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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
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第135話 第二予選(Cブロック)

 「さぁ続きましてCブロック!獣人国より、息のあったコンビネーションで相手を翻弄、双子の獣人シヤとネム!!」


 現れたのは双子の猫獣人。

 なんかさっきのモデルさん以上に魔力が高いぞ。


 「あたしシヤ!」

 「うちはネム!」

 「...あの二人は強敵だよ。」

 「そうなのか?」

 「彼女達は双子である故か考えてる事がほぼ同じらしくてね、連携...コンビネーションのレベルが非常に高い。」

 「なるほど...。」


 実質2対1、お互いが戦うのは間違いなくルザーナを倒した後だ。

 さぁルザーナ、お前はどう立ち向かう?


 「続きましてエデルより、蒼脚の女王ルザーナ!!」

 「キャールザーナ様ーー!!」

 「ルザーナ様ー!!」


 「...どういう状況だこれ?ってか今の...蒼脚のなんとかって?」

 「...そういえば、大貿易路で何度も現れた魔物の群れや盗賊を相手に一敗もする事なく退けたサラマンダーがいたとは聞いていましたが...。」

 「そういえばルザーナ、貿易路の流通仕事手伝ってたね。」


 間違いなくルザーナだわ、うん。

 ...カッコいい二つ名貰えてるね...。


 「おねーさんつよそー!」

 「でもウチらの方が強いよー!」

 「ふふ、可愛らしいわね。」

 「へへーん!」

 「えへーん!」


 「それでは第二予選Cブロック...開始!!!」


 試合開始と同時にシヤとネムの闘気が増したのを感じ取った。しかし一方、ルザーナは闘気を上げず至って冷静。


 「お姉ちゃんいくよー!」

 「シヤ、ウチらの力見せてやるよ!」

 (来る...!)


 二人はルザーナへ真っ直ぐ襲い掛かる。


 「それ!!」


 ネムが魔力弾を放つ。

 

 「この程度...あ!」

 「はいやーー!!」


 その魔力弾は囮、ルザーナが弾き防いだ隙を狙いネムが接近し襲う。


 「ふんっ!!」


 ルザーナは回避し、下がる...が。

 

 「はい!!」

 「!?」


 下がった瞬間、さらに大きな魔力弾がこちらへ飛んで来ていたのだ。


 「はあっ!!」


 ルザーナはキックで魔力弾を破壊。


 「甘いよ!!」

 「!!」


 今度はルザーナが魔力弾を破壊した隙にネムがゼロ距離で魔力弾をルザーナに当てた。

 ルザーナは多少吹っ飛ぶも大したダメージにはなってもおらず、すぐに体勢を立て直した。


 「囮と攻撃の繰り返し交代で攻める戦法...。」

 「どちらかが隙を作ればもう一方は楽に攻撃が出来る、その上接近と遠距離の連携はどちらも集中し警戒するのが難しい。」

 『集中力も削がれ判断ミスが発生しやすい、序盤からなかなかの手を使ってくるな。』


 (...ダメージを与える事は出来るでしょうけど、この連携に無策で突っ込めば私でも無事では済まないでしょう。...まだ[あの機能]を使う時ではありません。)


 「それもう一発!!」

 

 シヤは上に向かって魔力弾を撃つ。


 (この場合上に目線を持っていかせ隙を作る方法でしょう、ならば...。)


 「そこです。」

 「ぬぉ!!」


 ネムの攻撃を防いだ。


 「お姉さんすごいね、これはどうかな!!」

 「!」


 ネムはそこから力を込めて連続攻撃を繰り出す。


 「はいはいはい!!それ!!」

 

 ルザーナは避けたり防ぎを繰り返す。


 「それ!!」

 「来る!」


 当然その隙を狙い再び魔力弾が飛んで来たが、ルザーナには通じなかった。


 「お姉ちゃんそろそろ!」

 「他のいくよー!」

 「!」


 「「隠密!!」」

 「!!」


 そうか、猫獣人だから使えてもおかしくない!

