったですの。そのため幼い頃からみんなと会ったりしてましたの。」
「幼馴染か...。」
「昔はお屋敷からこっそり抜け出したヴェアートお嬢様とも仲良くさせていただいてました。」
そういやヴェアートさん英才教育くらってたと言ってたがやっぱりどっかのお嬢様だったか。
というかキャラ性豊富だなあの美女。
18分くらい経ったが...暇だな。
まだ加工には時間かかるそうだし、
「全感知、および探知スキル、フル稼働。」
「!!」
「お!?感知のスキルっすか?」
なぜ今私がセンサーを起動させたか、簡単にいうとミーシャとケイ以外の安全確認だ。
なんか知らないけど周囲感知半径30mまで広がっていて、今なら安全確認も兼ねて練習ができる。
ゼオさんは...お!安全そうなところ見つけたのか戻ってきているな。
アリアさんは...なんか甘い果実の匂いがする。探してた実かな?
スーロッタさんは...椅子に手頃な丸い岩を浮遊魔力でこちらに運んでいる。
「全員目的終えたみたいですよ。」
「すごいっすキジコ様!周囲感知以外にビビビッとバババーっってきてたっすよ!!」
「え?ビビンバ?ってかわかるの?レーダーとか。」
「はいっす!同じスキル持ってるやつや気配に敏感な奴なら別に気づけない事はないんっす!」
「マジで!?」
それはやばい。
やばすぎる!!
感知系能力でこちとら相手の攻撃から回避してるから手の内バレると対策されて詰む!
「そういう...なんかバレるの抑える方法ってあるの!?」
「ふぇ!?いや、ないことはないんすけど...ものすごく大変っすよ。」
「大変でもいい!覚えなきゃやばいのよー!!」
「キジコ様!?」
突如判明したレーダーの事実、少しでも悪い所を改善しなくては!
私の未来はいかに!
ケイ(あれだけの感知能力同時発動させてる時点で敏感
な奴は実力差で逃げるのに...。)




