ヘルニアのぶり返し方
背の高い介護士「明日は大勢おるな」
背の低い看護師「何が?」
背の高い介護士「職員。今日は少なかったー」
背の低い看護師「今日はあんたと早番と日勤3人で、5人か。明日は?」
背の高い介護士「日勤6人と早番・遅番で7人や」
背の低い看護師「なんや、それ。ガタガタやないか」
背の高い介護士「今、5人倒れとるからね。勤務表も組みにくぅてかなわんわ」
背の低い看護師「5人? てか、組んでるのお前ちゃうやんけ」
背の高い介護士「ヘルニア、神経痛、骨折、うつ病、妊娠」
背の低い看護師「ああ……」
背の高い介護士「きっついでぇー? 19人中5人の欠員や。そのしわ寄せが来てるさかい。夜勤の間隔もめっちゃ短いから、なんや2日に1回ぐらい夜勤やってるような気ぃするわ」
背の低い看護師「あー……てか、19人もいたっけ?」
背の高い介護士「安藤、伊藤、宇藤、江藤、尾藤、加藤、木藤、工藤、権藤、近藤、佐藤、志藤、須藤、瀬藤、惣藤、高藤、地藤、津藤、適藤で19人や」
背の低い看護師「あー……そんなにいたんやな」
背の高い介護士「ほぼ8分の1おらへんからな。8分の1いうたら、お前の背ぇが肩よりちょい下ぐらいになるやろ。かわいいサイズがますますかわいいサイズになってまうな」
背の低い看護師「じゃかましい」
背の高い介護士「そのうち、もう1人ぐらい倒れるんちゃうか。いや、いっそ俺が先に倒れるか。残る方に入ったらえらい目ぇに遭うさかい」
背の低い看護師「そないうまい事いくかいな」
背の高い介護士「ヘルニアのぶり返し方なら知ってるで?」
背の低い看護師「なんの自慢にもならん」
背の高い介護士「いやいや、ヘルニアのぶり返し方を知ってるという事は、それを避けたらヘルニアがぶり返さんで済むという事やで?」
背の低い看護師「てか、『ぶり返し方』って事は、お前もヘルニア持ちかいな」
背の高い介護士「うん。でも俺、腰痛ないねん」
背の低い看護師「そうなん?」
背の高い介護士「ヘルニアのぶり返し方を知ってるからね」
背の低い看護師「なんやねん、それ」
背の高い介護士「ぶり返し方を避けてきたから腰痛ないねん。わざとぶり返すようにしたら、すぐぶり返すで?」
背の低い看護師「やめぇや」