第134話 第二予選(Bブロック)
Aグループ戦後...闘技場廊下
「あー疲れた、慣れてない技を張り切って撃つものじゃないな...。」
「はは、参りましたよ...。」
「とても勉強になりました。」
((性格戻ってる...。))
私は第二予選を勝ち抜き、本大会への出場権を得た。その後のお話。
「Bグループ戦はいつ始まるの?」
「10分後には始まりますよ。」
「早!?」
そんな急ピッチで進めるのかこの大会!?
「確かリーデンという方が出るんですよね、あの精霊の体は一体なんなのでしょうか?」
「?」
「本来精霊は格や魔力に合わせて成長するのですよ、でもあの方の体はその...無機物?というか...。」
『そりゃ無機物の肉体だからな。』
「だってさ...。」
「「「...わあ!?」」」
『うっす。』
「お前いつの間に!?」
『呼ばれた気がしてな。』
エスパーかな!?
リーデン見た目怖いからやめてくれよ...。
(※リーデンの見た目:ロングジャケットスーツ、堅そうなブーツ、機械チックなヘルメット)
『んでだ、この体はある事件の後帝国が用意してくれた特注の肉体...依代ってやつだ。ああ安心しろ、特に変な仕掛けはない。』
リーデンがコートとスーツの袖を捲ると、合金と思われる腕が現れる。
「これは...ゴーレムですか?」
(フィギュアの理想型とも言えるな...。)
「変わった金属だな...。これは?」
「知らん、軽いが加工が面倒らしい。」
ふーむ、気になる。
こう慣ればあのスキルを悪用。
「飲食鑑定!!!」
『は!?食うの!?』
「そういうのじゃないよ!!?」
[これは非食物です。]
[構成物質は主にチタンとアルミを確認。]
「おお!?チタンとアルミの合金か!?」
「チタン...?」
「アルミ...?」
「聞かない方がいいよ、長くなりすぎるお話だから。」
[...このスキル、こんな使い方あるんですね。]
(本当に上手くいくとは思わんかった...。ああそだスズネさん、ディメンと冥さん元気?)
[はい、暇が出来ればまた会いましょうとの事です。私もお待ちしております。]
神様からの招待状をしれっとゲット。
大会終わったら会いに行ってみるか。
『んじゃついでに俺はここで待機してるわ、Bブロックなんでなぁ。』
「おー、頑張れよ!」
「では我々は選手用観覧席に向かうとしましょう。」
ーーーーーーーーーー
「あんま冷えてないなぁ、ここのジュース。」
「冷却魔法陣の魔力期限が切れかけているのでしょう。」
「私のリンゴジュース、ぬるいのですけど。」
あまり冷えてないジュースを飲みながら観覧席に向かう私達。
「ご主人様ー!こちらですよー!」
「お、向こうか。」
紙コップをゴミ箱に投げ捨て向かう。
「本大会出場おめでとうございます師匠!」
「ご主人様すごいです!シュバッってなってドカーンって!」
『勝つとわかってたわ主人。』
「みんなありがとうね、...お。そろそろBブロック戦始まるみたいだ。」
「さぁ続きましてはBブロックを開始いたします!最初は獣人国より、氷脚術のヒェン!」
水色寄りの白い毛並み、武術家姿の兎獣人の女性。
氷脚ねぇ...氷魔法とかを操るのか?
でも観客の反応を見る限り、結構有名っぽいな。
「続きまして聖人国より、若き剣術王アンシ!!」
剣術王...と呼ばれてる割には魔力が不安定にも感じる、多分弱い。
「そして最後はサジェス帝国より、帝国内守護隊長、精霊リーデン!!」
気怠そうに腕を伸ばしながら廊下から出て来たリーデン。多分結果見えてるなこれは。
一年前、私は化物と戦ってたからリーデンの戦闘力は詳しくは知らないのだよな。今こそ奴の実力を見るいい機会だ、本大会で最初にぶつかるブロックなんだ、予選あいつが勝つのはほぼ間違いないからちゃんと見ておかないと。
「それでは第二予選Bブロック...開始!!!」
『フフッ..。』
「なっ!?」
「姿が消えた!?」
ゲッ、いきなり姿が消えたぞあいつ!?
