第174話 キジコvsケイ④
「さてと...どんどん行くっすよ!!霊弾!!」
「ペネト...あー言いづらい!バルカンレーザー!」
短期間で凄まじい強さを得ているケイ。
その完成度は凄まじく、荒削りどころではない。
まるで職人がいきなり業物の刃を作ったかの様に。
...いや、間違ってはいないかもしれない、
なにせ相手は昔から存在する伝説の武闘家一族の8代目だ、うち秘め眠る潜在能力はそんとそこらの奴らとは比較になる訳がない。その上に一族の戦い方や技術と歴史、武に於いては分厚い教科書そのものと言っても過言じゃないだろう。
つまり今私は、まだ若いとはいえ長年続く伝説そのものに挑んでいる事じゃないか。
どっひぇ〜...改めて考えると相当やばいなー私ー。
「私は勝つ、絶対に!!」
「それは私の台詞だケイ!!うおりゃあああ!!」
ーーーーー
「頑張れー師匠ー!!」」
『そこだ、いけーケイ!!』
二人を応援する者。
「ふむ、お互いまだ体力をそこまで減らしておらん上に大差も開いていない。先が読めねぇなぁーエリア。」
「はい、下手な一手を踏まないよう力をセーブしてもっと大きな隙やチャンスを伺っている様に見えます。」
二人を分析する者。
キジコとケイの闘いは激しさを増す。
その一方で、闘いを観る者達は盛り上がる。
皆は気になる。
誰が勝つのか、
どちらが勝つのか、
「一つ質問をするぜルザーナ殿。」
「へ、あ、はい、エノガード王様!」
「いやそう堅苦しくしなくていいぜ...んん、竜となった者のとして二人の状況について、何か分かる事はあるか?」
「ご主人様とケイさんの...そうですね、大まかな点はエリアさんの言った通りではございます。ですが力を抑えているという点に関しては少々疑問があるのです。」
「疑問...と、言いますと?」
「起動しているという点です。お二人は様子見をしながらではあるのですが統合スキルの起動状態で長時間動き回っているのが引っかかるのです。ケイさんの月之武は完成度が高いとはいえ習得したばかり、いくら技術があっても慣れという点ではまだまだ時間が足りないはずです。それとご主人様の化け猫、妖炎は防御を貫く力を持っていますが魔力消費が意外と多いそうです。まとめると、本当はお互い持続性に不安がある...のです。」
「...なるほど、だとすれば二人は何か別の狙いがある事になるな。」
「こういった機会ですから、普段や今まででは出来なかった事をするのだと考えます。」
「そうか、いや素晴らしい分析だ。感謝する。」
「お見事です、ルザーナ様。」
「ありがとうございます。」
だが新たな疑問が浮かんだ。
その答えは考える間もなく二人が行動で示すだろう。
ーーーーー
隙を見ては攻撃、
隙を作るために攻撃、
隙を突かれて防御、
隙を作るために防御、
とにかくそれを繰り返す。
それが今一番最善なのだから。
お互い撃った技にすぐ対応するため埒が明かず、ストレートに殴り合うのに重点を置いた。
そしたら隙を見て妖炎撃ったり反撃されたりを繰り返す。
闘技場を縦横無尽に駆け飛び回り、
何度も衝撃が響く。
「でやっ!」
「オラァッ!!」
そこそこ時間は経っただろうか、
お互い傷が増えてきた。
「猫パンチ...猫キック!」
「ウガッ..!!」
どうだ...!
「...上弦・破衝撃!!」
「ァッ!?」
...!まだ体力あるな...向こうも。
そろそろ...使ってもいいだろう、妖炎でゴリ押しガード削ったんだ。大技を使い始めてもいい頃合いだ。
(月之武を少しでも完全に使いこなしてみせるには...キジちゃんと本気で闘う事こそが今最も最善。さぁ、私ともっと...闘うっす!)
「なら...もう一個!!」
「ん..?」
こういう時に使う台詞なんだろう、
「体持ってくれよ、魔砲起動!!」
「!?、化け猫と同時に...!」
私のからに急速に負担がかかってゆく。
化け猫の妖炎と魔砲の魔力エネルギーが体から溢れて放出している、流石に全部制御は出来ない。
「あっが...!!統合スキル2種の同時起動、見せてやるよ私の覚悟!!」
「...来いっす!!!」




