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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
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第104話 人の心vs獣の意志(1)

 パース領域の先...、インヴァシオン派領域の平野。

 

 現在、ニコ派獣人とインヴァシオン派獣人と戦争が起きている。

 事の発端は数時間前、

 インヴァシオン派の王バノスは都合の良い戦力を失い、血迷ったのかパースを攻める事を宣言。それによりインヴァシオン派の獣人はパースへ攻めていたのだ。


 これを受けエデルは同盟国として、

 キジコはニコの友達として急遽パースに向かうのだった。


ーーーーーーーーーー


 ドォォーーン...ドカーン...


 「おい、大丈夫か!?」

 「ああ、なんとか...。」


 ニコ派vsインヴァシオン派の最前線。

 その争いは熾烈を極めており、両者一歩も引かず進まずが続いている。

 だがニコ派側派怪我人が増えており、正直な所ジリ貧に近い。


 「おい、怪我をしてるじゃないか!?一旦退け!」

 「ダメだ、奴らをこれ以上進めるわけには...!」

 「アオオォーーーン!!!」

 「!?」

 「やばい、魔物召喚師だ!!」


 その中でも強力なのが、魔力がある限り魔物を召喚できる、魔物召喚師である。


 魔物の強さによって消費する魔力こそ異なるが、低コストでそこそこ強い魔物を多く出されるとまずい。


 特に、以前キジコが試した[幻魔召喚]による狼も低コストでそこそこ強い。それ故狼魔物は召喚魔法にてよく用いられるのだ。

 そしてその便利さは敵に回れば当然大きな脅威となる。


 「まずいって!今あんな数に攻められたら!?」

 「撤退だ、撤退だー!!」

 「平和ボケた獣共を抹殺しろー!!」

 「うわあああ!!」


 優れた術師である程戦況を大きく動かせる。

 パースは防衛力こそあるが武装国家と比べればなんて事はない、火力を少し集中させられればお終いだ。


 「ガルルァッ!!!」

 「ガァッ!?」

 「グルルル....!」


 次々とやられていくニコ派。


 「すみません...ニコ様....!」

 「全軍進めー!!」


 ああ、もうダメだ。

 そう思っていた....その時だ。


 「諦めてる場合ですか?」

 「な!?」

 「落雷雨サンダーレイン!!!」

 「ぐああああああ!?」


 空から突然、雨のように雷が降り注ぐ。

 落雷はインヴァシオン派獣人に次々と命中、軍の動きを止めたのである。


 「な...何をしている!!進め!!」

 「し...しかし!」

 「大した指揮はなさそうね。恐怖や圧力で無理矢理動かしているのが見てわかります。」

 「!!」


 ニコ派の陣地にいつのまにか魔女らしき者がいた。

 

 「や、奴を狙えーー!!!」

 

 ドォンッ!!


 「...え?」


 インヴァシオン派の指揮官の男の横から爆発でもしたかのような音が鳴る。

 

 「...呪力脚。」


 ズダダダダダッ!!!


 「ぐぎゃああああ!!??」


 その瞬間耐えがたい激痛が彼等を襲う。


 「蛇はいつでも貴方達を見ています。その悶え苦しむ様を...!」

 「あ゛あ゛....あ゛...!?」

 「...聴こえてませんね。」


 『ニコ派の皆さんはじっとしておいてくださいね〜。』

 「へ..え?」


 一方ニコ派陣地では精霊が現れ、地面から謎のツルを伸ばしドーム状の部屋を作り出す。


 「な、なんだ!?傷がどんどん癒えていく...!?」

 「お、折れた骨がもう治ってる!?」

 『治った人は早く出るの。怪我人はまだまだいるの。』


 部屋から出てきた者達は次々と体勢を直してゆく。


 「指揮官が崩れたぞ!畳み掛けるなら今だ!!」

 「おおおーーーー!!!」


ーーーーー


 「ふむ、ひとまず勢いのあったバノス軍は退けましたね。」

 「ご主人様ならすぐに終わっていたでしょうけど...。」

 『代表会議を今パースで行ってる事に辺り警備をしちゃってるの。』


 最前線の敵を蹴散らし一休みするクロマ達。

 一方キジコはニコと桃花の緊急会議の警備を任された。ただでさえ兵が減ってる状況故らしい。

 なにせインヴァシオン派は武闘派の塊と言っても良く、純粋な武力はパースの比にもならない。


 「私達にできる事はとにかくしていきましょう。ご主人様に迷惑ばかりかけてはいられません。」

 「はい!私もご主人様に褒められたいので!」

 『え、そういうの?』


 とまぁワイワイ話している内に...