 隠密は気配を消し相手の認識外になるスキル。私も使っているからこそわかる、上達すればかなり脅威になるスキルである。


 「....。」


 ルザーナは肉体機能で熱源探知を使える。

 いくら姿を隠せようと熱は隠せない。


 「...そこ!!」

 「ぬぅ!?」


 右に現れたネムの攻撃を防いだ...が。


 「そう来ると思ってた!!」

 「な!?ぐぁっ!?」


 なんと、熱源探知に引っかからずシヤが前から攻撃してきたのだ。


 「どうだ見たか!!熱で私達を見つけようとしても無駄だよ!」

 (何かしら対抗出来るスキルを持っているのね...想定はしていたけど厄介だわ...。)


 それからもルザーナは大きな攻撃を繰り出さず、回避と防御を繰り返している。


 『ルザーナが追い詰められている...!?』

 「...いえ、何かを探って判断しているように思えます。」

 『下手な力の解放は相手に無駄に情報を与えてしまうだけ、使うべき力を見極めているの。』


 ルザーナは考えていた。

 己が成長した事で得たこの力を一端でも使うべきかと。この力は今の自身にとって最大の技にして奥の手。

 見破られないよう本大会までは隠しておこうと。

 だが今は違う、出し渋りしている場合じゃないと。決意した、この力の一端を使う事を。

 

 「...決まった、これでいけます。」

 「?」

 「どうしたのおねーさん?」

 「かかってきなさい、あなた達を倒せそうです。」

 「...変なおねーさん、ウチら姉妹にここまで追い詰められて勝てる訳がないわ!!」


 二人は隠密で気配を隠し、闘技場内を高速で動きまわる。


 (もらったよ!!)

 (これで終わり!!)



 「ウロボロス、レベル1。」



 二人はこの一瞬、驚愕した。

 ネムの体を的確に狙い蹴るルザーナの姿があったからだ。


 「お姉ちゃん!!」

 「...!?今のは!」

 「...秘密の力です。」


 パシッ


 「あ...!?」


 ルザーナは背後から襲い掛かったシヤの腕を掴んだ。その方向を見向きもせず掴んだのだ。


 「嘘...気配は消してるのに!!」

 「言った通りです、倒せそうと。」

 「チッ!!」


 シヤはルザーナから離れ、ネムと共に再び気配を隠す。


 (お姉ちゃん!!)

 (もう怒ったわ...徹底的にぶちのめす!!)


 「さぁ、どこからでも来なさい。」


 それから二人はルザーナに猛攻するも、力の一端を解放したルザーナに手も足も出ていない。それどころか、反撃を加え始めるルザーナに押され始めていた。


 二人は困惑している、強さに自身のある連携がこうもあっさり通じなくなった事に。最初の意気揚々とした様はもう無い。


 「なんで...なんで!!」

 「どうして!!」

 「教えません、これ以上は無駄ですから終わらせます。」

 「!!」


 ルザーナの左足に呪力脚の装甲が現れる。

 装甲の蛇は目を光らせ、二人を怯ませる。


 「なに...それ?」

 「終わりです、影之恐怖シャドーテラー。」


 ルザーナの影から、黒い波のような何かが現れる。そして二人を飲み込む瞬間、蜥蜴のような顔が二人を喰らった。


 「....!!」


 シヤとネムは魂を喰われたかのように、静かにその場に倒れた。


 「あっけないものですね。」

 「ネム選手、シヤ選手、共に戦闘不能!勝者はルザーナ選手だー!!」


 そのインパクトに飲まれていたのか、観客は少し間をおいて大きな歓声を上げた。


 「情けではありますが、解呪しておきますね。それでも恐怖心は少しの時間残るでしょうけど...。」

 「やったー!!ルザーナが勝ちましたよ!!」

 『やったーですの!!』


 すごい...あれが今のルザーナ。

 一端であろうとあんなの見せられたら驚くよ...!成長した姿見れてもう...嬉しいよぉ。...ちょっと怖かったけど。


 「ご主人様ー!私勝ちましたー!!」


 私に向かって大きく手を振るルザーナ。

 よく頑張りました、本大会出場おめでとう!


 「確か次はエキーさんで...あれ、いない?」

 「本当だ、もう闘技場に向かったのかな?」


 次は正体不明の出場者エキー、その静かで重厚な闘気は私やニコも驚くほど。


 ...本当に何者なんだ?

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