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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
闘王闘技編
136/302

第131話 黒狐と魔女娘

ちょっと遅くなった

 ニコ(の力)と一悶着があって5日後、第二予選前日のお話。

 各地観光を満喫していた私達は観光をやめ、予選内容の確認をする。


 「私はAブロック。」

 「私はCブロックですご主人様。」

 「ふむ...Hブロックですね私は。」

 『Fなの。』


 A=[キジコ][エリア][フィースィ]

 B=[リーデン][ヒェン][アンシ]

 C=[ルザーナ][シヤ][ネム]

 D=[エキー][バール][グラース]

 E=[レリィ][レダン][ルーゴ]

 F=[スア][マイン][メーノ]

 G=[ニコ][ユースア][ティーツ]

 H=[クロマ][ラーマ][イレイン]


 うむ、見事に知らない名前ばっかり。

 同時にこれまた見事に皆んな被ってない。

 分かるとしても...

 エリアは確か竜人国の竜騎士とかだっけ、フィースィがエルフナイトだとかなんとか...?レダンは確か...獣人国でチラッと会った人だな。

 ...Dブロックだけ知ってる人いないな。


 とりあえずこれが第二予選の対戦表。

 なんだろ...左縦一列が本大会に出るだろうなこれは。

 んでもって私とニコが決勝戦で会う事ができる配置だな。


 とりあえず決まるもんは決まったし、最終調整入りますか。


ーーーーーーーーーー


 「はあ!!」

 「ふんっ!!」


 一度ミッドエデルから転移で離れ、やってきたのはリーツ近辺の山。最終日だし皆で軽く手合わせ、ちゃんと体動かさなければ。


 「会場近辺の魔物の狩場、独占されていましたね。」

 『どうやら第二予選の選手が立場利用な何かでそうしているみたいなの。』

 「登校日前日で夏休みの宿題する子供かな...。」


 元々その狩場はせっかくのつもりで行く予定だったけど、どうやら選手がレベルアップ的なのを目的に独占してしまっているようだ。

 そういうわけで今ここにいる。


 『それにしても...軽く手合わせって言ったのに何かしらこれ。』


 レジャーシート、紙皿、紙コップ、折り畳みテーブル&椅子、日傘、サンドイッチ、鳥や魚のフライ、サラダ、ジュース入ったクーラーボックス....


 『完全にピクニックセットじゃないの!!』

 「そうだけど?」

 『だったらそのままピクニックいえば良かったじゃないの!』

 「はは...ごめん。」

 

