第139話 第二予選(Gブロック)
彼女の名前はニコ。
今世の神獣(になる予定)にして私の親友。
その実力はキジコと互角...以前までは。
今ニコは神獣の力が謎の暴走を起こしており、つい最近それが爆発。
私なりに...というより当事者からの感想を言わせてもらおう。
無感情、純粋、容赦なし、激ヤバ....説得力ないだろ?それもそうだ、ほんの短時間の出来事だったし避けたり防いだりで精一杯だったのだからね。
簡単に言うとドコゾノブラザーズと一緒、敵に一発でも当たると生命に関わるレベルのダメージくらうって事。
まぁ幸い中の幸い、新技と投げ技で気絶させた事で事態は収まり色々あって桃花様にしばらくは暴走しないよう魔力の流れをなんとかしてもらった。
だがニコの暴走、心の中のヒビの拡大は既に再発...始まっている。
ここ最近宿泊ホテルで定期検診として魔力共有をしているのだが、ハルさんに教えてもらった通りそのヒビは確かにあった。
ニコと魔力...おっと考えすぎた、そろそろ試合が始まる。
この話の続きはまた今度にしよう、今はまだ言うべきではないだろう。
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Gブロック。
選手はムート王国のユースアという男とエルフ国のティーツという男。
ユースアは剣を両手に持ってる騎士。二刀流か...アリア元気にしてるかなぁ。
一方ティーツはレイピア。その刃はかなり濃い魔力が纏われている。
まぁあとはどうでもいい、私の推し...注目はアイツらなんかじゃない。
「そして最後は、獣人国パース代表にして今大会優勝候補にして神獣候補、ニコ様だー!!」
登場するなる真成無双剣を出すニコ。
戦ってもいないのに歓声が湧き上がり、相手の二人も身構えている。
「ニコーー!!頑張れーー!!」
「!!」
こちらを見てニッと笑うニコ。
「それでは第二予選Gブロック...開始!!」
「キジコー!私頑張るよー!!」
「勝つのは私だ!!」
「優勝するのは俺だー!!」
ニコは振り返り...
「勝つのは...私だ!!」
「「ぐあッ!?」」
峰打ちで薙ぎ払うニコ。
「さぁ来い!来ないなこっちから行く!!」
「...いいだろう、我らエルフの力を見るが良い!!」
「...覚悟しろ。」
3人はぶつかる。
ニコは大剣を振る。
ユースアは2つの剣を無駄なく操る。
ティーツは魔力で攻撃する。
「流石はニコ様、それだけの身のこなしと立ち回り、大変素晴らしいものでございます。」
「...急に言われるとむず痒いんだけど?」
「それに対してティーツだったか?お前は魔法ばかりで剣の使い方もなっていない...。」
「はあ?」
「はっきり言って弱いな。」
「..!!!」
ティーツは距離を取る。
「おいおっさん...今なんつった?俺が弱いだと?」
ティーツの魔力の流れが揺らぐ。
(簡単に揺さぶられてる、精神も弱めだな。)
(この程度の言葉で揺らぐとは...青いな。)
「ふざけんじゃねぇ!!俺は強い、エルフナイトどもは俺についていけなかっただけだ!!あんな下等な奴らと一緒にするんじゃねえ!!」
ティーツはレイピアを上に掲げると、周囲からキラキラした何かが刀身に集まる。
「ほう、今までの戦いで周囲に散って残った魔力を集めているのか。」
「そうだ!この大会は強い奴が多い、この全てを吸収する事で俺はぶっち切りで強くなれる!見ていやがれ!!」
...しかしニコもユースアも動じない。
「どうした!怖くて動けないってか!!」
「...いいや、放って置いても大丈夫と思ってな。」
「あえていうなら身の程知った方がいいかな?」
「はぁ?身の程は知ってるさ、俺こそが最っ強ってな!!」
...私もニコとユースアの答えと同じだな。
「あの馬鹿終わりましたね。」
「エルフナイトをクビになった奴だ、答えは見えている。」
ふむ、竜騎士とエルフナイトも結果が見えたようだ。
「ヒャハハハ!!死ね雑魚ど...ガヴァアッ!?!?」
ティーツは突然血の混じった嘔吐を起こす。
