第144話 開幕
闘王闘技...それは数年に一度開催される最強の戦士を決める大会。ルールは正々堂々でも卑怯でもなんでもあり。
なぜならば戦士としての実力を競う大会だからだ。闘技場内で起こるのはエンターテイメントでもスポーツでもない、実戦である。
己の強さや持ち手を活躍させた奴の方はすごい奴、変なプライドやスポーツマンシップに乗ってる奴はただの愚か者。
栄光を勝ち取りたければ戦え、戦士ならば戦え、強くなりたければ戦え。
闘王の座は真の強き者に答えるだろう。
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開会式は...飛ばそう。
え、なぜかって?
単刀直入に言えば少し長い話と期待しているぞ的なので終わったからだ。
私達は会場に入る前にもっと面白い事していたからちょっと退屈だった。
大会は勝ち残り式で3段階、わかりやすく言えば準々決勝→準決勝→決勝的な順番である。
最初の戦いは私とリーデン。
2番目はルザーナとエキー。
3番目はレリィとスア。
4番目はニコとクロマ。
会場はやはり満席。
闘技場も広くなっており、観覧席との間にあるバリアはより強固となっている。これなら思いっきり戦える!
さて大まか必要な事は言った、現状況のお話をしよう。
『ようやくだな、こんなにうずうずするのは初めてだ。』
「私もだよ、今までは色々命かかった戦いが多かったからこういうのはまだ慣れてないんだよね。」
『なら面白い案がある。』
「面白い案...?」
『それはだな、ゴニョゴニョ....。』
「いよいよですね、最初にご主人様の戦いが見れるなんて!」
『リーデンも相当な強さだ、本大会に出ている以上油断は出来ないぞ。』
「頑張れーキジコー!!」
選手用観覧席から2人の戦いを見ようとワクワクしている皆。
「なぁいいのか?選手でもない俺達がこんな良い席にいても。」
「私も同感だ、我々の立場なら別の席があるはずだ。」
「そう言うな、大会の様子を見るならこの席が一番見えやすい。」
「キジコ様の案を元に皆様を招集、ここで観覧する事を決めました。」
『それはそれは面白い案でございますね。』
「ふふ、余程重要な事があるのやね。」
今この観覧席にいるのは選手だけじゃない、ムート女王、サジェス帝王、エノガード竜王、エルフ女王エルタナ、精霊女王ガイスト、そして中立最大国家代表の桃花と、ミッドエデル重要会議に参加した国の長達。
この部屋の中は特に疑わしい存在はいない事を認識した上で皆ここにいる。
「キジコ様の案からして、現状況は小さな情報でもちゃんと共有するべきと判断しました。その件は国家戦力強く関わります、いざという事態のための自軍強化が必要です。」
「重要会議でも出た情報も既に更新されているだろう、なら今重要なのは誰かを守れる強さとそのきっかけだ。」
「...なるほど、現に残っているのはエデルとパース、そしてサジェス帝国の戦士だ。既に全滅した国組は尚更学ばなければならない...か。」
真面目な一方どこか悔しそうなエルタナ。
「...お?そろそろ始まるみたいだぞ。」
「..!!」
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「皆様大変お待たせ致しました!これより闘王闘技3段の第一回戦を行います!!」
ついに来た。
「サジェス帝国より、リーデン!!そしてエデルより、神獣候補キジコ様!!」
...。
会場は静まり返る。
なぜなら2人の姿がないからだ。
「どこにもいないぞ!」
「一体どこに...。」
「...!おい、あれ!!」
ある観客が指をさす方向に...いた。
闘技場の壁の上に黒い影。
そして反対の高台には獣人の姿。
『俺はリーデン。お前に勝負を挑む!!』
「私はキジコ。お前に勝つ!!」
リーデンが渡してきた拡声術式を使い、どでかい声を出した。
これがさっきリーデンが言っていた面白い案。登場するなら思い切り目立ってもいいだろうという事で、面白そうだったのでノッたという訳だ。
会場に響く2人の声、
おおー!!っと驚き、湧き上がる歓声。
闘技場に降り立つ2人。
『...待っていたぞ、この日を!思い切り強者と戦えるこの日を!!』
「私もだ!その期待以上に応え戦ってやる!!」
闘気が溢れだし、体が疼く。
ああまだかな、まだかなと。
「それでは3段、第一回戦....!!」
司会がそう言うと同時に観客の声が静まり返り、辺りには緊張の圧が走る。
瞬間、キジコとリーデンに魔力が収束する。
「始め!!!」
「流星魔砲撃!!」
「咲散花之光!!」
始まった直後、花火に勝る輝きが闘技場に広がる。