 前日するにしても緩すぎるって言われそうだったから軽く手合わせって言う前提でここにきたけど...言い換えなくても良かったなこりゃ。


 「でも結構いい所ですね、十分広いし静かで安らぎがあります。」

 「一度は皆と行きたかったんだ、こんなタイミングでごめんね。」

 「大丈夫ですよ師匠、私であればいつでも呼んで構いません!」

 『やれやれ...こうなったらもうとことんゆったりするの。』


 というわけで私達は最後までゆったり(と適度な運動)過ごす事に決定しました。



 「うーむ...。」

 「?、どうしました師匠。」

 「これ、この黄色の果実がこの山で取れるらしいんだ。この世界ではなんて呼ばれてるか知らないけど私のいた世界では[梨]って呼ばれていたんだ。」


 私が手に持ってるのはギルドからもらった秋の味覚の広告。

 私が興味持ったのは梨。

 意外にも洋梨のようなひょうたん型ではなく、日本と同じ丸いタイプ。


 「あー、シーナですね。」

 「逆読みパターン!?」

 「この辺り自生していたのですね、面白そうですし森の中に行ってみましょう!この山は朱斗さん達から入る許可はすでにもらっているのですから!」

 「いやまあ賛成には賛成だけど...迷わないか?」

 『私が留守番するの。私ならこの山全体から主人達を探知するくらい楽勝なの。』

 「すげぇ!?」

 『見つけたらちゃんと道案内するからまぁ大丈夫なの。』


 というわけで私達はスアに留守番任せ、野生の梨狩りに行くのでした。



 「意外だな、この辺りの道もある程度舗装されてるな。」

 「どうやらこの先に神社があるそうです、そのためそこまでの道はこうやって整えられてるみたいです。」

 「え、そんな近辺の梨取って大丈夫かな...。」


 歩いて数分、手がかりナシ(梨だけに)。


 「...せっかくだし神社寄って行こう。山の恵み貰うからせめて挨拶はしておこう。」

 「そうですね。」

 「この道を道なり進めばあるみたいです。」


 パワースポットとかそういうわけではないけど、あると知ったら行ってみたい気持ちが湧き上がってしまうではないか。


 私達は階段を登っては登り十数分。


 「はぁ...やっとあと少し。」

 「師匠、体力まだあるのになんで息切れ?」

 「前世から刻まれてる長い階段の体力消費による息切れだよ...。」

 「...?」


 前世の日菜ちゃんとの旅行で行ったあの神社の方がもっと舗装されてる分楽だったんだなと思える。

 さて神社はあそこだな...。


 「着いたー!....ふぁ?」


 それに驚いた。

 着いた先には広い庭、新品であるような木材の門と本殿、床は石畳。

 そしてこの辺だけ綺麗に木が無い。


 「これは...!?ああ、皆んな真ん中通っちゃダメだよ。神様が歩く道だから。」

 「は、はい!」


 どういうことだ?まるでここだけ違う世界というかなんというか。

 私達は恐る恐る本殿に向かって歩く。


 「おお、ご丁寧に賽銭箱。えーと10円玉どこだっけな...あ、ここ異世界だ。シルバーでいいや、100円分。」


 賽銭箱に投げる。


 カランカラーン...


 二礼、二拍子、

 

 一礼、


 (すみません、この辺りに自生する梨...シーナの実をいくつか取りに来ました。どうかお許しを。)

 (お?構わんぞ。)

 (ありがとうございま....


 「ま?」

 

 「どうしましたご主人様?」

 「今誰か喋った?」

 「いえ?」


 (ワシじゃよ!)


 「!?」

 「今のは!?」


 すると私達の後ろに深い霞が収束し始める。


 (朱坊や蒼坊、桃ちゃん以外でやってくるのは珍しいのう。)


 ポーン


 「ふぅ、初めまして。私の名前は椿姫つばきじゃ、この神社を管理する偉ーい守護獣なのじゃ。」


 現れたのは艶のある黒髪の巫女服狐。

 背は私と同じくらい。


 「シーナじゃったな。ほれ、後ろの木になっとるじゃろうが。」

 「え...あ、本当だ!?」

 「ワシじゃ食べきれん、遠慮はいらん!どんどん持ってけ!」

 「あ、ありがとうございます!」

 

 なんかよくわからないけどシーナゲットだぜ!


ーーーーー


 「あの!」

 「ぬ、どうしたそこの魔女娘...む!?」


 突然大声上げて驚く椿姫。


 「お、お前...シャルマか!?なんで若返っとる!?」 

 「しゃ...しゃる?クロマそれ知ってる人の名前?」 

 「え...!?」


 クロマはその名を聞いて驚く。


 「な、なんでお婆さまの名前を知ってるの!?」

 「お婆さまぁ!?」

 「クロマのお婆さん!?」


 椿姫はフラフラと賽銭箱の上に座り込む。

 ...管理する側にバチって当たるのだろうか?


 「...蒼星夜のローブと帽子、なるほど...お前が認めるほどの才能持っておるんだな。」

 「?」

 「...ワシはな、こう見えても327年は生きとる。」

 「え!?」

 (ヴァルケオ達も3桁年数生きてるから驚かないな私。)

