表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
119/302

第114話 人の心vs獣の意志(11)

 「グルルル....。」

 「...ぁ...!?」


 黒いオーラに染まった王室。

 重厚な唸り声が響き、空気を揺らす。

 その威圧感は凄まじく、スキルで耐性を持ってっていても本能的な何かが危険信号を発する。


 「...変わり果てたな、叔父上バノス。」

 「これか...森で感じたピリつく風は。」

 「もはや[猛獣]ですねこれは。辞表通じなさそうです。」

 「んでもってなんだこの魔力量...!?」


 黒いオーラであまり姿が良く見えないが、感じる魔力は想像していたよりもずっと高い。

 

 「驚いて頂けましたでしょうか?」

 「!!?」


 部屋の隅から女性の声が聞こえる。

 そして歩いて姿を現したのは研究服を着た女性。


 「お前は結晶を持ってきた時の...なるほど、あの時の結晶が今の事態を引き起こしているのか。」

 「ご名答。アレは我々が集団戦闘における戦闘力量を増大するために開発したアイテムでしたが都合のいい実験台がちょうどありましたので。」

 「...どうみてもそこの奴がやばい事なってるのはどう言う事だ?」

 「実験に失敗は付き物です。まぁ新たに実験データを取れるのでどの道我々としては得ですね。」


 なんてマッドサイエンスな事を...。

 今に始まった事ではないが平然と多くの人の命の危機に晒す事に深く関わってる以上、見過ごす事なんて出来ない。

 逃すわけには行かない。


 「あんたには色々聞きたい事があるんだ。大人しくしてくれ。」

 「あら?私がそんな大人しく捕まるような貧弱と思ってるのかしら。」

 「え?」


 研究員は全身に魔力を込める、その瞬間研究員の身体から獣のような毛が生え始める。

 尾が生え、足と手の骨格、肉が変わり、魔力が一気に上昇する。


 「ひょう...!?」


 それは二足歩行の彪。

 私のような、ニコのような獣人とは違う、人間の女性ベースに彪...ナントッカーというか悪の秘密結社の怪人みたいな。

 

 「これが我々の技術。ただの人間さえも凄まじい戦闘力を手に入れられるわ。こうやってね!!」

 「ガッハァ!?」


 不意打ちもらい扉を壊し廊下の柱に叩きつけられる私。


 「キジコ!!」

 「今貴方達の相手はワタクシではなくてあちらじゃないのかしら?」

 「グルルルゥ...!!」

 「ぐぅ...あ...!」

 「しっかりしろ!」

 「よりデータが欲しい所でしたが捕まっては意味がありません。ではワタクシはこれで。」


 研究員の女はどこかへ逃げた。


 「高治療ハイヒール...!...よし。」

 「逃げられちまった...なんて逃げ足の速さなんだ。」

 「その上あの強さ...不意打ちとはいえ相当な強さでしょう。」

 「向こうが殺しにかかってきてないだけ、体力的にマシだった。」


 私は体勢を整え、再び王室へ入る。


ーーーーーーーーーー


 「...。」

 「皆、武器を構えろ。」

 「グルルル....。」


 黒いオーラから赤い目の光が輝く。

 瞬間、黒いオーラ晴れた。


 その姿は異形の狼の怪物。

 人ではなく獣。

 前足は鋭い爪、

 前足に比べ小さい後ろ足は筋肉が発達している。

 頭には禍々しい結晶の角。

 鋭く赤い目は私達を睨んでいる。


 「...キサマ...ニコかああああ!!!」

 「お久しぶりです、叔父上。」

 

 ニコは真成無双剣トゥルーワンに魔力を込める。


 「ウグゥゥ....ウガアアアアア!!!」


 なんとバノスは屋根を壊し、町へ逃げた!

 まずい、何が起こるか分からん!!

 私達は屋根に登り、町の方に向かって走る...走ってばっかだな。


 「一体何をどうすりゃあーなってしまうんだ!?」

 「ウオオオオオーーー!!!」


 町の中央で大きな雄叫び。

 これはやばい、あそこ本軍の奴らだらけなんですけどお!?


