第14話 行ってきます
「さて戦争を止める作戦ですが...」
本題に入った。
「それに関してだけどさ、」
「どうした、キジコ?」
今兵を止めても戦争がなくなるわけではない。
シルトのいうムート王国の様子はわからない。
ならば私としては、
「帝王に直接話つけることはできないの?」
「「「「「!?」」」」」
そりゃ驚くよね。
「待って下さいキジコ様!!帝国に狙われてるのですよ!?」
「それに関しても、直接処刑されに来たとかの方が討伐に関してはかなり信用ものっていうか王自ら倒した方が確実だと思うし。」
「キジコちゃん死ぬの!?」
「死なないよ。本当に殺しにかかって来たら抵抗するよ。」
ヴェアートの顔が真っ青になってた。
というより複雑になっていた。
神獣の資格を持つ者が殺される。それも己の所属する国に。
それからさらに私が帝国に行くって言うからさらに。
「キジコ様、狙われてるの以上せめて何かしら後ろ盾を...。」
「いらない。あると向こうが返って動きづらく真実が見えない。」
「...わかりました。」
シルトは不安にしていた。
心あたりある後ろ盾という事は神獣や守護獣に手をかせる人物なんだろう。
それもかなりの地位の。
けどそれだと私を殺せるかどうか怪しく知りたい情報が少なくなるかも知れない。
ヴァルケオからの情報からするとおそらく神獣を崇拝する者は広く存在する。
他の国に関しては知らないけど神獣の敵と認識されれば敵が多くなる。
なら後ろ盾なしで行く方が遺言条件で何か言うかも知れない。死にたくないけど。
それから色々ヴェアートに説明し...
「...わかりました。アタイの方から色々手続きとかします。」
「うん、でも出発は早くしたい。」
「わかりました。」
「じゃあ出発は2時間後で。」
「2時間後!?」
流石に早いかな
「一度帝国軍に合流してこう言えばいい、
{第6隊長が帝王様の命令で探されていた者だ
絶対に安全に帝王様のところまでご案内しろ
妙な事やらかせばお前らを殺す☆}
って。」
「いやいや無理矢理すぎるでしょ!?」
「そもそも第6隊長はどうすんの?!」
「アイツ嫌われ者だろ?毒蛇噛まれて死んでたって言っといて。多分通じる。」
「また無理矢理!?」
我ながら無茶苦茶だが理由なしよりかはいいだろ。
「兵達には近辺に安全地帯あったら休ませておいて。休憩ありとは言え可哀想でしょ。」
「...わかりました。」
「ではこちらの王国兵も私の方から止めておきます。」
「わかった、ありがとう。」
こうして作戦会議は中々怖い結果で終了した。
思えば朝4時くらいに起きてこの過密状況だからめっちゃ眠い。寝よ。
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ヴェアートの念話
「...急なご連絡に通じて下さりありがとうございます、帝王様。」
「うむ。それでヴェアートよ、そちらから掛けてくるとは珍しい、何かあったのか?」
「はい、現在、神獣の資格を持つ魔物が直接帝王と話つけたいと申しております。」
「な!?神獣の資格を持つ魔物だと!?」
「はい、一部の兵に国まで案内させておきます。」
「...わかった。こちらも準備をしておく。」
「!? よろしいのですか、そのようにあっさりと!」
「構わん。」
「..その方をどうされるつもりですか?」
「それをお前にいう必要はない。」
「...わかりました、では。」
「うむ、ご苦労。」
...帝王様は本当にキジコ様を...
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「キジコちゃん、時間よ。」
「ふぇ?ムニャ...。」
「この状況で安眠なんて割と神経図太いな。」
「早朝であの戦いあったんだから仕方ないでしょ、テューニ。」
「ニャんか..しゅみません..。」(´3ω3`)
「キジコ様、軍の元まではアタイめが責任持ってご案内いたします。帝王様はキジコ様の要望応じるとの事です。到着の頃には公式な謁見の場に案内されるでしょう。」
「おお!」
「ただ...何をするかは御教えくださいませんでした。すみません。」
「いえいえ、許可降りただけでもいい方です。途中で兵に殺される心配が減ったので。」
とはいえレーダーは張っておこうと思う。
「体の方はもう大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です。」
準備は整った。
いざ帝国へ行こう。
「我らはこの森の守護者である以上下手に離れるわけにはいかない。ヴェアート、頼むぞ。」
「はっ。」
「キジコちゃん、気をつけてね。」
「キジコ、無事に戻ってくる事を信じてるよ。」
「キジコ様、どうかご無事で。ヴェア、頼むよ。」
「わかってるわよ。」
「はは、行ってきます!」
転生して数日間過ごしたレギスの森から私は初めて外へ出る。
自分の平穏を手に入れるため、
仲間と平和に過ごすため、
「約束」を守るため、
私は今一度一歩踏み出す。
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「行っちゃったわね、キジコちゃん。」
寂しそうな顔をする狐
「なに、どうせ戻ってくるんだ。絶対なんて言葉はないけど...絶対に。」
仲間を信じる鷹
「我らができるのは家族として待っている事だ。あの子の居場所として。」
家族のために待つ獅子
彼らはただ
家族のために心配し、
家族を信じ、
家族であり続けると誓ったのだった。




