第123話 予選説明
「2人を助けてくださりありがとうございます!!」
「ありがとうございます!!」
「本当にありがとうございます!」
3分もない内に無事発見されたヴィリーという貴族の従者。幸い魔物に襲われはしなかったようだ。
「運良く馬も無事だったようだし、これで帰れるね。」
「ほぅ、レッサーユニコーンか。種類の中でも綺麗に先祖返りしているじゃないか、見事な角だ。」
「ええ、昔はレッサーユニコーンは先祖返りで角が大きい個体は暴れると危険という事で嫌われていまして、その際殺処分寸前だったこの兄弟を我々が引き取ったのです。」
「そういやあったねその話。元の原因は人間から始まった話だったのにね。」
この世界でもそう言うのがあるんだな。別に健康健気でも色が薄いだとか毛並みが悪いとかの理由だけで飼われず最悪の結末辿る子が。
この馬...レッサーユニコーン達はいい飼い主に出会えて良かったな。
「馬車は壊れてしまいましたがこの子達であれば私達を乗せても大丈夫です。お前たちはプルクに乗るといい、その子は気遣い上手だから安心して帰れるだろう。」
「あの町へ帰るまでは魔物がお前達を襲わないようこちらでなんとかしよう。気をつけて帰るがいい。」
「何から何まで本当にありがとうございます守護獣様、そしてキジコさん先程も申し上げましたがこの恩は絶対に....ん?キジコ...?」
「ん?」
するとヴィリーは震え始める。
「き...キジ...キジコ....様ぁ!?」
「えええ!?神獣候補の!?」
「これは失礼しましたあ!!」
「今気づいたの!?!?」
パニクってたから今気づいたらしい。
いやぁ人って何かあると判断鈍ってしまうもんなのだな...私も深く気をつけよう。
その後3人は落ち着いた後、町へ帰っていった。
「はぁ、とんだ夜散歩になったもんだ。」
「キジコがどこか行くといつも何か起こるよね。」
「言うなそれ。」
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翌日、
朝からヴァルケオ達と特訓している時の事である。
「(失礼します。)」
「ん?」
ヴァルケオ達が別の方向を見る。
「どうしたの?」
「来客のようだ。」
来客?そういやこの神域は普通は入れないんだっけな。インターホン的なのがあるのかな。
「...わかった、こちらへ来るがよい。」
ヴァルケオがそう言いしばらくして、森の方から騎士姿の人間が数人現れる。ふむ、見た感じそれなり強いようだし道中の魔物襲撃は大丈夫っぽいな。
「お初にお目にかかります。私は闘王闘技会の主催より命じられ、今大会の内容についてご報告しに参りました者です。」
闘王闘技...私が参加する大会の事だ、要するに参加者含めた関係者への連絡か。念話ではなくこうやって直接訪れた辺りどうやら盗聴されると困る部類の内容らしい。
「キジコ様、どうぞこちらを。」
渡されたのはこの大会についての内容や参加者について。いくつか行われる予選で勝ち残った者が大会へ出る事が許されるという事らしいが、これはシークレット情報ではないな。
肝心なのは私宛に送られたと言うこの手紙だな、桃花様の魔力込みの印がついてある。
私は恐る恐る紙をめくった。
[キジコへ、今の季節が旬でレギスの森に実るツインの実をご提供お願いします。市場でも人気なので全然手に入りません♪桃花より。]
「なんじゃそりゃあああ!!」
紙を地面に叩きつけた。(※ツインの実:さくらんぼ)
「まぁ桃花ちゃんらしいわね、あの子食べるの好きなのよね。」
「脱力した...。」
見た感じ暗号も特にないようだ。
単なるおつかいのメモである。
「...そういえば私はどこの予選に出ればいいの?」
「はい、キジコ様はリーツの闘技場で予選参加でございます。」
「わかった、ちなみにいつから?」
「今から2日後の昼でございます。第一予選の内容は闘技場内で30人1グループの中から1名となるまで戦うと言う内容でございます。」
なんともわかりやすい生き残りゲーム。
「参加各国そこから選ばれた4グループから4名、この予選はルザーナ様とクロマ様、スア様もご参加されます。」
「ふむふm....ふぁ!?あの子達も出るの!?」
「は、はい!でもそれぞれグループは別となっております...。」
「そうか...。」
朱斗達は立場上参加しないからリーツで目立って強いあの子達が別グループで予選...おそらく本大会で戦うだろう。
「それと第二予選の内容なのですが、第一予選で勝ち残った者達がミッドエデルの会場にて同じく勝ち残った者達と戦い、そこで生き残った8名が本大会へ参加する事になります。」
一気に絞られるなこれは。
そこまで絞られるとなると、誰に会えるかわからないな...。どうせなら皆一緒に本大会へ行きたいもんだ!
「詳しい内容ですが、集まった参加6カ国代表4名...計24名が3名ずつ戦う形となります。」
24÷3=8...なるほどそこで決まるのか。
それから注意事項やその他説明を受けた後、テュー兄が持ってきたツインの実を貰い騎士達は帰って行った。
「いよいよね、キジコちゃん。」
「2日後の昼、なんか緊張するなぁ...。」
「お前なら大丈夫なのはわかるが、油断は禁物だ。気をつけろよ。」
「うん。」
この大陸の国から8人、絶対ニコはいるだろう。私は明後日に備え再び特訓と調整を始めるのだった。
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2日後...いよいよねキジコ。
君と私はとても強いから絶対決勝戦で会うよね。
私は私の全てを見せるから覚悟してよね...。