 「その年月のうち...今から150年前じゃったか、幼き頃からこの神社にお参りにやってくる獣人の魔女娘がおってな、そいつがお前の祖母シャルマじゃった。」

 「お婆さま...。」

 「その装備...蒼星夜は才のある者だけに受け継がれる魔法具。んでどうやらまだシャルマは生きとるようじゃの、さすが200年以上は生きる長寿型の獣人じゃな。」

 「この装備...そんな伝統あったんだ...。ねぇ椿姫さん、お婆さまの事結構知ってるみたいだけど、どういう関係なの?」

 「なに、ただの腐れ縁じゃ。奴は面白い、ワシを見ると途端に鍛えてくれと懇願、遊び程度で付き合ってやったらメキメキ強くなりおったわ。結構長いことやって来ては面白い物持ってきたりでワシも変に知識身につくわ変な術覚えるわ、面白い日々じゃった。

 そうして20年以上経った頃かの、奴はミールという男と結婚したそうでこの神社へやってきた。」

 「...お爺さまも来ていたんだ。」

 「そいつはどうしとる?」

 「ちゃんと生きていますよ。今もお婆さまと仲良く暮らしてます。」

 「そうか、今も幸せそうで良かったわ。それからまた数年後、今度は子を連れてきおったわ。確か...エルティマという女子じゃった。まだ3つくらいの子じゃったなぁ。」

 「それお母さまです。」

 「じゃろうなぁ、ちなみにその時備え物だとかなんとかで持って来たのがシーナじゃった。面白そうじゃから植えてみれば今のとうり、生え過ぎた分は適当なところに植え替えたり焼いて肥料にしたわ、面倒じゃもう。」

 「ふふっ。」

 「何を笑っとる!」

 「すみません、まさかこんなところで私の知らないお婆さまやお母さま達の話が聞けましたので。」

 「むぅ...んで、エルティマとはそこまで会ってはいなかったがちょくちょくやって来るシャルマが元気だとか色々言っておった。知らぬ間に孫が生まれたとも言ってたが...。」


 椿姫は突然、クロマのほっぺを触る。


 「...似ておるなぁ本当、可愛らしい。」

 「わあ!?」

 

 顔が赤くなるクロマ。

 

 「大雑把じゃがこんなところだ。」

 「...ありがとうございます、椿姫さん。」

 

 ...ん?


 コッ...コッ...コッ...


 「誰か来たぞ?」

 「...この匂い。」

 「この気配は...!?」

 

 え、え、何!?



 「あら、珍しい所にやってきたじゃないの、クロマ。」

 「お婆さまあ!?」

 「シャルマ!!」

 「えええええ!?」


ーーーーー


 「なーるほど、あの時のシーナがもうそんなに増えちょるのか!あっはは、もっと早く枯れるもんじゃと思っとったわ!」

 「何があっははじゃシャルマ!久しぶりに顔出せば!頑張って植え替えしてたのに!」

 「悪いねぇ椿姫、この年になると体の動かすのも大変なんじゃわ。」

 「むぅ...んでシャルマ、何しに来た?」

 「決まっとる、このとっても可愛い孫が闘王闘技に出るって言うから、健闘のお参りに来たんだよ。」

 「な!?今年なのか!?」

 「そうじゃ、椿姫も来たらどうじゃ。」

 「行くわんなもん!!あれ開催周期変わるからいつやるかわからんかったのに!!」

 「はっはっは!言っとらんかったからなぁ!」

 「キーッ!!」


 怒ってる割には嬉しそうな椿姫。


 「ああクロマ、老人の話は長いから先帰るといいさ。明日からの予選、頑張るんよ!」

 「はい、お婆さま!」

 「また来いよ、孫!」


 とまぁ梨を手に入れ私達はスアのいる広場に戻った。


ーーーーーーーーーー


 なんだかんだあって私達はミッドエデルに戻って来た。驚きいっぱいのピクニックでした。


 「とても嬉しそうだね、クロマ。」

 「はい、とても面白い日でした!」

 「良かったですね、クロマ。」

 『あむあむ...。(切った梨食ってる)』


 私達も正直驚いた、人って色んな所で繋がっているもんなんだなぁって思うよ。


 さ、クロマのモチベも上がった所で!


 「みんな、第二予選絶対勝つぞー!!」

 「おー!!」


 さぁ、明日はいよいよ第二予選!

 これで本戦出場者が決まる!!!

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