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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
158/302

第152話 ルザーナvsケイ①

 「それでは3段、第一回戦....始め!!!」


 エキーさんの正体は、

 以前共に旅をした仲間であるケイさんでした。

 ある事件で行方不明となり生きているかどうか皆んなわかりませんでした。

 ですが私はあるきっかけでエキーさんの正体はケイさんである事は気づきました。その時は本当に涙が溢れて大変、なにせ私はあの瞬間を見ていた...爆発の直後漂う焦げついた血の匂い、あの瞬間私の中ではケイさんの生存は絶望的なものとなっていました。

 でもそんな人が、本人が、今目の前にいる。

 それだけでも私は、今にも涙が出そうです仕方がありません。


 「それじゃ...行くっすよ!!」

 「...はい!!」


 ヴォン....


 「...え?」


 あまりの速度に空気が不気味な音を出し、目の前には既にケイさんの姿がある。

 序の口の出力でこのレベルは明らかに異常、そして今のケイさんに取って普通。まさに段違いとも言うべき実力差をこのごくわずかの瞬間に思い知らされた。


 「...シィッ!!」

 「おお、避けるとは流石っす!」


 冗談じゃない、ご主人様のレーザーを物理的に再現したような速度ですよ、当たれば痛いで済まない。

 だからと言って怯んでいる場合じゃない。

 早速強化魔法を使いましょう、出し惜しみしている場合じゃありません。


 「周囲感知出力上昇、超集中発動、そして魔身強化:脚力集中強化!!!!」

 「おお!!」

 「蒼炎脚!!」


 ルザーナのミドルキックがケイに命中、衝撃が轟音響かせ後ろの地面にまで走る。


 「い...痛いっすね!!」 

 「!?」

 

 ケイはルザーナの足を掴み投げ飛ばす。


 「大落雷蹴り!!」

 「まずいっ...青之流星アズールメテオ!!」


 リーデン以上の威力を持った踵落としが炸裂する寸前にルザーナは蹴りスキルで回避。ケイは空振りするも空中で数回転し体勢を整える。


 「アッハハハ!すごいっすルザーナちゃん!咄嗟の技で私の一撃を避けるなんて!!んんん...本当にすごい成長だ〜!!」

 

 私は肝を冷したのに対しケイさんはすごい上機嫌。

 強者の余裕じゃない、単に戦いを楽しんでいるからあんな雰囲気なんだ。

 言い方変えればそれだけケイさんは強いと言う事だ。

 実際、隙がほぼない。楽しんでいる上に冷静な判断をしている。

 

 ...早速ですが覚えた技を使いましょう。


 「瞬速撃ハイソニック!!」

 「!!」


 ご主人様が持っているスキルである瞬速撃ハイソニックを私も努力して得ました。


 「てやっ、はあ!!」

 「..!!ふふ、はやいっすね...!」

 

 ほんの少し、ケイの足が片方浮いた。


 「...せい!!」

 「おお!?」

 

 ケイのもう片方の足をかけて両足を浮かす。


 「もらった!!」

 「ぐえっ!?」


 そこから蹴りを命中させてぶっ飛ばした。

 ケイはバリアに当たる寸前に体勢を戻し耐え切った。


 「すごい脚っすね、ルザーナちゃんどれだけ努力したんすか?その姿もそうだけど並々の覚悟で得られるものじゃないっすよ?」

 「はい。ずっと迷っていた思いを振り切った結果です。」 

 「それはすごいっす、何か思い切れる心の強さはとても大切っす!!」


 その瞬間ケイさんは離れた位置の私に向かってパンチ、


 「...ぐあ!?」


 気づくのが遅かった、衝撃波だ。

 ケイさんのパンチがあまりにも強い威力だったために衝撃波となり私に命中したのだ。言い換えると見えないパンチ、油断した!!


 「これ習得大変だったんす...よ!!」

 「あがっ!?」


 後に周りこまれ蹴りをくらってしまった。


 「ガハッ...ハァ..!?」

 「ルザーナちゃんはちょっと超集中の扱いが慣れてないっすね。表現するなら足元が疎かと言うやつっす。」

 「...!?」

 「そうっすね...今私を狙ってみるっす。」 

 「...でやぁ!!」

 「ほら、こんなふうに。」

 「え...?」


 ルザーナはその場でケイに蹴りを当てようとした...が、届いていなかった。ほんの1cm弱、届いていなかったのだ。

 

 「...!?」

 「超集中は使い慣れてないとそうやって反動が来るっす。普通なら判断出来る事も今のようになる。特に他の強化スキルを重ねた事で体が悲鳴をあげたんすね。」


 ...瞬速撃ハイソニックが痛手に繋がってしまいましたか。


 「...。」


 ルザーナは距離を取って、深呼吸をする。


 「そう、乱れたものは戻らないわけじゃない。それであっているっすよ。」


 ...私は周囲感知をしようしていたにも関わらず、超集中の反動で攻撃に気づくのを遅らせてしまった。


 それではダメだ、私はケイさんの異常な強さに臆して焦った。これでは早くも敗北になってしまう。


 「...はぁ...、...よし。」

 「整ったみたいっすね!」


 ケイがルザーナに迫る。

 

 「...!!」

 

 ケイのパンチが迫る瞬間、ルザーナはスレスレに避けるよう体を動かした。


 「はあ!!」

 「ぁっ!?」

 

 腕を掴み、背負い投げをしました。

 かなり力を込めたので地面に衝撃がかなり入りました。


 「...はは、ちょっと振り返っただけで全然違うじゃないっすか!」

 「ケイさんこそすごいです、まだ何も強化魔法を使用していませんから。」

 「私が下手に使えばルザーナちゃん...死んでしまうっすよ。」


 そんな簡単に死ぬような努力はしていません!


 「情けは無用です、目が覚めました。」

 「そうっすか。じゃあ...。」


 ケイの声がどこか重くなる。

 ケイは立ち上がると呼吸をする。

 ルザーナは体勢を整える。


 「闘牙とうが。」

 「...!!リザード:レベル2。」


 ドガァッ...!!


 「...痛い。」

 「ぐぅっ...。」

 「...魔物としての姿を混ぜ込みましたか。肉体が急に頑丈になったね。」

 「そっちこそ、ようやく調子を入れて来ましたね...痛いですよ。」


 ルザーナの体の至る所に青い鱗、サラマンダーのような脚、鋭い爪。

 ケイは鋭い目つき、荒々しい闘気、一気に増す力。


 「蒼炎脚...!!」

 「!!」


 その脚力は先程の比ではない、ルザーナの魔物としての体は、人の体よりも脚の筋力が上回っている。

 ルザーナは小回りの効く人間態とパワーのある魔物態を混ぜたのだ。戦い方こそ変わるものの、純粋な力はさっきまでとは違う。


 一方ケイが発動したのは闘牙と言うスキル。

 獣人族の祖先である魔物の血を呼び覚ますスキルで、肉体機能が全体的に上がるのだ。

 ルザーナのように魔物の姿になる事の出来ない魔物の末裔、だがその血はなくなった訳ではない。

 

 「お互いやっとやる気を出せましたね。」

 「そうだね、第二ラウンド...始めるよ。」

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