「エルフナイトに所属してた時からそうだ、身の程知らずで周りも見えない。強者しかいないこの大会で己の限界も考えず吸収すれば体が壊れるのは当然の結果だ。」
「お前何も考えず吸収したの?そんなのでよく第一予選越えたね。」
「だ...まれ..!!」
「愚か者の末路としては...まぁ普通だな。」
「なんにせよ自爆してくれたおかげで戦う相手が減った。」
「そうだな。...私は王国騎士団1番団長ユースア、王国兵の一人としてニコ様に勝負を挑みます。」
「私はニコ、獣人国代表として勝負を挑みます。」
ティーツは血を吐きながら担架に乗せられ運ばれていった。
「...行くよ。」
「来い!!」
ニコは一回転チャージし横薙ぎを繰り出す。
「流石の重さだ、だがこの程度で吹っ飛ぶほど私も弱くはないな。」
ユースアは弾き返しニコの懐を狙う。
「...!ニコ...ルームバースト!!」
「何!?」
ニコを中心に空間が思いっきり揺らぎ衝撃が走る。この技は以前私がニコに見せた範囲技[空間衝撃波]、範囲内の空間に衝撃波を走らせる技だ。加減を間違えれば相手がグロい死に方するので最近は自重し使ってなかったが...。(※トマトが内側のみグチャっと液状なったりみたいな。)
「ぐぁ!?」
「隙あり、ニコパンチ!!」
「ぐぅっ!」
ユースアは距離を取る。
(ふむ、向こうも多少は対近距離スキルや遠距離技を持っているのは間違いない。下手に突っ込むのは自殺と同じ、今のでわかった。なら作戦を変えるとしよう。)
ユースアは剣に魔力を纏う。
「行きますぞ!!」
「!!」
ユースアは剣を振る...すると。
ザシュッ
(!?、地面が!!)
「そう来たか!!」
ニコは移動を始める。
(単純だが私のような重い武器の相手なら有効、魔力の斬撃を双剣で何度も放つ技!この技はスキルではない、ただ魔力を剣で飛ばせばいいだけに済むからスキル枠を狭めない。おまけに切れ味をどうにかすれば弱い魔力でも強力なのがいい点でもあり厄介な所だ!)
「ならば、ニコ・ストーム!!」
「!!」
ニコは大きな竜巻を飛ばす。
「見事、竜巻の魔法は難しいと聞いたことがあるが...!」
ティーツは闘技場の端へ移動する
「さて...ニコ様はどこに...。」
....タッタッタッ
「...そこか!!」
「ええ!?」
「戦場なら砂埃で敵が見えなくなるくらい割とあるからな、このくらい慣れている!!」
大剣を真上から振り下ろしてきたニコ、だがどうやらユースアの方が実戦経験的に上だったようだ。
「お返しだ!!」
ユースアは砂煙に紛れ姿を消す。
(...上か!)
「ヘリオススラッシュ!!!」
「うぉっ!?ニコ・バリア!!」
上からの攻撃、しかもこの攻撃は強い光の属性を纏っている!
てか熱い!!バリア越しでも熱いって!!弾きかえすぁあああ!!
私は上に押し返し、魔力弾を撃つ。
「今のは自信ある一撃だったのですがね、こうも弾き返されると調子狂います。」
「調子狂いは今に始まった事じゃないでしょ?」
「そうですな!あっははは!!」
すごいなあのユースアって人...。
ウダスと同様、実戦経験で強くなったタイプだ。
あれは強い...。
「魔身強化、出力上昇!!」
「私も力をもっと入れるか!!」
そこからはまた見事な戦いが始まった。
魔力を纏った刃がぶつかった際の火花が大きく、耳が良い私はちょっと耳が痛くなってきた。
そして...
「やるじゃないか!!」
「光栄です...が、情けない事に私の魔力はそろそろ切れそうです。」
「!...そうか。」
「ですが私も騎士の端くれ、最後まで...足掻いてみせる!!」
ユースアは全魔力を使う勢いに魔力の出力を上昇させる。
「私も...答えるのみ。」
ニコは集中状態になる。
「これが私の全力、陽光一刀斬!!!」
熱と光を帯びた一撃がニコに迫る。
「ありがとう、またあなたとは戦ってみたいです。」
強烈な光と共に爆発が起きる。
「...久しぶりでした、こんなワクワクする戦い...は..。」
「ユースア選手戦闘不能!!よって勝者は神獣候補ニコ様だー!!」
「キジコ、私も本大会行けるよ!!」
「やったああニコが勝ったあああ!!」
『わあぁあぁ揺さぶるな主人ぃぃぃ!』




