第175話 キジコvsケイ⑤
「うずうずしてきたっす...本来なら。」
「...。」
「...何すか、そのヒビは?」
「崩壊。」
妖炎と魔砲の同時起動。
統合スキルの起動はある意味スキルの形を不定形にする、無限の姿を解放させる力。当然かかる集中力と魔力、気力の消費は基本的に膨大。制御するには相当な技術が必要。
慣れれば上記のデメリットをかなり克服出来る、しかし完全ではない。
無限の姿、それは果てしない可能性。
だが同時に恐るべき可能性。
どこまでが己の限界か、
どれほどまで自分は扱えるのか、
それを認識せず先進めば、最後は自ら身を滅ぼす。
...以上が統合スキルの大まかな注意点である。
んで、今私に起きている状況について話そう。
「崩壊って...どういう事っすか。」
「言ったまんま。統合スキル化け猫と魔砲の両方を起動し出力上げた事で、もはや魔力が集中力や気力だけでは制御出来なくなってるんだ。んで余剰エネルギーが今こうやって体を一部壊して放出してるんだわ。」
「...随分危ない橋を渡るじゃないっすか。そこまでして勝ちたいの?」
「こうまでしないとケイに勝てない気がするからだよ。ケイだって月之武を真に完成させようって言うか、慣れようとしてるでしょ?」
「!」
「私から見てケイは全身全霊以上で闘う必要がある存在だ。だったら文字通りそれを実行するまで!来い、ここまでサービス精神ある敵は滅多にいないぞ!!」
「...なるほど。であれば...お言葉に甘えて私も全身全霊以上でキジちゃんを倒す!!!」
ケイから溢れる淡い金色のオーラ。
「行くっすよ、月光波!!」
「近距離衝撃波...なら、妖炎・猫パンチ!!」
「ぁ!?」
妖しい炎を纏った拳がケイに命中する。
「月光・霊弾!!」
「...!」
霊弾の動きが見える、全て避けれる。
「疾風・猫キック!!」
「うがっ!?」
隙を突いてケイに蹴りを入れる、
「妖炎・魔砲弾!!」
「大技来た、満月・光之防壁!!」
「!?」
「三日月蹴り・真!!」
「がぁっ!?」
妖炎と魔砲弾の合体技を撃つもバリア関連のスキルを発動、爆炎で視界が悪くなった隙を疲れ回し蹴りをモロに食らった。
「月華閃光、瞬速撃!!」
「疾風脚、瞬速撃!!」
体勢を整えた瞬間にケイは瞬速撃に加え別の高速移動系の技を使い追撃、私はギリギリ回避。
「レインレーザー、妖炎壁!!」
「!!」
空からレーザーの雨、妖炎の壁がケイに迫る。
「もはや殺意っすか!?満月大衝撃波!!」
「ゲェッ、全部ぶっ飛ばした!?」
「甘く見ては困るっす!剛力拳!!」
「やべっ、猫パンチ!!」
「押し勝つ!!」
「何!?ぐあぁっ!!」
私は押し負けノックバック、
「もらった、月光・霊弾!!」
「空間衝撃波!!」
「うぉ!?」
「そう簡単に食らってたまるか!妖炎砲撃!!」
「...っ!?」
魔砲撃をベースとして構築した妖炎の熱線、ゴジ◯程じゃないがくらいやがれ!!
「強解放!!!」
ケイは熱線を無理矢理逸らした。
「なら...魔身強化・出力上昇!!!」
二人の魔力がまたさらに増大する。
お互いが目の前の友達を倒すために、とうとう全力を解き放つ。
「見せろケイ!!あんたの努力を、あんたの力を!!」
「来るっすよキジちゃん!!命張っても闘おうとするその意思を見せろ!!!」
私は走りケイに迫る。
ケイはキジコに対して構える。
「猫...パンチ!!!」
「っ!!、...どおらああ!!」
「ぁっ!?」
ケイの手に向かって猫パンチ、しかし押しきれず拳を掴まれ地面に叩きつけられた。
「うぐっ...ペネトレーザァッ!!!」
「!!」
レーザーを無作為に撃ち、ケイから距離を取る。
「そんなのじゃ私には勝てない!!」
ケイに迫り殴る。
「その程度じゃ私は倒れない!!」
ケイはキジコを殴る。
「ああ知ってる、友達だから!!」
もう一発殴る、
「なら、もっと来いっす!!!」
二人はその瞬間に魔力を解放する。
「妖炎乱舞!!!」
「真武月華!!!」
何度でも言ってやる、勝つのは私だ。