第117話 ミッドエデル重要会議①
ニコ派vsインヴァシオン派の戦争から1週間経った日の事である。
リーツ、領主館
ガラッ
「体調はどうですか、ご主人様。」
「ああ、大丈夫だ。ルザーナも元気そうで良かったよ。」
あの後意識を失い、目覚めればリーツの館にいた。その時点で2日経ってた、魔力共有の反動もあるだろうけど1番の原因は隠しスキル:極められぬ者の効果だ。
緊急で過剰なエネルギーが溜まった体の正常化をするために激痛伴いながら修復されたのだ。
お陰で目覚めた後も入院状態で、しばらく看護受けてました。
疲れが取れたのかルザーナがやってきた。
ちょっとお高いオレンジジュースを持ってきた。
「サンジュースか、ありがとうね。」
「お体が回復したようで何よりです。」
「もう手足もなんの問題もなく動かせるけど退院は明日だな。ここ館だけど。」
前世と違ってテレビゲームも漫画もないので退屈しのぎに従業員さんに本を持ってきてもらってしばらく読んでた。
一応マウリ姉によく使われる文字は教えてもらっていたけど、エルフ語や竜人語はまだよくわからなかったのでタビさんに教えてもらった。
驚いた事といえば、この異世界の他の生物に関してだ。異世界定番のゴブリンやスライム、幻獣と言われるユニコーンやペガサスがこの世界に存在している事だった。
ただこの大陸にはいないとの事だ、ちょっと残念。
ガラッ
「お、もう大丈夫そうだねキジコ。」
「あ、テュー兄。」
「おはよキジコ。元気そうで良かったよ、前来た時は寝ていたからね。」
「寝てばっかだな私。」
「あっはは、そうだね。」
部屋に入ってきたのは聖獣にしてレギスの守護獣テューニ。カゴにリンゴが入ってる。
「そういえばヴァルケオやマウリ姉は?」
「朱斗達と話してる。少し先の時期に忙しい事があってね...。」
「そうか。」
皆も元気そうで何より。
「ああそうだキジコ、ニコ派とインヴァシオン派の戦争の終結に辺り色々会議がある。明日以降早速だけど来てくれるかな、場所はエデルの中央都ミッドエデルという都だ。」
「中央都!...行ったことないな。」
「大丈夫、この館にその町に行ける転移役の人いるから。明日10時大広間に集合の後に転移だ。」
「わかった。」
まぁそういうのはあるだろうと思ってた。
仲間と最前線突っ切り大将討ち取ったから多分なんかに呼ばれるだろうと思っていた。
思えば極限魔力大砲撃撃ったの久しぶりだったなぁ。
グゥ...
「それにしてもお腹減ったな...。」
「では、何かお持ちしてきますね。」
「頼んだルザーナぁ...。」
「僕はヴァルケオ達のところに戻るね。」
「うん、またね。」
ーーーーーーーーーー
早くも翌日、復帰した私。
「おはようございます師匠。もう大丈夫なんですか。」
「ああ、この通りだ。」
『良かったの。あの後の主人の治療大変だったの。』
「ごめんごめん。」
館にクロマとスアがやってきた。
どうやら二人も会議に参加するらしい。
すると後から足音が。
『やあキジコ。元気かい。』
「あれ、レリィ。」
『なぜいるんだって顔だな。そっちがパースに向かった後、ワタシとミーシャは精霊結界でこの町を守っていたんだ。もし何かが攻めて来た時のためにな。ちなみにミーシャは今買い物中だ。』
「おお、私達のいない間にありがとうございます...。」
『んで、ここに来た理由だがこれだ。』
レリィは数枚の紙を出す。
...精霊語っていうのかな、読めん。
「会議に参加するって事?...なんて書いてあるの?」
『ああ、パースから元バノス領方面の大精霊達からの情報を集めてな。今後の事に関わる内容だから代表してやってきた。』
「なるほど...。これは想像していたより大きな会議になりそうだ。」
