第12話 負けイベント?
本日2本目
『ジャア!!』
「おわぁ!?」
早速イーターの拳が来る。速い!
レーダー&センサーフル稼働で避けれた。
『...その体にしてハやルナ。』
いや結構無理してます。
現在半径12.5m以内限定のフル稼働レーダーと周囲の床と空間に蜘蛛糸のような細いセンサー用レーザー。
それら全部使ってやっと避けれました。
精霊水エリアじゃなかったらやられてました。
とりあえず悪あがき。
「ペネトレーザ!」
『ほう?』
ペネトレーザは相手の足に命中...したが。
穴の空いたやつの肉体がすぐに元に戻った。
『効かんな。これでも再生能力持っテいるんデネ。』
「嘘ーん!?」
ちょっと待って本当にまずい。
そういやヴァルケオと攻撃した際の傷がもうない。
これはまずい。
ならば不意打ちを試す。
「魔砲弾!」
『なんだ、砂埃が立つだケではナいか..ム!』
顔面とらえた!!くらえ、
「パワーソニッククロー!!」
『チィッ!』
なんだ?ちょっとオーバーに避けたぞアイツ。
もしや、
「魔砲撃!!」
『グア!?』
イーターは顔面守るように腕をクロスしてガードした。
「やっぱりアンタ、その宝石が核なんじゃない?」
『チッ...流石にドジったカ。」
途中から違和感があった。あんな風に動けるのになぜわざわざ動けないスキルイーターの姿で他人に生命力を集めさせたのか。
私を殺そうとしているが今のヴァルケオを隙あらば倒せるはず。
おそらく奴はあの[宝石を核として生きている]状態。そしてスキルイーターそのもののエネルギーが無くなれば自身は無事じゃ済まない。
おまけにソウルイーターはさっきジジイが使ったせいで低出力でしか発動出来ず、直接食う以外大きなエネルギー補充方法がない。
吸い取ったエネルギーもヴァルケオの妨害で中途半端。
だがヴァルケオと私がいる以上下手に補充もできない。
さっきヴァルケオと戦ってる最中逃げようとしたのはおそらくエネルギー残量が少ないから。
残量が少ない以上ずっと強いヴァルケオを倒せず逃げるために少しずつソウルイーターで体力を奪っていた。
ヴァルケオは動きが鈍くなったが、ヤツとしては全然エネルギーが足りない状態。
だから神獣の資格持つ私をエネルギーとして狙い、すぐに殺し吸収して逃げる気だ。
・
・
・
『があア!!』
「よっと。」
しばらく戦うとヤツにすぐに焦りが見え始めた。回避もだんだん余裕。
一方ヤツは弱点もバレ、エネルギー残量も少ない。
それに今まで人型ではなく宝石の姿で活動していたって事はおそらくあの姿、燃費が悪い。
つまり奴は..大がつくほどにピンチなのだ。
短期決戦で私を殺し逃げれると思ったから。
かと言って弱いわけじゃないし私も未だ決め手がない。
(『まずい...ヤツの行動ヲ見る限リ、ボクの状態がバレている。勘が鋭イヤツめ..、こうなれバ..。』)
『ハア!!』
ヤツが目を光らせると突如分身が現れた。
同時に霧も発生し始める。
「お前、逃げる気か!!」
『これ以上ハ無駄だと判断しタ。』
逃す気は無い。コイツ森の生命力や外の人間を喰らう気だ。
私は魔力エネルギーの収束に集中し始める。
ヤツを確実に倒すために。
『いずれ貴様らハ絶対に殺す!覚えておケ!』
「させるか!!」
ヴァルケオが叫んだ。
そして回復しきってない魔力で分身を消し、残った魔力大半ヤツの逃げ道を塞ぐ結界に集中する。
『...このクソ野獣ガアアアア!!』
これで終わりだ!
