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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
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第108話 人の心vs獣の意志(5)

 「...。」

 「...。」

 「...。」

 『...。』


 「(...静かだ。)」


 クロマが電波探知の技術を覚えた事で、余計静かになったパース兵達


 「...スズナリの音がよく聞こえるわ...。」

 (前世で言う鈴虫)

 「俺達、森林浴に来たのかな?」

 「戦だバカ。」


 もはや目的があやふや。

 サイレントイズオソロシイ。

 

 「どうせならこのまま静かなまま...


 シュッ...


 「...!!でやあっ!!」

 「な!?」


 カラッ


 「おわ!?...毒の塗られたナイフだ!」

 「北西方向に熱源。」

 「左上と右後ろに金属反応、毒の矢のトラップ。」

 『トラップ解除、...いたわ。23m離れた位置よ!』

 「わかった。」


 キジコは気配を消して音も無く忍び寄る。


 バシュッ

 バタッ


 「これでよし。」


 キジコが引っ張ってきたのは黒い服を纏ったバノス軍の隠密部隊の獣人。1分もなく発見の難しい暗殺者を対処するなんて、流石すぎる。

 ニコ様達が深く信頼している理由にどこか納得がいく。


 ...命かけて戦に出た俺達がこんなに守られてちゃ情けないな。


 「その男以外に気配はありました?」

 「いや、今のところこの男だけだな。」

 「師匠、私の電波探知なのですが...そちらの探知の邪魔にはなっていませんか?」

 「ああ大丈夫さ。伊達にレーダー機能鍛えてないからね!」


 そしてその連携に乱れはない。

 美女、友情、超パワー!凄まじすぎる!!

 うちの軍は男ばっかむさ苦しいのに!


 「負けた...。」

 「羨ま...。」

 「可愛い...。」

 「え?...え?」


 何がなんだかわからないキジコ達であった。


ーーーーーーーーーー


 キジコです。

 あれからしばらく森の中を進んでいますがなかなか開けた所に出ません。


 今いるのはパースとバノス領域の間にある大きな森。城まで今ようやく半分超えたんじゃないかって所です。


 皆んなの体力はまだ大丈夫だけどいつまでも森の中にいるわけにはいかない。下手に長時間過ごすと向こうがどんな手を使ってくるかわかったもんじゃない。


 さっきも暗殺者送り込んで来やがったけど、あれが大量に来られると兵士さん達に迷惑かけてしまう。

 彼らは命をかけてこの地に来ているのはわかっている、しかし人として平和に暮らす事を目指しているニコや彼らの家族のことを考えるとここで死んでもらっては今後が悲しい。


 正直お節介かもしれないけど私は私のやりたいようにやらせてもらうよ。

 結果的にニコに悲しい思いはさせたくないからね。


 「師匠、森の奥から光が。」

 『もうそろそろ出口なの。』

 「よし、向こうもどんな手を使ってくるかわからない。戦闘体勢!!」


 皆警戒状態になる。

 

 『そろそろ出るわよ。』


 私達は森を出た。

 景色は木々が何本かある平野。

 敵の姿は見えない。

 ただヒューッと風が吹いている。


 「...なんだ誰もいないじゃないか。」

 「...!?」バッ


 兵が進もうとした途端、ルザーナが止める。

 そう、[敵の姿]は見えないのだ。


 パシッ


 「...麻痺毒の矢。」

 『気をつけて、5人いるの。』

 「全員レーダーフル稼働。」


 まずい、どうやって攻める?

 居場所はわかるんだが...ただ毒の矢やナイフだけで攻めてくるとは思えない。

 ただレーザーでバシュバシュッってして解決はしないだろう、仮にも向こうは武装派の獣人だから戦闘技術は優れている。下手な作戦は無駄だろう。


 「モードチェンジ。」


 今は化猫にモードチェンジしておこう。派手な魔法は視界の邪魔になるだろうし。


 タッタッタッタ...


 「誰か走ってる。」

 「...。」


 「ジャアアッ!!」

 「...!!はああっ!!!」


 ルザーナのキックが決まる。


 「まずは一人です。」

 「今のは痛い。」


 すると残り4人の動きの音が変わった。

 恐らく1人犠牲にして相手の動き方を見極めるつもりだったのだろう。


 だが今のキック見れば警戒はするよね!


 「一人一人潰すのは面倒なのじゃないでしょうかコレ...。」

 「...そうだ。クロマ、ゴニョゴニョ...。」

 「はい!」


 クロマは集中し始める。

 

 「(皆さんは防御体勢を取りつつ適当に見回してください。)」

 「(わかった。)」


 ...


 ザッ!!


 「シャアアッ!!」

 「オアーッ!!」


 2人が木々から飛んで上から攻めてきた。

 クロマが魔法に集中し隙ができ、パース兵が森方向に目を向ける事で上がガラ空きになった。


 「今だ!!」

 「時空操作・時間遅行!」


 クロマは上に向かって時間遅行を発動、暗殺者の動きが宙でゆっくりになる。


 「スア!」

 『はいなの!!』


 スアが暗殺者に向かって地面から太いツルを伸ばし縛った。

 残り2人だ。

 

 ダッダッダッダッ..


