第162話 ニコvsクロマ:少し前
「ようやく私とニコさんの対戦ですか...待ちくたびれるところでした。」
廊下を歩き独り言呟くクロマ。
やって自分の出番が回ってきたので闘技場に向かっているようだ。
クロマの対戦相手はニコ。
まともに相手が出来るのはご主人様ぐらいだろうと正直思ってるクロマだが、彼女もこの日のために努力してきたので簡単に負ける気はない。
「もうニコさんはいるのですかね...あの人さっき走って行ったから。」
クロマが闘技場に向かう数分前、ニコが観覧席から出て行く所を見ていた。
まるで何かを求め走って行くように。
「えーとこっちを右に曲がって...あれ?」
しかしそこに、ニコの姿は無かった。
「どこ行ったのでしょうか...?まぁまだ試合が始まるまでに時間があるでしょうし...適当に探してみますか。」
ーーーーー
ニコ視点
誰もいない廊下...
「ハァ....ハァ...!」
(なぜ抗う、なぜに抗う。)
(それがこの世界の為になるとなぜ気づかん。)
「黙れ...!!」
こんな...時に...!
黙れ...黙れ...黙れ黙れ黙れ!!!
私はお前の言いなりになるつもりはない、
引っ込んでいろ...!!!
(あの者は悪だ、滅ぼせば良いだけ。)
(ただそれだけの事をなぜ否定する。)
(世界を滅ぼしたいのか。)
(全てを壊す気か。)
(危険だ、大会など関係ない、殺せ。)
(滅せ、壊せ、滅せよ、破壊しろ!)
「黙れ!!!!」
「ヒィッ!?に...ニコさん...?」
「ぁ...!?」
クロマ...?
なぜ...ここに...?
「...離れて、お願い。」
「いいえ、ごめんなさい!!」
「...!?」
クロマは私の胸の中心に手を当てる。
「桃花様の真似でしかありませんが...はあっ!!」
「...!!!」
(...なぜ気づかん...人間よ。)
「....!!ハァ...ハァ...!!」
「大丈夫ですか、なんとか魔力の流れを正常化させました。これでしばらくは保つでしょう。」
「...ありがとう、また誰かを傷つける所だった。」
「やっぱり...以前の力がまた...。」
「ああ、かなり自己主張のしつこいヤツでね...手を焼くどころじゃ済みそうにない。手を煩わせてごめんなさい、闘技場に行こう。」
「試合の後は桃花様の所に行きましょう。ニコさんが傷つく光景を私は一度見ていますから。」
「...出来れば呼び捨てにして欲しい、クロマはいくつだっけ?」
「17です。」
「私の一つ上じゃないか。」
「んじゃニコちゃんで。年上権利ですはい。」
「...まぁいいか、はは。」
ーーーーーーーーーー
クロマ視点
「さぁ闘王闘技3段戦も最後、第4回戦!!」
ニコさ...ニコちゃんの状態は安定した。
やーっと出番です。
「金眼之四王が一人、蒼星夜の魔女クロマ!!そして神獣候補のニコ様だー!!!」
「クロマー!ニコー!頑張れー!!」
『大変の、どっちも推しって。』
少々トラブルありましたが今の私はやる気MAX!!たとえニコちゃんであろうと負けるつもりはありません!
私がもっとすごい所を師匠に見せてやります!
「張り切ってるね、クロマ。私も早く始まらないか楽しみだよ!」
「第3回戦は剣技と魔法でしたけど第4回戦はもっと激しくなるでしょうね。なにせ私とニコちゃんの闘いですから!」
闘技場に出ると歓声が上がる。
すごい、もう耳が痛い。
予選もそうだったけど皆んな喉頑丈過ぎるでしょ、私ならとっくに枯れてますよ。
「この辺かな?」
「ええ、ここが中心ですね。」
私達は闘技場の中央から20歩、左右に分かれ歩く。
いよいよ始まる私とニコちゃんのステージ!
見ていろスアとレリィ、さっきの闘いを忘れるくらいの凄まじい闘いをしてやるよ!
「「私は負けないよ!!」」
「それでは第4回戦...開始!!!」