第159話 レリィvsスア②
『距離は取れた、くらえなの!!』
スアは地面に魔力を送る、すると木の根が槍の様に地面から突き生えレリィを襲う。
スアの技にすぐに察知し、レリィは飛翔し地面から離れた。
『この程度...!』
『彼岸花!!』
『!?』
レリィが飛翔した瞬間、赤色のレーザーが何本もレリィに襲い掛かる。
『綺麗...けど見惚れてる場合じゃない、マジックアロー!!』
対抗しレリィは魔法矢を放つ。
『その技じゃこのレーザーは...のぁ!?』
だがなんとレリィの魔法矢はレーザーを防ぎきったのだ。
『私の魔法矢はレベル10だ、生半可なレベルのスキルでは打ち破れない!!』
『ならこっちなの!』
『..魔法陣か、何を...。』
スアは周囲に5つ魔法陣を展開する。
すると魔法陣から木の根の槍が現れレリィを攻撃する。
『(ヴェルツェールランス、魔法陣からよりもさっきのように地面から出した方が威力は大きい、けどダメージを与えるなら威力は足りるの!)』
『こんなもの!』
レリィは木の根を斬り裂きならがスアに近づこうとする。しかしスアはなんとしてもそれを許さない。木の根からも感知機能を使えるため動きが読める、どこから攻めれば動きを鈍らせるか、相手を邪魔させれるのかを。
『(押され始めてる...まずい!!)』
レリィはスアから逆に離れる、
スアは魔法弾を撃ち追撃をする。
『離れる方が不利じゃないの。』
『無策でこうしているわけじゃないさ!』
『!』
レリィの剣が輝き始める。
それと同時に周囲から魔力の粒子が現れレリィの剣に集まってゆく。
『...やられた、私の発動したスキルから散った魔力を集めてるの...!』
『距離を取れば間違いなく遠距離攻撃をする、そして君なら地面から離れたこの状況でも高度な技術でスキルを発動させるはず。ならあとはその魔力を耐えて散らせば準備を整えられる!!』
『なるほど、今のように一回距離を取って別の方向から飛んで攻める方法があったのに敢えて木の根を斬り刻んだ。刻まれた木の根は魔力粒子となって消え、あとは集めるだけ。予選にいたあの馬鹿エルフの技術を応用したのね、乗せられたの。』
レリィの剣に収束した魔力は大きな刃を形成する。
『最初から流れは...私のものだ!!!』
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スア視点
レリィの動きが格段早くなったの、
おそらく魔身強化の出力を上げたわね...。
あの剣ではこの木の根じゃ耐えられない、それどころか刻まれた分の魔力が吸い取られるの。瞬間的な火力は間違いなく向こうが上になった、さぁどうする私?
私は私の魔力分、
向こうはこの闘いで散った魔力をプラス状態、
なら...
『ヴェルツェールランス!!』
思い切り魔力を込めた一本を剣に命中させて...
『無駄だ、その程度じゃこの剣の魔力の補給にしかならない!くらえええええ!!!』
ビキッ
『...?』
ガシャアッ!!
『...!?』
『当たる寸前に砕ける剣なんて鈍もいいとこじゃないの。』
『...仕込まれたか!!』
大成功なの!
アイツの吸収した魔力には木の根として形成維持をしようとする力が残っていたの。形ある魔法は魔力を込めるほど損傷しても元の形状に戻せる力が強いの。だから周りから集めただけの魔力の塊に放り込めば、剣の形に維持しようとする力と元の木の根に戻ろうとする力が反発し合って崩壊したの!
『流れなんてふとしたきっかけ変わるの!!竜巻の舞!!!』
『ぐあああっ!!』
バリアに叩きつけてやったの。
私を甘く見るから痛い目見るの、油断は禁物なの。
『このくらい...私には痛くない!!ライトニングペネトレイター!!』
『ヴェルツェールシールド!』
木の根で私の姿が隠れるほどの盾を作った。
でも間違いなく向こうの威力ではあっさり貫くはずなの、なら...
『この程度貫いて...ぁ..!?』
そこに私はいないの、
『上なの。』
『...!?』
『下降気流!!!』
下向きの風圧をゼロ距離で叩き込んでやったの。
レリィはそのまま斜め下に吹っ飛び地面に激突した。...でも間一髪バリアを張ったみたいなの、落下ダメージがそれほど通ってないの。
『...予想以上に強いね...。』
『予想は予想よ、外れる確率は絶対存在するの。』
『...君の言う通りだよ。』
私への対策をしていたみたいだけどそう簡単に上手く行く世の中じゃないの。主人は言ってた、テストは予習が効くけど人の予測は難しい。心ある者の動きはいつだって予想を超える、それこそが誰もが持つ魅力の内だと。
(※前世で天気予報のじゃんけんに1週間連続で負けた人の教えです。)
『...くたばる暇あったら立つの、魔力まだまだあるじゃないの?』
『そうだよ...勝負は文字通りこれからだ!!』
『!!?』
...咄嗟だったの、私は神力結界を張っていた。
目の前には...ヒビの入った結界、
レリィの姿。
考えて見ればそうだ、コイツは私よりも上級の精霊!
この日のため、未来のために努力をしていたのは全員同じ!私が大精霊級の魔力を保有出来たならコイツは...!
『どうしたの...遅いじゃないか。』
...まさか精霊王級...!?
『...もしかして精霊王級とか思ってる?流石にそこまではまだまだ実力が足りないよ...でも、私は君より上なのは確実さ。』
『精霊之祝福!!!』
私は咄嗟に精霊之祝福を発動し逃げる。
『そんなのじゃすぐに追いつけるよ。』
『!?、バリア...。』
『せぇや!!』
『ぐぁっ!?』
バリアを張っていたから斬傷はつかなかったものの、今度は私が地面に叩きつけられた。
『流れはふとしたきっかけで変わるねぇ、たしかにその通りだよ、私が力を解放をした途端に君はまた劣勢になった。』
『クッ...蔓操作!』
蔓の攻撃を自由化、この際魔力を結構消費してもいいの...!
『そういえばスア、さっき砕けた魔力収束の剣の破片...どこいったと思う?』
『...?何を...あ...!?』
レリィは空間収納庫から光り輝く破片をスアの周囲に大量に落とす。
『私は剣士だ。でも魔法も扱えるからこういうことが出来る。』
『しまっ...!?』
『じゃあね。』
輝く破片は...爆発した。
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『...よく頑張った方だと思うよスア。あの新作のスイーツは私から奢るよ。』
「試合終了!!勝者は...!!」
レリィは立ち去ろうと...した時だった。
『友達なんだから割り勘でいいの。』
『!!?』
「な...!?今のはスア選手の声..!」
...煙が晴れると、そこには何事もなかったかのようにスアがいた。
『はぁ、奥の手使わせてやがって...なんて面倒なの。』
『馬鹿な...!?』
「し、試合続行です!!」
レリィは驚く。
『な、なんで。なんで無傷...どころか試合前の時のような..!?』
『(5日に一度しか使えない究極スキル、完全回復治療。魔力消費は少ないけど次使うのに期間が空くのが痛いから使いたくなかったの。)』
『...!!』
スアは不機嫌そうに魔力を込める。
『このスキルを使わせた代金を先に払ってもらうの...私が勝利という形で!!』