 今度はストレートに1人、2刀流ナイフで襲ってきた。


 「私が行きます!」


 飛び出すルザーナ。

 暗殺者はナイフを立ててルザーナに襲い掛かる。


 「...やはり、弱い。」


 ルザーナは呪力脚で回し蹴り、暗殺者のナイフを蹴飛ばす。その際ルザーナの脚が手に命中した暗殺者は苦しんでいる。


 「ご主人様、この刺客...やけに弱すぎます。」

 「なに?」

 「スオロさんの方がずっと強かったです。」

 (※スオロ...覚醒前のルザーナを襲撃した元暗殺者。現在イグニールの監視の下、情報屋をしている。)

 「...となると、残りの1人が怪しいな。」


 すると木の影から獣人の男が現れる。


 「所詮気配を隠すのだけが上手い三下程度じゃ手も足も出ないか、やるじゃねえか。」

 「...リーダーか何か?」

 「そうだ、俺はバノス軍暗殺部隊隊長。そこの青二才と比べるんじゃねえぞ。」


 ...コイツ本物だ。

 静かだが内の魔力がすげぇデカい。

 カラミアといい勝負だ。


 「...私が行く。皆んなは防御に集中。」

 「ご主人様!?」

 「向こうは実戦戦闘技術が相当高い。」

 「...わかりました。」

 「ふん、わかってるじゃねぇか。だが実に愚かだ。」


 私は皆の周りにドーム状のレーザーネットバリアを張る。


 「...こい。」

 「くっははは!!本当に俺相手に1人で挑むんだな!!」


 男は短めの片手剣を取り出す。

 

 「いいだろう、その自惚れに後悔するがいい!!」

 

 暗殺隊長は物凄い速度でこちらへ迫る。


 「妖炎抜刀..!」


 初手から妖炎纏った飛び攻撃を出す。

 だがさすがは実戦経験豊富な暗殺者、速度維持しながら軽々と避けた。


 「シャアッ!!」

 

 ガキィンッ

 

 「くっ!!」

 「甘い!!」

 

 刃がぶつかった瞬間、暗殺隊長は蹴りを繰り出す。

 私は後ろ方向に少し下がる。

 

 しかし私も負けていられない。

 暗殺隊長は追撃に迫った瞬間、妖炎壁で妨害する。


 「ぐっ、この炎...防御貫通か!」


 暗殺隊長も後ろに下がった。


 「ふんっ!!」


 暗殺隊長は森へ入り高速移動を始める。

 気配は掴める、だが霞み始めている。レーダーをフル稼働させているのに...これはヤバい。


 「...。」


 焦りは危険だ、集中しろ...。


 

 「ジャアッ!!」

 「...ペネトレーザ!!」

 「何!?」


 暗殺隊長は左から現れた、

 私の首を狙おうと飛び出した瞬間にペネトレーザを5発撃ち込んだ。


 「チィッ!!」


 暗殺隊長は身体を回転させ避ける。

 だが2発ほど掠った模様。


 「...単純な小細工は通じねぇみたいだな。」

 「...。」

 

 暗殺隊長は剣に魔力を込める。


 「ならこれはどうだ!!」

 「うお!?」


 暗殺隊長が繰り出したのはただの剣技による攻め。だが単なる剣技ではない、動きに無駄が少ないのだ。

 下手に攻めると逆に隙を見せて斬られてしまう。


 「おらどうした!!この程度か!!」

 「うぐぅ...!魔身強化出力上昇!!」


 カラミアとは訳が違う、

 対人戦であれば格段に上だコイツ!

 純粋に強い!!


 「でやあ!!」

 「ほう、ようやく慣れてきたか...我が剣技に!!」


 そんなわけあるか!魔身強化の出力上げて動きがやっとわかってきた程度だ!!

 

 「妖炎纏い一閃!!」

 「うおっと!?チッ、その技は受け止めたくねぇな...。」


 どうやら妖炎をかなり警戒しているらしい。

 防御貫通はやはり痛手になるからだろう。

 

 「妖炎玉!!」

 「ぐあ!?」


 妖炎玉を拡散して撃つ。

 暗殺隊長は避けていたが被弾してしまった。

 少しずつだが攻略の糸口が見えてきた。


 「もういっちょ!!」

 「ぐぅ!」


 すると暗殺隊長は宙へ飛ぶ。


 「ポイズンスピア!!」


 発動したのは魔法による毒の矢の雨。

 レーザーネットバリアで守ってるルザーナ達にこれが被弾するのはちょっとまずい、


 「ペネトレーザ!!」


 私は30発ペネトレーザを繰り出す。


 「何!?」

 「これだけ撃てば無傷じゃ済まないだろう!!」

 「...ハイエナジースラッシュ!!」

 「!?」

 

 だがなんと暗殺隊長は高出力の魔力を纏った斬撃で防いだのだ。


 「マジか...貫通力自身あったんだけどな。」

 「はぁ...はぁ..浅知恵は早く潰れる。生温い戦法で勝てると思うなよ!」


 暗殺隊長の言った通りこれは簡単には終わらないだろう。こうなりゃ魔力を大幅消費してでも倒すしかない...!

ちなみにスオロは今もイグニールにパシられながらも、今日も元気です。

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