 「いたぞ!ニコ派共を蹴散らせええ!!」

 「敵の増援だー!!」

 「さ、私達の見せ所です!いつもご主人様が頑張ってる分私達も暴れますよ!」

 

 クロマは前線に飛び出し杖を空に掲げる。


 「波雷撃ウェーブサンダー!!」


 雷エネルギーがバノス軍に向かって広範囲に襲い掛かる。


 「か...体が...痺れて...!」

 「動けないですよね!この技は体を麻痺させる事に特化していますので。では...ルザーナ!!」

 「青之流星アズールメテオ!!」

 「ギャアアアアア!!」

 

 痺れて動けないバノス軍に向かって青い流星が落ちた。


 「ひぃ!!逃げろ、体勢を整えろー!!」

 『無事には帰さないわ....!!』


 逃げようとする者の足元に強靭なツルが巻きつく。

 

 「な...なんだよこれ!!」

 『恐怖幻覚界テラーワールド。』

 「な...なんだ!?虫が...虫が!!」

 「俺の体を齧るな、貪るなああああああ!!」


 どうやら虫に食われる幻覚を見せているようだ。エゲつな。


 「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!」

 「やめろおおおおおおおおおおおお!!!」

 「いやあああああああああああああ!!!」

 『うるっさいの...。』


 なんか失敗した気がするスアであった。


 「す...すげぇ 。あれが神獣候補キジコの仲間...!」

 「圧倒的過ぎる...!」

 「だが、インヴァシオン派の奴らはこの程度じゃない。俺達も進むぞ!!」

 「おう!!」


 皆の指揮は上がり前進する。


 『おお、ちゃんと前進してるの。』

 「インヴァシオン派の皆さんは縛っておいてください、スア!」

 『了解なの。』

 

ーーーーー


 森を越え、やってきたのはさらに広い平野。

 その先にはまだ小さいが城が見える。

 だが前にはバノス軍のいくつかの小隊が待ち構えていた。

 しかも3体、大きな魔物がいる。


 「グルルル....!!」

 「あれは...ヘビー・テイル・レックス!!」

 「え、なんですその魔物...?というかバノス軍あれに騎乗してますね...。」

 「あの魔物はあまり人の目につく地域には現れません。ですがその性格は非常に凶暴かつパワフル。一度怒らせると手がつけられません。」

 

 するとルザーナは構えをとる。


 「なんだぁ?俺達に歯向かうってか!?」

 「やっちまおうぜ!俺達には魔法で操ってるこの怪物がいるんだからなぁ!!」

 「一人で挑むなんて馬鹿じゃねーの!?」


 男達はゲラゲラ笑っている。


 「ルザーナ...?」

 「この魔物は、私が魔物だった頃群れでも倒せなかった。ですから、強くなった自分にお任せしてもよろしいでしょうか?」

 「いやまぁそれはいいんだけど...後つっかえてるから早めにお願い。」

 「はい!」

 

 「なーにをごちゃごちゃ言ってやがる!!」 

 「やっちまえー!!」


 レックス3体は襲いかかる...が。


 「蛇はすでに見抜いてます。」

 「ガルァ!?」

 「どわ!?急に止まったぞ!?」


 なんとレックスの足が止まった。


 「ねぇトカゲさん。その人たちの言うこと聞くのやめたら痛くはしないよ?痛いの...いやですよね?」

 

 震え上がるレックス。

 この時レックス達の目には恐ろしい大蛇が写っていたそうな。


 「お、おい!何をしている、噛み砕け!!」


 しかし言うことを聞かない!


 「私もトカゲだから大丈夫、怖がらなくてもいいですよ。まずは背中のゴミを落としましょうね...!」

 「....!!!?」


 恐怖に震えたレックス達は男を振り落とす。


 「うわああ!?ぐえっ!?」

 「いい子いい子。では...あちらの方達を適当に蹴散らしてくださいね!」

 「ぐ...グオオオオオオオ!!!!」


 恐怖に飲まれた雄叫びが戦場に響く。

 そしてバノス軍に突っ込み暴れ始める。


 「る...ルザーナ?貴方そんなキャラじゃ無かったですよね!?」

 『...なんでそう言う感じになっちゃったのよ!?』

 「ふふ、秘密です♪」

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