 「やばいな...ニコ、キジコ、雑魚は俺たちに任せろ!お前らはバノスを倒せ!!」

 「幸いバノスに怯えて周りの奴ら逃げ回ってますが、いつ襲ってくるかわかりませんね。」

 

 フォン..

 「(我々にもお任せください、師匠!)」

 「うお、クロマ!そっち大丈夫なの!?」

 「(はい、すぐに終わりました!)」


 そう言った途端城からルザーナ達、パース兵とウダスの部下が町の中央へ突撃していき、道を作っている。


 「...いくぞ!!」


 私達は町に向かって飛び降りた。

 着地の寸前クロマが浮遊魔法で落下ダメージを消してくれた。


 「じゃあ頼んだ、2人とも!!」

 「お願いしますよ?」

 「...行こう、キジコ!」

 「師匠、頑張れ!!」

 「ご主人様、ファイト!!」

 『負けたら許さないの!!』

 

 私とニコは開けられた道を歩み、バノスを睨む。


 「グルル...逃げずに来たことは褒めてやる...!!ようやく証明できる、オレが最強であることをなあああ!!」

 「...何年経ってもちっぽけなままだな、バノス。」

 「黙れ!!」


 バノスは口から魔法弾を放つ、だが私達はパンチで消した。


 「今ここで、両親と...そして同じ志を持ち散っていった者達の無念を晴らす!!」

 「友達のため、今後の平穏のために...ぶっ飛ばす!」

 「グゥゥ...ウガアアアァァァァ!!!」


 バノスはニコに襲い掛かる。

 

 「オレが最強だああああ!!」

 「妄言を吐かないでください。」


 ニコは一回転し、勢いをつけバノスの攻撃を防ぎダメージを与える。


 「この程度か..ぐあ!?」

 「どう、私の魔砲撃。私を忘れてもらっては困るじゃないか。」

 「ガルァァア!!」


 バノスは角から赤黒い稲妻を飛ばしてきた。


 「ぐあああ!?」

 「...!?」


 避けたら本軍の奴らに被弾、くらった奴らは動くことはなかった。

 これ被弾するのはまずいな。


 「キジコ!」

 「ああ!」


 私達はバノスに攻撃を始める。

 ニコはバノスの爪を真成無双剣トゥルーワンで受け止める。その隙に私が久遠くおんで瞬時に斬った。


 バノスは私に反撃しようと顔を向けた瞬間、ニコが大剣を振りバノスを斬る。


 「ガルルァ...貴様ら..!!」


 だが思った以上に効いていない。

 結晶の角から溢れる魔力がバノスの傷を癒やし、肉体機能を高めている。


 「グルァア!!」

 「な、早...ぐあ!?」

 「キジ...がぁ!?」


 尻尾による振り払いを受け吹っ飛んでしまった。

 それに終わらずバノスはニコに蹴りを与え私に魔法弾をくらわせた。


 私は魔砲弾マジックキャノンを撃つもそれほど効いていない、なんて硬い毛なんだ...。

 

 「でやあああ!!」

 

 ニコがストレートにバノスの頭を狙い大剣を振り下ろす。しかしバノスは角で弾いた。

 

 「どうした?威勢の割には大した事がないな!!この力があれば他の国の奴は皆オレに跪く!オレが支配する時代がようやく始まるのだ、オレの強さが全てだ!!ガーハッハッハ!」

 

 バノスは勝利を確信したかのように笑う。

 実際私とニコは劣勢、まともなダメージを与えれていない。

 与えたとしても自動で回復、一体どうする?


 「...ねぇキジコ、朱斗と蒼鈴の力、覚えてる?」

 「...そりゃ覚えてはいるさ。」

 「...私達はまだ候補だけどさ。」

 「?...まさか、あれ出来るの!?」

 「わからない。でもさ、わかるんだ。あの力...ただ純粋ない力だけじゃない、何かしら思いが乗せられているっていうか、そう思うの。だからキジコ...!」


 ニコは私の手をギュッと握る。


 「私と...感じ合って!!!」


 ...は?

クロマ「ななななななななななななんですってえええ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