第10話 先遣隊のジジイ、現る
うわあああよりにもよって嫌なヤツ来たああああああああああ!!!!
なんだあの鎧のおっさん!?
急に私を狙いやがって!!
しかも何、計画に利用する!?売却する!?
ふざけんなコノヤロー!!
こちとら多趣味とお昼寝溢れる平穏目指してるからそんなのごめんだね!!
てか、神獣の資格持ちだからってこうもいきなり狙われる普通!?
どこの密猟者だテメー!
つーかここ神域!!!
関係者以外立ち入り禁止区域だっつーの!!
極め付きにあの態度!!
私の事「何者か知らねぇ」がって...ん?
知らないだと?
神獣の資格持ちってのバレたのに?
「なぜ資格持ってるのがわかる...。」
「ふん、念話持ちか。なら教えてやる、この宝石の力よ。」
すると変なジジイな装飾の付きの変な宝石を手に持った。
なんだあの紫のジュエル?
「なんだその宝石?」
「こいつはなぁ、スキルイーターつって殺した相手のスキルを蓄え使える禁忌の道具よ!」
「はあ!?」
なんーだそのアイテム!?
初めて会う人族が反則級アイテム持ってんじゃねぇよ!!
「あまり話す事はねぇ。とりあえず死にな!!」
そう言って変なジジイはまた矢を放ってきた。
が、それほど早くもなければそんなに威力も感じない。
反撃できるんじゃね?
「魔法矢!」
「ぐあ!?」
曲線描かず矢は真っ直ぐ変なジジイに直撃。
あれ、思ったより弱い。
だがあの鎧、矢が刺さった瞬間矢が光の粒子になって消えた。
なんか特殊な効果持ってるパターン来たわ。
「小癪な!!」
変なジジイは腰の剣を抜いて、川を一飛びで飛び越えこちらへ襲ってきた。
てか脚力すっげ。
「少々眠ってもらう、ハードスラッシュ!」
「おお!?」
さっきの矢よりはずっと威力高いのがきたが避けれる。
周囲感知適用内のさらに内に来たからか、ある程度動きが予測できる。
とはいえ立派な鎧を着てるだけあってか、いわゆる剣術とかはしっかりしており、油断してると攻撃が当たってしまう。
「どりゃあ!!」
「おっと!」
ジジイがニヤリとする。
...ん?
「掛かったな隙あり!睡眠念波!」
スリープ!?もしや睡眠の状態異常とかくるヤツ!?
「馬鹿め!!この魔法にかかったら最後、お前はどっかに売り飛ばされるだろうなぁ。グヒヒ、いい金入るだろうな!!」
まずい、世界がグルグル....
視界が暗く...
意識も遠く....
ならないな。
いやむしろピンっピン!
おやすみ?むしろこんちわー!
「...いつ眠くなるんだこれ?」
「あれ...そんな馬鹿な..?睡眠念波!」
世界がグルグr...
しないわ。
「そんな馬鹿な!?」
「なんか知らんけどドンマイ。」
「貴様ぁ!?まさか、精神強度..7以上か..?」
え、私そのスキル5なんですが。
どれどれ..
スキル:精神強度(8)
はちいいいいい!?
あれ、また知らない間にレベルアップしてる!?
とはいえラッキー!
見たかこれが私の才能よ!
「ぐぬぬ...ふざけやがって。」
あれーめっちゃ動揺してはりますー。
勝てるんじゃねこれ。
やべフラグ立てちゃった。
「隊長、大丈夫ですか!?」
「遅いぞお前ら!!さっさと助けろ!!」
はいフラグ回収、20人くらい来た。
そしてあのジジイ、隊長だったのか。
てかめっちゃ横暴やん。
「さっさと攻撃しろ!!お前は俺を回復、早くしろ!!」
ひくわー態度わっる。
老害もええとこやん。ひくわー。
「ひっ治療!」
おお、あれが治療魔法!欲しい。
(補助スキル:小治療を習得。)
おお!?なんかゲットした。
こんなあっさりとは。もしや結構基本的な魔法だったりするからか?