「一体どこに...。」
『さぁ、どこだろうね...。』
「うーむ....む!?」
闘技場の端...ここの観覧席に一番近い位置にいた。
『相手が何隠してるかわからねぇのに馬鹿正直に突っ込むか、まずは観察だ。』
「貴様、戦いから逃げるな!!」
アンシがリーデンを襲い掛かる。
『こっち来る...な!!』
「ガブフゥ!?」
『....あ?』
リーデンが反撃に腹部へアッパー、すると手がブラーンとなったまま動かないアンシ。
「...嘘でしょ?」
『マジかよ...なんでこんな奴が第一予選勝ったんだ...?』
「アンシ選手気絶!戦闘不能!!」
『...つまらねぇな。』
リーデンはアンシを観覧席に投げ飛ばし、ヒェンの方に向かって歩く。
『お前はまだマシな戦いするよなぁ?』
「...そんなのがお望みなら...これを食らいなさい!!」
『?』
「アイシクルキック!!」
『...Aブロックの奴どっちかこのブロックにいてほし勝ったなぁ。』
ガシッ、
「え!?」
観客から驚愕の声が聞こえる。
『...?...?これどういう状況だ?ただ蹴りを止めただけだっていうのに。』
「な...なんで、私のアイシクルキックは百発百中なのに!?」
説明しよう。
氷脚術のヒェン、各地旅する彼女は氷の魔法と脚の武術を主体とした格闘家。そして彼女自身はかなり美人ということで大陸内では雑誌などで広告や商品説明などを依頼されている、なんというか...モデルとかそういうのらしい。
そして有名なのが百発百中、彼女の高速アイシクルキック。相手を氷柱プラスキックで大ダメージ、さらにそこから相手を氷つかせるという超低温を纏う大技。これを食らって無事で済んだ者はいないのだとか。
(隣にいた竜騎士からのお話より)
...あれくらい私でも止められるけどなぁ...。
「嘘....私のアイシクルキックが...!?」
『...期待ハズレだな。』
皆が騒然とする中、リーデンは拳に魔力を込める。
『おい、この大会に出てるって言うのならこの一発くらいは受けるなり避けるなりしろよなぁ...。』
「ヒィッ...!?」
魔力を込めた拳を振るおうとするリーデン。
『じゃあな!!』
「ギブ、ギブアップ!!ごめんなさい無理!!!」
『...チッ。』
「ヒェン選手、戦意喪失で戦闘不能!!勝者はリーデン選手ー!!」
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シュンッ
「うお、お前転移出来たのか!?」
『...キジコ。』
「あ、はい。」
『...本大会はマジで戦ってくれよ?消化不良で超絶嫌な気分なんだよ...。』
「りょ...了解。」
「ハズレブロックだな...これは。」
「いかにエリアさんとフィースィが強いかよくわかりました。」
「すごいんですね、二人とも。」
「...!!」
なんか照れる竜騎士とエルフナイト。
でも、私もリーデンから使えそうな情報を見つける事も出来なかった。えーい畜生。
「えーと次は...ルザーナか!」
「はい!私、頑張ります!」
Cブロックに出るのはルザーナ。
さぁ、この目で我が大切な家族の成長した姿を見ようじゃないか。
「頑張ってね、ルザーナ!」
「絶対本大会に出てみせます、見ていてください!」
「ルザーナ、応援しています!」
『頑張るの!』
「頑張れ!!」
『気をつけろルザーナ、お前の対戦相手厄介だぞ。』
『俺の分も頑張ってねー。』
ルザーナ、いざ出陣!!
チタンやアルミは低温であるほど強靭なんだとか...?