第180話 スアvsニコ④
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ニコ視点
...隠し事無しの覚悟で闘ったクロマにはごめんな話。
今発動した技は名付けて[一心同体]。
私の魔力と真成無双剣の魔力の流れを融合、同一化させるスキル。
効果としては、
・自身の強化スキルの効果が魔法具の武器にも与えられ、より強い効果を発揮出来る。
・魔力をより思う通りに扱う事が出来るので、技の威力が増す。
・魔法具の効果の一部が自身にも付与される。今の私には自動治療機能が付与されている。
しかしその反面、私の魔力が乱れを起こせば当然武器にも影響が出て弱体化する。
その辺は私自身がうまく調節するしかない。
ーーーーー
「はああ!!」
『っ!?』
スアが青ざめた顔で避ける。
「どうした、さっきまでの威勢はどこいった!!」
『(感情が昂ってる...、武器と魔力を同一化した事による影響なのかしら..!)』
スアは反撃に出る。
『ヴェルツェールランス・とにかくいっぱい!!!』
「無意味!!!」
『な...!?』
槍が一瞬にして真っ二つ...どころか粉々になった。
ニコが言った通り発動した事が無意味となった。
『馬鹿な...樹根之竜撃!!!』
何本もの木の根が竜のように縦横無尽に、暴れ回るように闘技場を進みニコに向かって襲い掛かる。
「一刀両断!!!」
『嘘っ...!?』
しかしニコは一太刀でねじ伏せたのだ。
「さぁ、今度はこちらから行かせてもらう!!」
『やば...。』
「ニコ・ハイパーストーム!!!」
今までにないくらいの大きく凄まじい風圧の竜巻が発生する。こんな技を一瞬で発動するなんて武器と一心同体した影響なのは間違いない。
『神力結界...耐えて...!!!』
すると竜巻が晴れる、なんとか耐え切ったスア...だが。
『嘘ぉ...随分高い位置まで吹っ飛んだの。』
そこは闘技場から100m以上離れた空中。
飛行能力のないやつがこれ食らってたら落下で大ダメージだった。
「ニコ....、」
『は..!?』
「ヘヴィスラッシュ!!!」
『うああ!!』
ガシャアッと神力結界が一発で粉々になった。
スアは地面に向かって落下するも、地面にギリギリで飛翔しなんとか激突は避けた。
「どうだ、私の力は!!!」
『熱くなりすぎなの...これでもくらえ。』
「何を...うぉ!?」
『下降気流!!』
「しまっ...!!?」
スアはニコを一気に地面に叩きつけた。
その際大きな衝撃と音が響き、スアのえげつない戦法がまた目立つ。
だが...
「...。」
『どうしたの、思ったより効いていないのはわかってるの。』
「...いたた、バレてるか。」
『お前みたいなのがそんなすぐ負けるはずがないの。』
「はは、嬉しい褒め言葉だ。」
『!、...傷が治ってる。自動治療効果もあるのね。』
「大当たりだ!!」
ニコはすぐさま反撃。
大きな剣を軽々と、荒々しくも美のある剣技は今なお恐ろしい。
スアは悩んだ、
『(力が増して、戦闘感情が昂ってるニコ相手に植物の力はとにかく不利。どれだけ固い植物を作っても無意味。ならば対抗出来る力を使うしかないの、慣れきっていないリスクを抱えた私の力!)』
『樹根操作解除!』
「!、諦めるはずがない。何をする気だ!!」
すると、スアから明るい水色の光が放たれる。
『水心!!』
「!、初めて見る力だ!!」
スアが発動したのは水の力、大地の精霊の力の一つである。
今まで使っていた植物の力、
今発動している水の力、
そしてまだ隠しているとある力、
この3つがスアのメイン能力である。
その中でもっとも得意なのが植物の力。
本人にとって最も扱いやすく知識がある、それ故に大会中、他の力は下手に扱ってこなかった。
ある意味隠し玉、
奥の手でもあり、リスクも抱えてる。
『水波刃!!』
「こんなもの...はっ!?」
ニコは斬撃の魔力を飛ばし水の刃を砕く。
しかし水の刃は形を変えても襲い掛かってきた。
「うあ゛っ!?」
粉々になっても刃の力を持つ水はニコの皮膚を掠める。
『怯むその時を待っていたの!今こそこの技で、お前を倒す!!!』
「!!」
スアは人差し指を上に挙げる、
『激流水刃!!!』
「!!!」
真っ直ぐ細く、凄まじい水圧の刃がスアの指先から発生。スアはニコに向かって振り下ろす。
「こんなもの....ぁ!?」
『主人が言ってた、向こうの世界には金属をも切り裂く水の刃があると!!まだ慣れてないけど...当てる価値はあるの!!!』
「真成無双剣が..!!」
なんと、真成無双剣が削られている。
『制御がすっごい難しい技なの。...でも流石の威力なの!!はああああ!!!』
「なんて威力だ...流石の私でもこれはまずい!!」
ニコはダメ元で弾き、刃が戻ってくる隙にスキルを使う。
「ニコ・スーパーディフェンス!!」
『そんなもの!!』
ニコは無理にでも耐えるつもりだ。
スアは全力で斬りつける。
しかしニコに傷がつかない。
このままでは制御不安定で魔力が弾け、大きな隙が生まれる。
だが一方、ニコも楽であるわけではない。
一心同体の影響で魔力も集中力をかなりすり減らしている。
まだ余裕あるが今のように強力な技を受け続けとなると消費がさらにかかってしまう。
『押し勝つ!!』
「耐え切ってみせる、そしてキジコと闘う!!」
スアはカッターに魔力を注ぎ込む。
ニコは魔力をとにかく防御に回す。
バシャアッ
『あ...。』
「私の...勝ちだ!!!」
ああ、私が耐え切った。
スアに勝った。
やっとキジコと、
キジコと...!!
ザクッ
『...ぁ..!?』
「...え...。」
光り輝く何か。
スアの背中に見えるのは手。
これは腕。
赤い血に塗れた腕。
ニコとスアを貫く腕。
[貴様には失望した、今世の神獣候補...ニコ。]
ニコの後ろに、人型の白い光。
[もはや貴様に期待はしない。]
[邪悪を友と呼ぶ者にこの世界は任せない。]
[ああ、なんと悲しき。]
[世界の光をこの手で消す事になるとは。]
[ならば我が光となろう。]
[悪は滅びよ。]
[我は邪悪を滅する者。]
[たった今よりこの世界の邪悪を滅ぼす事を、]
[宣言する。]
...キジコ、逃げて。