プロローグ —連勤中のひととき—
果てしなく広がる青い空に、辺り一面の大草原。
そよそよと優しい風に吹かれながら、一人の男が大の字に寝そべり、煙草を燻らせる。
ふと、視界が暗くなった。
「だーれだ!」
男の視界を遮る手の向こうから、甲高い声がする。
「その声はオメェしかいねーだろ」
「オメェじゃわからないよー。名前で言ってください!」
甲高い声の主はなかなか手を離してくれない。
「リオン、わかったから手どけろ…」
男が少々疲れ気味に答えると、視界がぱっと明るくなった。
金色の髪をサラサラなびかせた少女が、
にんまりした表情で男を見下ろしている。
「レイジ、もうタイムカード押したの?」
「あぁ。リオンは今日出勤か?」
「ううん、今日は休み。何しよっかなぁ」
リオンはそう言うと、レイジの隣に腰を下ろす。
「一応魔法使いなんだから、練習でもしとけ。オマエ、回復魔法使う時いつも失敗してるだろ」
「ひっどいなぁ…マスターがプレイしてる時はちゃんと魔法使えてるもん!」
「…それ、マスターのおかげじゃね?」
レイジが薄く笑みを浮かべながらそう言うと、リオンはムッとした顔になった。
「そういうレイジこそ、煙草なんか吸ってていいんですかねー。ヘビースモーカーの勇者なんて聞いたことないんですけどー」
リオンは頬を少し膨らませ、ジトっとレイジを見つめる。
「煙草吸ってる奴なんかいくらでもいるよ」
そう答えた瞬間、ティロリンと音が響いた。
「あ!マスター帰ってきたよ!私は帰るね!バイバーイ!」
リオンはそう告げ、パッと瞬間移動で帰ってしまった。
「まったく、帰るのだけは早えな。…さーて、4連勤目頑張りますか」
レイジはそう呟くと、携帯灰皿に煙草を消し入れた。