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異世界アイドル活動記  作者: 三宅交流
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6-5:見守りし者達

 輝くステージの上で互いに夢を叶えるため、新藤衣瑠夏とモナコ・モナが『Start Star』を全力全身で披露している。

 その姿を二階に設置された別室から眺めている二人のアイドルがいる。


「まったく、ボクはたまにスキュワーレって悪魔の生まれ変わりじゃないかって思う時があるよ」

「いやいや、スーさんは生まれ変わりとかじゃなくて、悪魔そのものだって。もう、リカなんて何回キラステの店長室でしかられた事か分からないよ」

「………それは多分、リカがキラステの料理を勝手につまみ食いしたり、営業時間後の店内で勝手にダンスバトル始めたりしたからじゃないかなとボクは思うよ」

「ってへ。やっぱり」


 天然パーマの入った黒髪をサイドポニーに結っている小柄な少女、リカは全く悪びれた風もなく小さく舌を出している。

 隣に立つセミロングの茶髪が特徴的な長身の女性、ユカナはいつも通りな相棒の対応にもはや何も言わず静かに肩をすくめる。

 ユカナとリカはオーディション会場の二階に設置されたVIPルームにいる窓ガラス越しにオーディション参加メンバー達がアイドルバトルを繰り広げるステージを見守っている。

 この二次選考を勝ち上がった者が最終選考に進み、ユカナとリカと本気のアイドルバトルを繰り広げることになる。

 自分たちとアイドルバトルを繰り広げるのはどんなアイドルの卵だろうと視察をかねてスケジュール調整を行ったのだが、その結果、予想以上に過酷な現場を目にすることになった。


「でも、冗談は抜きにしても、スーさんは面白いことやってくれくれるよね。ドルフィンちゃんとモナモナなんて、闘志メラメラで今まで見てきた中で一番のステージなんじゃないかな」

「この前ボクが衣瑠夏と一緒に練習したときに彼女は言っていたよ。”わたしのライバルが待っている”って、つまりはそういうことなんだろうね」

「ふ~~ん。闘争本能むき出しで、互いが互いを引っ張り合っている、良い関係だね。あ、ドルフィンちゃんとモナコちゃんのステージ終わったね」


 一緒に異世界にまで行ってアイドル修業をしてきたユカナとリカ、。

 この最強の二人と対峙するアイドルは誰か。

 それを決めるのはヘキサスターズのリーダー、スキュワーレであり、そのために用意されたステージ立った、新藤衣瑠夏とモナコ・モナ。

 二人のステージが静かに終わりを告げた。


「いや~、二人とも凄いステージだったよ。こんな部屋にいなかったら、リカも飛び入り参加したかったぐらいだよ」

「それはボクも一緒だよ。でも、それは次のステージでだね。ねえ、リカはこの勝負どっちが勝つと思う?」

「二人とも良い勝負だったけど、この結果は一目瞭然だね。モナモナはオーディションに向けたステージを披露して、ドルフィンちゃんはライブに向けたステージを披露した。ライブに正解はないけど、今日はライブじゃなくてオーディションだからね」


 窓越しにステージを見つめるリカ。

 普段は小動物であるかのように本能的な行動を取ることが多い彼女であるが、彼女もアイドルである。ステージを見るその目は、プロの視線である。


「残念だけど、それはボクも同感だね。後半は修正してきたけど、前半の差は最後まで埋まらなかった感じかな」


 リカの横からユカナもアイドルバトルが繰り広げられたステージを見下ろす。

 アイドルバトル審査員が先ほどの衣瑠夏とモナコのステージについて講評をしている。

 その内容は、ユカナとリカと評価と同じである。


「でも、衣瑠夏がステージ構成修正した後の二人のハモりは凄かったな。ボク達でもあのレベルは即興じゃ難しいと思うよ」

「そうだね。今回は敵対していたから何もなかったけど、あの二人が手を取り合うとリンク値加算もあったんじゃないのかな?」

「だとしたら、本当に残念だよ。是非とも決勝戦はあの二人とで戦いあってみたかったよ」


 ゆっくりと窓から離れステージに背を向けるユカナとリカ。

 そんな二人の後ろで無情な結果がアイドルバトル審査員からステージに立つアイドルに告げられる。


「ただいまのアイドルバトル。勝者、モナコ・モナ。敗者、新藤衣瑠夏である」


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