第133話 第二予選(Aブロック)
「それでは第二予選Aブロック...開始!!!」
始まりの合図と共に竜騎士エリアは空へ飛ぶ。ていうかすごい、竜人族は翼も出せるのか!
「竜閃雨!!」
空から碧色のレーザーがいくつも降り注ぐ。
早速これは凄くて綺麗で....やばい。
「おっと!!」
私とエルフナイトのフィースィは避ける。
幸い結構な高度であのレーザー撃ってきたのが幸いだったか、隙間が大きい。
「早速やってくれますよね...。」
「そうだ...な?」
「おや?」
あら、同じ所に逃げてきたのかこの人?
確かにここは他よりも隙間が大きい...あ。
「竜牙!!!」
「「罠か!!」」
誘い込まれたようだ、エリアは上空からランスを地面に向けて突撃。
「リーツェルソード!!」
フィースィは真っ向から技を放つ。
だがそれは間違った判断です。ノーチャージでの上攻撃よりも、回避していた間にチャージし重力に乗って勢い任せに突撃してきた相手の方がずっと強いです。
「だりゃああああ!!!」
「うわああ!?」
レーザーが吹っ飛ぶほどの衝撃が広がる。
うへぇ...尚更避けて正解だわ。
「いったた...。」
「おらどうした!?ちゃんと戦え甘ちゃんがよお!!」
「もう豹変してる...。」
おおぅ、豹変ってそう言うことか。口調も雰囲気も違う..。
...あら?あのフィースィって奴、ダメージがそこまで入ってない?
「...ランスの入り具合が悪いねぇ、エルフお得意様の攻防一体魔法攻撃ってのは本当嫌だわ。」
攻防一体!?なるほど...伊達にこの大会出てる訳じゃないって事ね。
「お返しだ豹変女!!」
「うわっ!?」
フィースィは私に向けてエリアを弾く。
(キジコ、相手が複数の時は魔力ばかり使うと後がない。いかに少ない動きで相手をより多く倒せるかを見極めろ。)
「危ない...な!!」
「ギャアッ!?」
「な、うわぁ!?」
こちらへ飛んできたエリアをフィースィに向かって蹴り飛ばした。ヴァルケオの教えの通りなんとかいけたぞ。
「やってくれるじゃないの...!でやああ!!」
「!!」
エリアのランス猛攻。
騎士として洗練されたその動きは隙が少ない、攻撃しようとすれば頑丈な盾で防がれる。
フィースィもそうだが攻防一体の強さはこちらも一緒...いやそれ以上、油断はできない。
「もらった!!」
「うお!?」
顔スレスレに突きが入る、そしてすぐ様エリアは盾で身を守る。
こういう時は...
「ふんっ!」
「!?...?」
盾に手を当てる。
そして...押し出す力と衝撃を一気に!
「はあ!!」
「うぐっ!!」
発勁って言うのだっけな。
どうやらエリアは押しには弱いのかもしれない。
「俺を忘れちゃ困るぜ!!リーツェルレイト!!」
エリアがノックバックした瞬間、斜め上方向からフィースィの攻撃が来る。
フィースィは片手剣と魔法を操る魔法剣士って所か?お手並拝見と行きましょう。
フィースィの放った攻撃は魔力を纏い高速で突撃、ゲームとかなら移動手段として便利そう。
その攻撃自体は直線、難なく避けれたが...
「そう来ると思いました!!」
「ぬお!?」
どうやら今の攻撃は避けられるのが前提であり、本命は背後に回った隙に攻撃を放つものだった。
フィースィは魔力エネルギーの斬撃を飛ばして来る。
「抜刀!!」
「ええ!?」
ふぅ、なんとかかき消せた。
「はは!すごいよ真っ向からかき消せるなんて!!しかもただの攻撃で!」
「?、そんなにすごいの?」
「はい!今の攻撃は防御貫通効果がありますので、ただ硬い防御でも防げる技じゃないんですよ!」
どぅえ、そんな怖い技なのか...。
「...というかお前技の効果敵に教えていいのか?」
「この斬撃自体はエルフナイト達がよく使う技ですから今更ネタバレも何もありませんよ。」
そう言うパターンか!
「それではさらに行きますよ!!」
「あたしも忘れちゃ困るぜ...覚悟しろ!!」
「来い!!」
さらに魔力が上がる二人、私は彼らと思い切り攻撃を打ち合う。
「すごいですご主人様!!」
『頑張れ主人ー!!』
「師匠頑張れー!!」
『ケケッ、第二予選の一回戦目なのにこんな面白くていいのかよ!』
『それは同感だな、であれば我々がもっと頑張ればいいだけだ。幸いキジコは温存していて力を解放していない。』
「キジコ、ファイトー!!」
「...ふふっ。」
「あれ、エキーさん今笑った?」
「...。」
「二連斬!!」
「貫通衝撃波!!」
「猫キック!!」
すごいなこの二人...ルザーナ達といい勝負出来る強さだ。大会後も会える機会ないかなぁ。
ともかく長引かせるのもあれだ、
「そろそろ終わらせるよ。」
「奇遇だね、あたしもそうさせてもらうよ!!」
「俺も同じ意見だなぁ!!」
魔力を解放する二人。
「見ていてくださいよ、これ使えるエルフナイトは結構限られますからね!!」
フィースィの剣から輝く魔力が発生、大きな刀身を作る。
「はああああああ!!!」
一方エリアの放つ魔力は業火の如く、エネルギーがランスに収束してゆく。
だが私は魔力を切る...いや、魔力を体の内側で静かに抑え込み収束させる。
「...師匠、何を?」
『...あの女がやる事だ、すごいのが来るぜ。』
「出場権は貰います!アルケーリスブレード!!」
「いいやあたしだ!!超絶竜炎槍!!」
「この一撃で....全てが決まる!!!」
エリアとフィースィは気づいた。
技と技がぶつかった瞬間、己が既に後方へ吹き飛び始めていた事に。
一瞬だった、己の武器が当たったその僅かな瞬間に押し出されたような感覚。
ドカァッ!!
「...マジかよ。」
「なんて強さ...だ。」
闘技場には、抜刀し斬り終えたキジコの姿があった。
...成功した。
重力比例攻撃とは別に何か技を覚えようと思ったあの日の夜にこの技を手に入れた。
エネルギーを抑え込みわざと脱力状態になる。そこから一気に溜めた魔力を抜刀と共に大放出する[超魔力抜刀]。今更だが我ながら厨二な名前の技作ったもんだ。
「竜騎士エリア様、エルフナイトフィースィ様、戦闘不能!!Aブロック勝者は神獣候補キジコ様だー!!!」
「ご主人様ー!!」
「師匠ーー!!」
『ま、当然なの。』
「キジコーーーー!!!」
私、本大会出場...決定!!!