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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
189/302

第181話 神獣の意思

 「.........!?!?...」

 「嘘...スアちゃん...ニコちゃん!!!!」

 「あ...あああ....!!?」


 それは突然だった。


 スアとニコの闘いに決着が着くというその時。


 二人は....貫かれた。


 さっきまでいなかったはずの人型の白い光。


 血に濡れた腕。


 魔力粒子化...消滅し始めるスア。


 倒れ、力尽きるニコ....


 

 気がつけば私とケイは医務室の壁を壊し、

 荒々しく闘技場へ飛び出し、

 白い光を攻撃していた。


 「あ゛あ゛あ゛....あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

 [ようやく現れたか、邪悪よ。]

 [ようやく滅する時が来た。]

 [ようやく死を与える日が来た。]

 [ようやく暗き世界に光を差し込める。]


 白い光の何かは魔力防壁バリアを張って身を守っている。


 [一人仕留めた。]

 [邪悪の一端仕留めた。]

 [スアという邪精霊仕留めた。]

 「黙れ!!!黙れ、黙れ!!!」

 「お前が、スアを、ニコを!!!!」


 白い光は腕を引き抜き、私とケイに反撃。

 会場は静まり返る。

 何が起こっているのかを理解できていないからだ。


 「スア...ニコ...高治療ハイヒール...、」

 [させない、邪悪が。]

 「...っ!?」


 一瞬だった。

 私は斬られた。

 吹っ飛ばされていた。


 『..じ...ある..じ...に...げて...。』

 「スア...スアあああああああ!!!」

 [耳障りだ。]

 [早く滅するべきか。]


 ケイも既にやられた。

 私も動けない。


 ...スアが....


 スアが....ああああああああああああ!!!


 [この世に光を与えられんこと。]


 ザシュッ...






 切り落とされた白い光の腕。


 「随分...ふざけた真似してくれたな...あん?」

 [!!]

 「来るのが遅れた...これは一生の恥としよう。」

 [なぜ邪魔をする、神獣の子孫よ。]


 現れたのは激怒した朱斗と蒼鈴、そして...


 「当たり前よ....こんなの目にして大人しくいられるか、曲者が!!!」

 [...骸積むくろ、何のつもりだ。]

 [貴様は高貴なる神獣の血を引き、]

 [位階の三であろう者がなぜ我の邪魔をする。]

 [理解が出来ない。]

 [邪悪をなぜ肯定する。]

 「邪悪と言ったな。」

 [!]


 桃花様の姿だった。

 その姿は今まで見たことのない、

 ...怒っているのだ。

 その拳は怒りに染まっていた。


 ダメだ...私も立ち上がれ...

 高治療ハイヒール....!!


 「みん...な...。」

 「無理するな、スアの消滅はなんとか食い止めた。」

 「ニコ様も息があります、今できる治療も施した。」

 [...余計な事を。]

 「...!!!」


 その一言に私もドス黒い感情に飲まれ始めた。

 ドス黒い怒りに。


 「...曲者、お前は何だ...何者だ。」


 桃花様は怒りに満ちた目で白い光を睨む。


 [我は神獣の意思。]

 [この世界の光である神獣を選定する者なり。]

 「神獣の意思だと...?」


 その白い光は、自らを神獣の意思と名乗った。


 [神獣の意思とは、]

 [その各世代に於いて神獣を選定する、]

 [神の魂なり。]

 [器にふさわしき者に神獣の意思は、]

 [神の魂をその者の魂と融合させる。]

 

 ...まさか。


 「お前が...ずっと...ニコを蝕んでいた雑菌か....!!!」

 [口に気をつけろ邪悪が。]

 

 白い光は話を続ける。


 [神獣とは各世代...100年に1体。]

 [他に神獣にならんとする者がいれば、]

 [戦わせる。]

 [どちらが優れた存在であるかを。]

 [選定するために。]

 [どちらがこの世界を守るのにふさわしいかを。]

 [選ぶために。]


 桃花様は何かに気づく。


 「...大昔から神獣候補同士が争ってたのはやはりそういう事、んで。お前がそうさせたのか...神獣候補同士を殺し合わせるように!!」

 [そうだ。]

 [だが少し違う。]

 [神獣の意思は神の魂。]

 [ふさわしき者の魂と融合する際に。]

 [その意思も融合される。]

 [我は今世の神獣の意思。]

 「...。」

 [そして今世の神獣は何者もふさわしくない。]

 [ニコは邪悪と闘う事をずっと拒んでいた。]

 [それではこの世界は救えない。]

 [我はニコの心を壊しても神獣にさせようとした。]

 [なのになぜ邪魔をする、邪悪よ。]

 「...あの暴走はそういう事か...そのせいでニコは!!」


 私のおさまらない怒りが叫ぶ。


 「なぜキジコちゃんを邪悪と呼ぶ。答えろ。」

 [...いいだろう。]

 [どうせ殺す者ではあるが、]

 [神の慈悲をくれてやろう。]


 白い光は宙へ手を広げ、余裕の態度で話す。


 [その者はこの世界の魂ではない。]

 [この世界の異物なり。]

 「異世界転生者だからな...それがどうした。」

 [この世界の生きとし生ける者の魂は、]

 [神の加護を持つ。]

 [神の加護はこの世界で生きる権利そのものなり。]

 [だが貴様は神の加護を持っていない。]

 [なぜならこの世界で生まれた訳ではないからだ。]

 [そんな異物を生かす理由などない。]

 [異物は世界を乱す邪悪なり。]

 [なのに異物はこともあろうに神獣候補の称号を持った。]

 [そんな存在を神獣にさせない。]

 [だから我は貴様に対抗を、]

 [他の候補へ与える事にした。]

 [神獣という力を!!]


 それが...ニコのあの姿、あの状態...。


 [なのに!!なぜコイツは貴様を!!]

 [友と呼ぶ!!?]

 [理解不能、]

 [理解が出来ん!!]

 [異物は滅ぼすべきだ!!]

 [我は考えた。]

 [ならば我こそがこの世界の光をなる。]

 [この世界を未来永劫正しく導くために!]

 [もはや神獣候補の意思や生き方などどうでもいい。]

 「何を...!!?」

 [せめて肉体はもらおう。]

 「させるか!!!」

 

 私は飛び出すも弾かれる。


 [残念だよニコ、君の魂はもう必要ない。]


 凄まじい威圧が発せられる。

 その瞬間、ニコの肉体が粒子化、

 白い光に取り込まれてしまった。


 「ニコが...ニコがああ!!!」

 

 白い光は膨大な魔力を溢れさせ、形を変えた。


 「...我は神獣、ギウスティージア。今より世界を正しく導く者なり。」

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