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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
156/302

第150話 俺はもう邪精霊じゃない

 『外が暗いから精霊魔力由来の光を灯していたのに、その光を浴びてなぜお前...無傷なんだ!?邪精霊なんだろ!?』

 『...は?』

 

 待った、それは一体どういう事だ?

 今の俺が邪精霊じゃないだと?


 そもそも、邪精霊となった精霊は大体の性質が反対になる。どんなふうにかは知らん。

 わかるのは属性面がほとんどである事。人間は精霊魔力を浴びてもそれが攻撃じゃない限り体に悪影響は無い、だが邪精霊が精霊魔力をくらえば逆にダメージを受けるのだ。


 そして俺は邪精霊、レリィという精霊が使っている精霊魔力の灯りは俺には有害であるはずなのだ。


 『...どういうこった、なんで俺精霊魔力を浴びても無事なんだ。むしろ体がちょっと軽くなったぞ?』

 『???...私自身も知らないぞこんなの。』

 『鑑定出来る奴はいないのか?』

 『いや、残念ながら。あのスキルは使える者は意外と少ないからなぁ。』


 とまぁ結局この時、俺は俺自身に起きた事態についてわかる事はなかった。



 『新しい...依代だと?』


 ロティアートの事件から5ヶ月たった話だ。

 普段通り働いていたら帝王に呼び出しくらった。

 なんか悪りぃ事したっけな?と思いつつ帝王の所に行ったのだが、奴はなんと今後の活躍のために俺に新しい依代を開発したというではないか。


 「お前にはあの事件以降から助けられてるからな。現在の忙しさでも兵士皆が何もかも守れる訳ではない、実際お前は混乱のどさくさ紛れに外部から忍び込んだ山賊を捕まえている。まぁ要するにお前への感謝状代わりとさらなる活躍のために開発された新型のゴーレムだ。」

 『...面白ぇ事するな、俺に合うかしばらく試してやるよ。』


 その後家臣達が運んできたのは、今と同様人型のゴーレム。だが関節部は金属とは違う弾力のある素材、頭は目のような物もある。それに素材の質が良いな。


 『一体どうやってこんなの作りやがった?この国で作ったとは思えん。』

 「昔、この大陸外にある国に恩を売った事があってな。今回の事もあって恩を返したいと言うので、向こうがゴーレム技術を進歩させてる事もあってその依代の作成を頼んだのだ。普通だったらどれだけ金がかかる品なのか。」

 『新型とか言ってたな、もしかすれば実験も兼ねてるかもしれねぇし何か仕掛けてあるかもしれねぇ。ひとまず俺は俺でこのゴーレムについて調べて気に入ったら使ってやるよ。』

 「うむ。」

 

 そういうわけで俺は必死こいて習得した転移魔法を使い、自室へ移動した。(ちなみに広い部屋をもらったぜ)



 さて、まずはいろいろ見てみるか...


 ...


 ふむ、特に爆弾とか妙な術式は組み込まれてないようだな。


 次は憑依。

 ...おお、妙な感覚だな。

 関節は意外と動かしやすいし力も込めやすい。

 えーと鏡...おお、目が光ってる。

 

 その後色々確かめたが特に問題はなかった、ちゃんと動かせるし大きな違和感はない。


 ...だがなんだ、なんか足りない気がするな。

 空腹ってわけでもないし力もある、だがなんというか...。


 『それだけリーデンが成長していて、本来の君の力を出し切れていないからさ。』

 『あ?それはどういう...は?』


 急に聞こえる精霊の声。


 『誰だお前?』

 『そうだな、僕は君だよ。』

 『は?』


 どういうこった。


 『君はどんな風に自分が生まれたかは知ってるよね?』

 『あ?ああ。』

 『簡単に言うと僕は元の君に魂ごとその悪意を注入された精霊だよ。君が邪精霊じゃなくなった事でようやく君を主体に目覚めれたってところさ。』


 ...要するにロティアートの実験に犠牲となった奴の一体か。


 『俺が主体?って事はお前。』

 『そう、融合しちゃってる。だから君が死ぬと僕も死ぬって感じだね。だから君の状態についても知ってる。』

 『俺の状態?』

 『まず君はすでに邪精霊じゃない、今の君は精霊でも邪精霊でもない、名付けるなら...[個精霊]だ!』

 『...個精霊?』

 『精霊の使命も邪精霊の悪意も跳ね除け、己の意志を主体、個として独立した精霊さ。悪意の力が殆どの邪精霊と違って性質は精霊寄りだから精霊魔力は浴びても大丈夫!』

 『...なんだそりゃ。まぁ精霊魔力浴びても無事だったのはわかった。』


 要するに俺は変質していたのか。

 

 『それと、今その体の変な違和感について。それはさっきも言った通り性能の良い依代ではあるんだけど、目覚めた[僕ら]の力や君の力が予想以上に大きくて、フルに性能を発揮出来ない状態なんだ。ロティアートが作ったあの依代は安全用の制御装置や色々組み込んであったから魔力を抑えることで君は違和感なく動けていたけどこの依代はそれがない。つまり今のままだと思うようには動かせないかもね』

 

 まーじか、じゃあどうすんだこの依代。

 