『まぁな。』
レリィって思ったよりビッグな人物ならぬ精霊なのか...?大精霊級の存在らしいけど精霊に関しては詳しくないからイマイチ実感が湧かない。
寝込んでた時に読んだ本には精霊に関するのは無かったな。
「レリィ、キジコ様、お待たせしましたー!」
その後ミーシャが到着、私達は大広間に向かった。
「よし揃ったな...お、キジコ。体はもう大丈夫なのか?」
「ああ、この通りだ。」
大広間には朱斗と蒼鈴、会議参加者達がいた。参加者は主に近辺の町村からの代表者である。
「なぁ蒼鈴、会議の参加者って他はどこか来るのか?パースは確定として。」
「そうだな...今言ったパースやその周辺町の代表者はもちろん、長い間バノス軍に身を置いていたウダスという男にも今後の元バノス兵の処遇に関して参加してもらう予定だ。他にも例の研究所の脅威ついても議題がある。それに辺り大国小国それぞれ参加者が後でやってくる。そんな感じだ。」
「皆様、転移の準備が整いました!」
「お、それじゃ外へ出るぞ。」
「ああ。」
私達は光に包まれ中立国家エデルの中心都ミッドエデルに転移したのだった。
ーーーーー
目を開けると驚いた。
リーツの館よりも大きく、周りは緑の木々が植えられており、広大な敷地内に精霊水の川が流れている。
なんというか、いかにも豪邸!
「おお...!!」
「すごいだろ、俺達の実家。」
「んで持って会議予定の館、桜華の館へようこそ。親父元気かなぁ。」
「あれ、母親のことは母上って呼んでるのに父親は親父って呼ぶの?」
「そっちの方がなんか呼びやすくてな、ほぼ気分だ。」
「前母上と会った時は親父忙しくて、最近会えていなかったんだよな。」
「ちょっとぉ、私の心配もしてよね我が子達!」
「「「うわあ!?」」」
背後に突然現れる桃花様。
やめてくれこういうサプライズは。
その上尻尾をフリフリしてる、子供がナイスアクションして喜ぶ親である。面白いけどちょっとひでぇ。
「ようこそ皆さん、私の館へ。ニコちゃん達はもう来てるからどうぞこちらへ。」
「...母上が直接案内来るとは。」
「いいじゃないのよ私の家なんだから。」
とまぁしばらく家族会話を聞きながら館へ入る。
「ようこそおいでくださりました皆様。」
館に入ると若々しく優しい雰囲気の猫獣人男性がいた。んでイケメン。
従業員さんかな?
「「ただいま、親父。」」
「え?」
「おかえり、朱斗、蒼鈴。元気にしてたかい?」
「ええ!?」
なんと!?この人が朱斗と蒼鈴とお父さん!?めっちゃ若いやん!!なんなら二人より少し身長下だよ!?従業員のあんちゃんじゃないの!?
「...!流石に驚いたか。キジコ、この人が俺達の親父。」
「初めましてキジコ様、私はこの子達の父親であります、翠柳と申します。」
「こ、こちらこそ初めましてキジコと言います。本日は色々...。」
「翠、客人待たせてるから早く案内しないと。」
「ああそうだったね。では皆様こちらへ。」
父親加え家族話がまた盛り上がる四人。
こういう平和な光景見るとこっちもなんか幸せだなぁ。
「何度見てもうちの子が親より背が高いのって悔しいけど嬉しいよぉ。」
「親父またか...。」
「小っ恥ずかしいぞ。」
「いいじゃないか二人共ぉ。ツンツン。」
微笑ましい。
しばらくして私達は重要会議室前に到着。
ガチャッ
「お待たせ致しました皆様。」
重要会議室はとても広く、円型で階段状の部屋となっている。
部屋にはパース関係達が揃っていた。
...あ、いたいた。
ちゃんとニコやジン、ウダスがいた。
ニコは私を見つけると手を振った。
「では始めましょう、第一議題である元インヴァシオン派獣人の処遇について。」