「全力魔砲撃!!!」
『グアアアアアア....!!』
フルブラストが邪精霊に直撃、結界にぶつかり圧力がかかる。
バキッ
スキルイーターが割れた。
その瞬間、邪精霊の魔力が霧散し始める。
『アアアオノレ...オノレ..魔力ガ..魔力ガ...。』
このまま死んでくれ。
私もヴァルケオも魔力が切れている。
もう動けない...。
『タダ..ではすま..サン..スマ..サンゾ..道連れにシテクレル!!!!」
「「!?」」
ヤツの核が赤黒い光を発する。
「まずい...霧散したエネルギーが収束するどころか..ヤツの内部にあったスキルまでが無理矢理エネルギー変換されている..。」
まさか...
「自爆する気か!?」
『アア..ソウダ。神域ゴト..消しとばしてくれる!!!』
最悪だ。
テュー兄達の気配はまだ遠い。
畜生。こんな所で終わりかよ。
ど畜生。畜生...。
赤黒い光がどんどん大きくなっていく。
『サラバ..ダァ!!クソ野獣がああ...
がゔぁ...!?』
...!?
「なんだ!?」
『ア..ア..........。』
突然光が消え邪精霊は再び霧散し..消滅した。
そこにあったのは重厚な金属の輝きを見せる黒い大きな斧。
「間に合った...とは言いがたいですが生きておられますね、ヴァルケオ様。」
「...!! 貴様は!」
「お久しぶりです。ヴェアート・ルーナ、馳せ参じました。」
え、誰、この美女。
紫の髪、ちょっと黒い肌、黒白逆の目、結構大きめなたわ..ゲフン。
銀のラインの入った黒い鎧、斧を扱ってるとは思えない細い美腕美脚、...はっ。
また見惚れてた。
「先程、シルトから連絡が入りました。あなた方が危ないと。なので少々強引ですが[安全な経路を探してくる]という形で急いて来たってわけです。」
「そりゃ強引だな。にしても成長したな、子供だったお前らが今や現勇者。」
「えへへ...アタイ頑張りました。」
え?え?何この状況。
私ワカリマセーン。
「さて..アイツも来たようだ。」
「アイツ?」
「はは、アタイが一番先に着いたぞ。」
森からヴェアートとかいう美女とは逆に、
金のラインの入った白い鎧、ちょっと金髪寄りの茶髪、その手に如何なる物も断ち切ってしまいそうな力を感じる剣を持った美男。
「本当にお前はいつも競争すると勝つよな。ヴェア。」
「はっ、アタイは強いからね!」
「...君も立派になったね、シルト。」
「改めてお久しぶりですヴァルケオ様、それとヴェア。」
うん、余計わけわからなくなりました。
・ジジイ襲撃
・ジジイ食われる
・邪精霊登場
・自爆寸前
・美女登場
・ヴァルケオ懐かしむ
・美男登場
・ヴァルケオ懐かしむ(2回目)
★☆私唖然☆★
「キジコ、紹介するよ。彼らは聖人族と魔人族の現勇者、シルト・ソーレとヴェアート・ルーナだ。」
「え?勇者?」
「あなたがテューニ様が言っていた、神獣の資格を持つ方ですね。キジコ様、よろしくお願いします。」
「ふぁ、神獣の資格!?どどどうもよろしくです!」
丁寧な美男と慌てる美女。
「あ...いや、様はつけなくても..?」
「キジコ、前に神獣の資格を持つ者は良からぬ奴に狙われるって言ったよね。」
「うん。」
「それはそれだけ君が脅威かつ格上の存在だっていう意味もあるんだ。だから普通の人にとっては君も我らと同様、崇められる存在っていう事でもあるんだ。」
「...まじか。」
なぜ今言う。
しかし..そういや大事な事忘れてる気がする。
大事な事大事な事...
聖人族..魔人族の勇者...あ?
「あれ?戦争は?」
「アタイ達の兵は今も進軍中。今日の夕方には着くだろう。」
「こちらの軍もそのあたりだ。」
「何いいいいいい!?」
ちょっと待った明日じゃないのか!?
「予定よりも早く着きそうなんだ。」
「それまでに戦争止める作戦考えなければな。」
「え、戦争止める?」
マジで?
シルト「安全経路探してくる(`・ω・´)!」
バビュンッ
仲間兵A「元気だなあの人。」
仲間兵B「うむ。」