 『なんかいい手ねぇのかな。』

 『あるよ、改造しちゃえばいいのさ!』

 『え?』

 『君はある程度でも知っている筈だ、ゴーレムの調整や改造方法については。』

 『確かにそりゃ...何度か見ているからな。だがよ、改造するにしても何をどうするかだ、素材はないぞ。』

 『それについては....じゃじゃーん!!』


 その精霊は空間収納庫を開けた。

 どうやら魂ごと合体したためかそいつ自身が使っていた能力を今も使えるらしい。


 取り出したのは...とても小さな紫色の結晶。


 『昔僕が拾った、フォーセ鉱石の結晶!』

 『おい待った、それ危ない鉱石じゃねぇか。俺の部屋ぶっ飛ばす気か。』

 『大丈夫、これはあくまで準備。改造に使う素材はこれからだよ。』

 『?』

 『皆!』

 

 すると周囲に9..匹?体?別の精霊が現れる。


 『...まだいたのか。』

 『僕らって言ったじゃないか。じゃ、行くよー!』


 精霊達は結晶に精霊魔力を与えていく。

 すると結晶は7cm程の綺麗な水色の球体結晶となった。


 『これはなんだ?』

 『動力源だよ。これを組み込めばもっと強い力を出せる筈だ。早速組み込んでいこう。』


 俺は一度元の依代に戻って、この結晶を組み込む作業を始める。以前ロティアートの所で見た技術はゴーレムの出力を安定化させる装置を組み込むというものだった。


 だが問題があった。

 それは俺自身はそういう組み込むための技術は持っていないと言うことだ。一応ロティアートの技術は見てはいたが見よう見まね出来るもんじゃない。


 一応このゴーレムは動力源らしき物と全身に魔力を行き渡らせる回路はあるんだが...どうすっか...。


 『あ...あの。』


 すると後から出てきた精霊が俺に話しかける。...今は適当に精霊【2】にしとこ

 

 『私...できます!』

 『...?何が。』

 『これを...ゴーレムの動力源に組み込む事を...です!』

 『あ!?』


 え!?な...どう言う事だ!?


 『リーデンが見ていた景色を元に...覚えたの...魔力変形シャープチェンジを。』


 魔力変形シャープチェンジ

 魔力を用いて物体を変形させるスキル。変形させた物体が一定以上の魔力を帯びていると永久的に変形させる事も可能。

 また、何かしらの魔力を帯びた物体を別の物体に組み込ませる事も出来る。

 ただし生物には効かない。(例外あり)


 『リーデン...覚えてる限りでもいいから組み込むの...補助して。皆も魔力の供給...お願い。』

 『ああ。』

 『任せときな!』


 精霊【2】は結晶を手に持つと結晶は光り、輝く魔力粒子となってゴーレムの胸部の内側に入ってゆく。

 俺はゴーレムに再び憑依し、魔力が暴走しないよう制御を試みる。


 これは大変な作業に....



 ...ならないな。

 あれ、思ったよりスムーズに組み込まれてる?


 『す...すごいです、膨大なエネルギーと精霊魔力を持っていかれてるのに...全く暴走する気配がありません...!』

 『何が起こってるのー!?』


 その瞬間、ゴーレムの表面に水色の回路が浮き上がり輝く。

 同時に、体の内側から力が溢れる。


 『も、もしかしたら...なんですけど...このゴーレムは...魔法具に昇華したのかも...しれない...です。』

 『...思いに答えその者の前に現す..そんな記憶があるな。』

 『精霊の間だけに伝わるお話だね、僕らは僕らを蘇らせてくれたリーデンにお礼がしたいと思ってたから...かな。』

 『お前らそんな事考えていたのか...。』

 『君は自分の意志で自分なりに生きたいって言う心を持ったから、邪精霊じゃなくなり、その際融合していた僕らの悪意も消え去った。ありがとう、そして今後もリーデンと一緒にいていい?』 

 『...。この体についてまだ知りたい事がある...だからそれでいいだろうよ。』


 さて、服を着るか...ん?


 『...このヘルメットはどうするか。元は奴の実験用に開発されたが...今の顔では返って不気味だ。』

 『そ...それなら!』


 精霊【2】はヘルメットを俺の胸に当てる。

 すると中の動力源の魔力がヘルメットに纏い、デザインが変わった。

 

 『こ...この依代に合うよう作ったよ。もう..大丈夫。』

 『...ありがとうな。』


 再び俺は服を着て、ヘルメットを被り部屋を出た。


 妙な仲間も増えた事だし、さぁ今日も頑張るか。









ーーーーーーーーーー

 

 『...あ?手が砕けてるな。』

 「気が付いたか?その手壊してごめんな。」

 

 ...昔の記憶を見ていた気がする。

 ああ、俺は負けたのか....ケケッ、すげぇ楽しかった。


 気がつけば医務室。

 どうやら寝ている間に運ばれたらしい。

 んで俺を心配してわざわざいるキジコ。


 『安心しろ、このくらいすぐ治せる。』

 『こんなふうに!』

 「わっ、精霊!?」

 

 精霊【1】が手をかざすと俺の手が元に戻った。


 『ね!』

 「ま...魔法具か...これ。」

 『おねーさん強いね!全身魔法具に勝つなんて!!』

 「いやぁ..へへ。」

 

 「師匠、リーデンさん!」

 「おわっ、クロマか。」

 「そろそろルザーナとエキーさんの戦いが始まります!!」

 「な!?」

 『あーそれは寝過ぎたな...じゃあ行くか。』

 

 俺は負けた。

 だが感謝するぞ、キジコ。

 心から闘いを楽しませてくれたお前に俺は感謝する。


 ありがとうな。

急にリーデンの過去編を組み込みまして申し訳ありませんでした。一度彼の過去をまとめておくべきかと思い書きました。

次回からはまた闘王闘技です、頑張れルザーナ、エキー!

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