第142話 8人の強者
第二予選を突破して3週間が経った。
その間特に事件もなく、私達は無事にこの日を迎えた。
そう、闘王闘技の本大会に。
「...むにゃ...スゥ..。」
レッサーユニコーンの馬車に乗って少し離れた位置にある本大会の会場へ向かう私達。この町すごい大きいから歩くよかこっちの方が都合がいい。そしてルザーナ寝顔可愛い。
まだ町全体を細かく把握しているわけじゃないから迷子になったら大変、無駄にスタミナ使うくらいならこうするだろう。
さてさて、私達は本大会に出る身。
裏口や選手用の入り口の前に停めてもらわないと面倒な事になる。何かというと観客だ、第二予選の時でも周りがざわついていたんだ、本大会となるとその規模も違うだろう。
始まる前から面倒事は起きて欲しくないよね?
...お、あれが本大会の闘技場。
範囲は第二予選会場より1.5倍前後広いのだとか。
「もうすぐご到着しますよ、皆様。」
そろそろだな、起きなさいルザーナ。
ついに迎えた本大会、長く修行した結果を見せてやろう。...いや、だからといってとっておきは決勝まで隠しておくべきか...いや、出し惜しみして負けるのもアレだし...あーもう、その場その場で考えよう!
「みんな準備はいいな?」
「勿論です、ご主人様!」
「やる気バッチシです!!」
『問題なしなの。』
皆んな元気でよろしい!
さぁ、頑張るz....
ゴトッ
「あ、止まりましたね。」
『着いたのかしら?』
....変なタイミングで止められた。
まぁ、面倒ごとになる前にさっさと出ますかn...
「待ってください、会場から少し離れてます!ここ裏口じゃないです!」
「へ?あ、本当だ!なんで止まった...?」
あれ、御者もいない!どこ行った!?
「闘王闘技本大会出場者、キジコ様、ルザーナ様、クロマ様、スア様のご到着です!!」
「「「『え?』」」」
戸が開くと、入り口へ真っ直ぐ伸びている道、大理石の柱、第二予選の比じゃない観客。
「すげぇ、本物だー!!」
「キジコ様ー!!」
「蒼脚の女王だ!」
「蒼星夜の魔女様ー!」
「可愛いわスア様ー!!」
...すげぇ歓声。
「金眼之四王!!」
...ん?
「何か今変な言い方が聞こえませんでした?」
『私にも聞こえたの。』
「おや、もしかして知らないのですか?第二予選をパーティ全員で越えこの本大会へ出場決定、皆様の眼の色が金色である事から[金眼之四王]という呼び方が広まっているのですよ。」
なんだそれ!?
てかパーティってあれか、ゲームで仲間と組むアレでしょ!?私らはパーティじゃなくて家族だ家族!!
『えらいモテてるじゃねぇかお前ら、笑えるなぁウブブー。』
『うざい呼び方はやめとけリーデン、後で痛い目見るぞ。』
「見ろ、リーデンだ!!」
「レリィもいるぞー!!」
『俺らは様じゃないのな。』
『はいはい。』
リーデンとレリィが到着。
私達の元へ来る。それじゃ続き...
シュタッ
「...。」
[やぁ]と手を挙げジェスチャーしながらどこからか現れたエキー。
「どこから現れた!!」
「エキーだ!!」
本当に誰なんだろ、気になる。
「私もいるぞ!!」
「!?」
馬車の後ろから飛んで現れたのは朱色の髪と青の目の狼獣人。
「おはよ、キジコ!!」
「うん、おはようニコ。」
「ニコ様だー!!」
「カッコいいー!!」
「出場者が全員揃ったぞー!!」
そういやそうだ、本大会出場者8人全員がこの場に集まってしまった。
『なんの偶然かしら?』
「皆さんが元気そうで良かったです。」
「ニコさん、私容赦なく攻撃しますからね!」
「ヒヒっ、どんと来い!」
『なぁ、男は俺だけなのか?』
「...ブフッ。」
『おいエキーなんだ今の、今の吹きはなんだ。』
皆話ながら入り口に向かって歩く。
第二予選は敵意バッチバチの奴らがいっぱいでどうなる事かと思ったけど、大丈夫みたいだな。
どうせなら...
「ねぇ、会場に入る前にしておきたい事があるんだ。」
「?、どうしたのキジコ。」
私は皆を円型に並ばせ、内側を見るよう指示。
「何をするんだ?」
スゥ...
「優勝したい、Aブロックのキジコ!!」
「!!」
『...なーるほど。』
『絶対勝つ、Bブロックのリーデン。』
「勝ってみせます、Cブロックのルザーナです!」
「...負けない、Dブロックのエキー。(小声)」
『栄光を譲る気はない、Eブロックのレリィ。』
『負けるつもりはないの、Fブロックのスア。』
「頂点は私!Gブロックのニコ!!」
「最強になるつもりです、Hブロックのクロマ!」
「いいか私達は強い!!誰が勝ってもおかしくない、全員に勝機がある!!努力と覚悟を全力でぶつけろ!!己の策を存分に使え!!思うがままに戦え!!私達は殴る覚悟も殴られる覚悟もある、お互いを力で皆を驚かせろ!!力を振るう時は来た!!!」
私が拳を前に出すと皆も真似する。
「悔いが残るような負け方ををした奴は...。」
「ぶっ飛ばす!!!!」
私達は拳を上に掲げると同時に辺りは爆発でも起きたかのように歓声が湧き上がった。
「おまじない終わり!!...じゃ、行こうか!」
「おお!!!」
さぁ、闘王闘技の始まりだ!