「火爆弾!!」
「氷柱弾!!」
一般兵らしき奴らが魔法放ってきた。
ならば、
「魔砲弾!!」
爆発であっさり相殺どころか爆風で相手吹っ飛んでた。
「何をやっている馬鹿どもが!!」
お前私に技通用してないのになんで偉そうにしてんだ。
ムカついたので
「魔砲撃。」(手加減込み)
「ぎゃあ!?」
見事に吹っ飛んだ。そして木に激突。ひゃっはー。
「ブフッ。」
よく見たら一般兵の人吹いとる。嫌われてるねえ。
「おのれ...おのれおのれおのれおのれええ!、もういい!!またしばらく使えなくなるがもういい、ここで、ここで...。」
するとスキルイーターを取り出す。
何する気だ。
「スキルイーターよ!!「魂之暴食」を起動しろ!!」
突然叫ぶ老害。
しかしその瞬間一般兵の顔が真っ青になる。
....絶対やばい技だ。
「ぎゃはははははは!終わりだクソ野獣!!この技は発動者以外の周囲の生命を食らうスキルイーターの本性よ!!!」
「隊長、何を!?」
「黙れ!!どうせ貴様らも殺す予定だったんだ!」
「!?」
え、何、内輪揉め?
「俺達は先遣隊などではない!最初からこのスキルイーターの補充のために貴様らを生贄として連れてきたんだ!!生命力が極限まで吸い取られれば死体も残らん!!」
「..やはりおかしいと思ったんだ!!」
一般兵何人かがソウルイーターを止めようと飛びかかる。
しかし時すでに遅し、スキルイーターは禍々しい光を帯び、兵達の生命を吸い始めた。
しかも森の奥からも光が宝石に吸い込まれる。やっぱり向こうにも仲間いたか!!
しかしこのままだと自分も危ない、壊すしかない。
「魔法光線!!」
しかし私の技は魔力として宝石に取り込まれてしまった。
そして周りの兵達も立ち上がれなくなっていた。
あの老害めが...うぐ!?
嘘、もう魔力がほとんど持っていかれた...!?
「ひゃははははいい眺めだ!!このままくたばって死ね!!」
ソウルイーターはどんどん範囲を広げていく。
木々は枯れ始め、鳥は力尽き落ちてゆく。
森の実りは朽ち果て、私は虫の息。
やばい、いくら私でもこの体じゃもうきつい。
誰か..あいつ止めてくれ...。
ごめん、皆..。
.
.
.
「困っているな。キジコよ」
兵達に凄まじい威圧がかけられる。
「が!?あ..は..白銀の..獅子ぃ!?」
「すまない、到着が遅れた理由は後で話す。」
「うん...。」
ああ、主人公補正とかヒーローは遅れてくる演出かな、遅いよもう。
「あとは任せろ。」
頼んだよ、ヴァルケオ。
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キジコが散歩に行った直後
「おはよう、皆。」(´3ω3`)
「おはよヴァルケオ。」
キジコの姿がない
「あれ、キジコは?」
「キジコちゃん、散歩行ったわよ。」
「そうかい...ん?」
「ん?」
突然白い鳥が飛んできた。
「突然このような形で参りました事申し訳ありません、守護獣様。」
「誰だ、思念波を使っているようだが。」
「私はシルト・ソーレ。聖人族の現勇者です。」
「!!」
この鳥は召喚獣のフォンバード。
遠くの相手に伝えたい内容がある時に使う通信連絡用召喚獣の一種。
ちなみに魚やヘビなど種類は意外と豊富。
要は電話。
「..久しいな、あの時、友人連れてこの森へ来た子供が勇ましい声を出せるほどになっていたとは。時が経つのは早い。」
「はい、お久しぶりです。ヴァルケオ様。」
「今この連絡をして大丈夫なのか?」
「はい、この召喚獣は出撃前にこっそり飛ばしたので。思念波もあらかじめ特殊暗号化していますので簡単に盗聴されません。」
「...その形で連絡よこすとは..やはり王国と帝国の戦争に何かあると言う事だな?」
ヴァルケオも薄々勘づいていた。
この地でわざわざ盟約破って争う理由を。
「はい。単刀直入に言います。ヴァルケオ様、マウリ様、テューニ様。御方々を我々ムート王国とサジェス帝国は討伐するのが目的としてこの戦争は始まりました。」
「やはりか..。」
自分達を狙う理由、心あたりはある。
「狙いは周辺国家や村など中立の領域の侵略です。あの領域は中立派により成り立ち、ヴァルケオ様達は今もなお続くレギスの森...
いや、[多種族共存中立大同盟国家レギス]の代表格として邪魔者であるとこの判断を両国代表が決めました。」
「...そうか。」
予想以上にこの戦争は大変なるかもしれない。
ごめんキジコ、本当に平穏来るかどうか怪しいよ。