第155話 ルザーナvsケイ⑤
「ルザーナが...地竜...！？」
闘いの中、強者に臆しない肉体へ進化をしたルザーナ。その溢れる魔力と闘気は今までのルザーナを大きく上回っている。
今私のいる位置からルザーナは離れた場所にいる、だがその魔力はこの観覧席からでもはっきりと感じ取れる。
「おいおいマジか...地竜に覚醒とはな！」
竜人国の王様が驚き笑っている、どうやら只事ではないらしい。
ルザーナは手を握ったり足元を見たりなど自分に何が起きたのかを確かめている。素振りパンチをしたりジャンプしてみたり、見た目は前の服装よりも重そうなのに動きはとても軽やかでキレがある。
「力が溢れる...体が軽い..！」
「あっはは！覚醒おめでとう、でも今はゆっくりしている場合じゃないね！」
ケイはワクワクとしながら戦闘体勢に入る。
「そうですね...行きます！！」
ルザーナは踏み込む、
するとあっという間にケイの元に辿り着き、
蹴りを与えていたのだ。
ケイはその一撃に耐え、衝撃で地面にヒビが入った。
ルザーナはケイから距離を取ると同時に左脚の力を解放する。
「呪力脚！！」
「来たっすね！！」
ルザーナは左脚に魔力を込める、どうやら蒼炎脚を打つようだと思っていたが、
なんと炎が妖しい色に変化していくではないか。
「あの炎...まさか！？」
「妖炎脚！！」
「っ！！？」
ケイが当たる寸前に避ける、
だが掠っていたようであり、腕に傷痕がある。
「驚いた...ルザーナちゃんがその炎を扱うなんて！」
「せやあ！！」
ルザーナは蹴りの後一回転、ケイにパンチを与える。
「すごい..すごい！！」
「はあああ！！」
ルザーナはケイの力に全く怯まずどんどん立ち向かう。先程までとは違う、意思も肉体もさらに前に進んだのだ。
「さらに...もう一発！！！」
「うぐっ！！」
この時ケイは強解放を発動した状態で初めて押されていた。
「私は貴方のお陰で前に進む事が出来ました！だから容赦なく行きます！それが闘う者の務めですから！！」
「その気持ちを待っていた！！！」
ケイがルザーナに全力タックル、
激突してすぐパンチとキックのコンボ。
ルザーナは耐える、しかし蓄積したダメージは回復していないので長く耐えられる事は出来なかった。
「破岩脚！！！」
「蒼炎脚！！！」
それでもなお激しさを増すこの闘い。
果たして勝者はどちらになるのだろう。
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ルザーナ視点
力が湧き上がる、
体が軽い、
キレがいい！！
そして思うがままに闘える！！
後ろに進む事も、
ヘタレて止まる事も、
どちらも許されない！
「私は私のため、闘う者として、強者として前に進む！蒼炎脚！！！」
「破岩脚！！！」
私とケイさん、
勝つのがどっちになるかはわからない。
でも...勝ちたい、勝ってみせる。
私はケイさんに勝ちたい！！
「やあああああ！！！」
「！、押され..！！」
「すごい...、あれがルザーナ！！」
『とうとう真正面から押し返したの！！』
「頑張れー！！」
この隙を逃しません！！
「青之流星！！」
「かかった！！」
しかしケイさんは追撃に来た私の体を掴み体勢を整えた、そして...
「さっきのお返しっす！！」
逆に殴られてしまった。
「ぶはっ...先走り過ぎた...！！」
「もらった！！」
少しの隙を狙いケイさんが追撃に来る、
「...っ！！」
「！、鱗でガードしたか！！」
「こっちの方が...よく近づける！！」
思い切りケイさんを殴り返しました。
こっちもガードされちゃったけど。
でも私には...
「まだこっちがある！！」
「しまった、尻尾...ぐぁ！？」
尻尾で弾いた。
「はぁ...はぁ...どうです、これが今の私です！！」
「...ふふ、もうお互い体力切れも迫ってるっすね...！！」
ケイさんは深呼吸をすると同時に拳に魔力を収束し始める。
「でも私は勝つっすよ。ここで決めさせてもらうっすね...！！！」
「であれば...私もこの一撃に！！！」
おそらくあの攻撃は避けるのは不可能、脚にも魔力が収束している...余計な動きをすれば隙となり負ける。
なら出来るのは真正面から最大限の魔力込めた一撃を出す。
ただそれしかない！！
「「勝つのは私だああああ！！！」」
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お互い魔力を込めた、スキルではない純粋な一撃。
スキルの力に頼らない己の力を主とした最高の一撃を、二人はぶつけ合った。
お互い体力も魔力も空である。
「...。」
「...楽しかったっすよ、ルザーナちゃん。君はすごく...頑張った。」
ケイは膝立ち状態で、立ち上がる事が出来ない。
...ルザーナはその場に倒れた。
「し、試合終了！3段第二回戦勝者はエキー改めケイ選手！！！」
(...わずかな差だった。正直ルザーナちゃんが勝つと思ってた。絶望的な状況を逆転、互角に持ち込むなんて並以上の才能でもあり得ないよ。...やっとキジちゃんと闘えるっていうのにすごく悔しいな、キジちゃんとルザーナちゃんの闘いが見れるのかもしれなかったのに。
...でも後悔してはダメだ。
私は勝者としての務めを果たす。
ルザーナちゃん、私も頑張るからね。
君と闘った...一人の強者として。)
