第172話 キジコvsケイ②
「それじゃそろそろ行くっすよー!」
「おー!」
お互い準備運動を終え、そろそろ調子を入れ始める。いやぁ、準備運動の段階で隠し手である幻影回避を使うとは考えていなかった。
「はあ!!」
「!」
ケイは高く飛び私に向かってダイブキック。
キツネが雪にダイブするように綺麗な放物線を描き、避けたら地面に浅くクレーターが出来てた。
まぁケイはキツネの獣人だけどね。
「ふんっ!」
「うぉ!?」
私は狙いを定め瞬発に振ったパンチを与える。
猫の武器は瞬発力なんでね!
「瞬速撃、剛力拳!!」
「!?」
ケイは速さとパワー両方のパンチを使う、
バリアを展開し耐えるも普通にぶっ飛んでしまった。
「...イッテテ、大砲でも飛んできたか?」
「隕石かもっすね!」
「冗談じゃない...。」
ならこっちは...
「燃えろ、妖炎玉!!」
「!!、当たりたくないの来たっす!」
妖しい色の炎が10発、ケイに向かって飛んでゆく。
妖炎は防御貫通効果があるので当然ケイは避ける。
でもそれが狙いなのだ。
「陽動っすね、これ。炎の熱気が邪魔でキジちゃんを探知しづらいっす...。」
シュンッ
「!、キジちゃんのレーザー!て事は...。」
「せやぁっ!!」
「あの方向以外から不意打ちするっすよね!!」
瞬速撃のパンチを狙うも防がれてしまった。
なら、
「モードチェンジ、[鳳凰]。」
「!!」
魔法系スキル特化の服装にチェンジ。
「疾風脚!!」
「なぁ!?」
わざと外れるように回し蹴りで移動スキルの疾風脚を使う。すると強い風圧でケイが若干後ろに吹っ飛んだのだ。
「風属性スキルの応用っすか!」
「その通り!ペネトレーザ、バルカン!!」
「!!」
レーザーがケイに向かって何度も連射。
(あの服だとレーザーの速さが上がって危ないっすね、それにキジちゃんは近距離対策がバッチリ過ぎるから迂闊に近づけない。ならばどうする、答えは簡単。)
「ごり押しで行く、闘牙!!」
「来たか!」
バルカンレーザーを避けあっという間にこちらへ近づいたケイ。これ以上近づけさせるか!
「妖炎壁!」
「この程度!」
「な、ぐあ!?」
なんと妖炎壁を無理矢理突破して一撃貰ってしまった。
「三日月蹴り・真!!」
「!?」
威力の増した回し蹴りで私はバリアに叩きつけられた。
ーーーーー
「...ダメだ、殴り合いとかじゃケイの方が数段上だわやっぱり。」
...モードチェンジ、化猫。
「そろそろ行くよ、久遠。」
「武器...!本命が来たか...!」
「刹那...居合斬り!!!」
「!!」
瞬発力にエネルギーをかなり使う抜刀。
ケイの元に一瞬で迫り斬りつける。
「掠った!...でやぁ!!」
「五連斬。」
ケイの攻撃を全て防いだ。
「防いだ!?」
「化猫妖炎斬!!」
「うぐっ!」
「そこから仕返しの蹴りじゃああ!!」
「ぐああっ!?」
多分ケイを初めてぶっ飛ばした!
若干驚きを見せるも体勢を整える。
「すごい、これがキジちゃんの実力!」
「戦い方を変えただけだ、魔身強化はまだ使ってない。」
「!、...道理で魔力量が変わってないのか。もっと強くなるって思うとより一層うずうずするよ。」
ケイは深呼吸をする。
「...統合スキル、月之武...起動。」
「...!!」
※改めて解説
統合スキル...似たような技、派生技など共通点のあるスキル同士は一つのスキル内に統合される事がある。その統合スキルは[起動]という力を持っている。
この起動とはその統合スキルの力を全開にする状態で、ちょっとの思いつきや想像でスキルにはない動きや派生技を使う事が出来る自由度の高い力。ある程度使いこなせば瞬間的に使う事も出来る。
しかしその分制御が非常に難しく、下手に思考が揺らげば予想外の力が発動して最悪暴走に近い事が起きるのだ。
「...ルザーナとの闘いではその力は見なかった。」
「まだ使う覚悟が無かったと言うか、制御が出来なかったからね。でもあの闘いを通して色々出来たからかな、ようやく使えるようになった。」
ゲームでいう経験値を積んでレベルアップしたか、
そりゃ見なかった訳だ。
「もういいかな、このスキルを誰かに使うのはこれが初めてなんだから。」
「ああ、どこからでも来い!」
ヤバさ急上昇!