第146話 猫vs闘精霊②
全力とまではいかないけど力を解放した私とリーデン。
力量差は...わかんない、そこは戦ってみないと。
わかるのはリーデン自身もまだまだ余力がある事、何かを隠しながら戦いヘラヘラしてる様子だ。どんな精神力持てばそんな事出来るんだよ...。
リーデンの才能というか能力はやばい、立ち回りの先読みと理解が早すぎる。よくも私の序盤体力魔力節約作戦を台無しにしてくれたなぁ!?
その羨ましい才能のお陰でまだ発動するつもりのなかった妖炎や各種強化魔法を使う羽目になりました。ムキーッ!!
『さぁもっと面白くしてくれるなぁ?俺の力はまだこんなまだこんなものじゃないぞ?』
(そのセリフ...負ける寸前の敵キャラ台詞じゃないんだ...!?)
あーもう、やればいいんでしょ!?
だったら色々撃って私が勝ってやるよ!?
私最大の武器はスキル数の多さと上限なしである事!
みていやがれ、五分五分らしき状況から巻き返してくれるわーーー!!!
いざ、覚悟せええ!!!
ーーーーーーーーーー
「妖炎玉!!」
『うお、危ねぇな!?』
妖しい色の火の玉をリーデンに向けて連射。
流石のリーデンも避けて距離を取る。
「驚くのが思ったより早いな、私の引き出しはまだまだあるぞ!」
『だろうな...だからこそ面白え。』
む、リーデンの動きが変わったというか妖炎玉を的確に避け始めた。そろそろ読まれて来たなこれは、ならこれはどうかと撃ってみる。
「魔法矢!!」
『!...すげぇなこれは。』
光の矢が雨のように沢山。
へへーんどうだ!魔法矢は現在最大120本までチャージ出来るんだよ!!飛んで行け!
魔力の矢がリーデン目掛け素早く飛んでゆく。リーデンは多少被弾するも避け続けながら私に迫ってくる。
「させない、魔力変形!」
私は地面に刺さった矢の魔力を集めてバリアにする。
『見事だ...だが!』
次の瞬間、バリアが粉々になり目の前にはリーデンの拳。
...あ、これやばいやつだ。
『おらああ!!』
間一髪防御するも、ふっ飛んでしまった私。
まずい、足が浮いた。
『隙あり、落雷蹴り!!』
空中で強い踵落としをくらって地面に叩きつけられた。急いで体勢を立て直すも、リーデンはさらなる追撃で迫ってくる。
ぐぬぬ....この場をどうやって切り抜けるか。
相手は近接攻撃を中心としているが魔法による遠距離攻撃も使える、おまけに隙も少なく戦士として一流と思えるセンスを惜しみなく発揮している。
『どうした!口の割にはどんどん押され始めているぞ!悔いのある負け方した奴はぶっ飛ばすんだっけなあ!!』
だが私も馬鹿じゃない、ここで一つ見つけた作戦を試す。
「ここだ、魔砲弾!!」
『!?』
私は魔砲弾で爆発を起こし視界を悪くさせる。
「もう一度ぶっ飛べ、魔砲撃!!」
『ぐあっ!?』
リーデンが地面から足が浮いた。
「仕返しだ、空間衝撃波!!!」
その瞬間に空間衝撃波を攻撃目的で発動!いくら金属の体でもこの技は効くだろう、普通は人間相手に出せる技じゃないからね!
汚ねぇなんとかほど上手くは行かなかったけどね...。
リーデンは全身に衝撃波が巡り、金属の体が衝撃を逃がそうとグロい動きで関節が曲がってそのまま地面に落下した。
...やっぱ怖い。
『...。』
「依代の肉体でも今のは効いただろ、関節があらぬ方向に曲がってるぞ。」
...メキッ
「ん?」
ゴキャッ...ゴトッ...メギャ....
「うわ...。」
骨折がみるみる治ってゆくゾンビみたいな動きで起き上がるリーデン。関節の向きが戻ってゆく。
『今のは...危なかったな。』
へへ、その体は延性が低いから痛かろう...。
戦ってる内に気づいたが、依代でも痛覚ある模様。だとしたら今のはやり過ぎたなと思う気持ちもあるが容赦なく行く戦うのが前提なので口にしないでおこう。
『...。』
あれ、黙り込んじゃった。
...やっぱりやり過ぎた?
『マジック・サクリファイス。』
その瞬間、リーデンから膨大な力と圧力が業火の如く燃え盛り溢れ出す。
ってか何、一体何が起きた!?
『...遠距離用で使う予定だった魔法の威力を実用不可レベルになる代わりに物理的身体機能を格段に上昇させる...奥の手だ。』
犠牲...なるほど。
するとリーデンは、コートを脱ぐ。
その体は綺麗な金属の体。
見た目はいい肉付きをした細めの男性のようなデザインというか形。
関節部は白色のラバーかなんなのかわからない素材。
「...もしかして、リーデンのバトルスタイル...あー、戦い方としてなんとかの全力と捉えていい?」
『惜しいな、8割だ。』
するとリーデンの体の一部に水色のラインが浮き上がる...今更だがその体ただのゴーレムじゃないよね。
「それただのゴーレムとは思えないんだけど。」
『色々いじくったからな、あの糞野郎の所で少しだが面白い技術知ったんだよ。』
なんだろ、プラモデル好きだった自分にはなんか心惹かれる何かを感じたが忘れよう。
『どの道お前相手ならこの力を解放する必要があるだろうと思っていた。さぁ、本番といこうじゃねぇか。』
とうとう本気になったリーデン。
私、アイツを倒せるのか?
ヘルメットと下半身の装備は取っていない模様